★Beat Angels

サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

2019-01-01から1年間の記事一覧

朝の物語

窓に朝の寒さが貼りついている日曜日天使のような君の髪の毛なでるさママのことは頼むよ君はパパの代わりさすぐに手紙を書くからいいかい?言い残すことは何もないから僕は行くドアを開けたら風に倒れた青い自転車が夜露に濡れて君の目覚めを待っている早く…

エスカレーターの段数定理

-アトランタ空港ですごく長いエスカレーターに乗ったよ。世界一じゃないかな。 -へえ、何段くらいあるの?-ざっと100m以上はあったなあ。-だから、何段だったの?-そんなのわからないよ。測ってないし。-歩いて登って歩数を数えたらだいたいわかるでし…

ルール改正対応パッティング必勝法

2019年からゴルフのルールが改正となった。改正内容のひとつに、グリーン上でピンを抜かずにパットができる、というものがある。 しかし、毎度毎度パットのたびに抜くか抜かないか考えるのも面倒だし、プレイヤーごとに意見が異なると誰かがピンを入れたり抜…

最後の晩餐

-え、これ、おいしい!ハンバーガーショップで母が素っ頓狂な声を上げた。その晩、僕たち一家は、近所のハンバーガーショップにいた。ここにくるまでの間、父と母は車の中でずっと言い争いをしていた。いつものことなので僕は気にとめず、持ってきた車のお…

もう一つの群論

-ねえ、みんなちょっと相談があるんだけど。 -急にあらたまってなんだい? -僕たちっていつでも団体戦にしか出してもらえないよね。 -それは僕たちの一糸乱れぬチームワークに定評があるからだよ。 -そうそう、これは他の誰にも負けない友情の絆さ。 -…

角の3等分装置(原理編)

前回紹介した、角の3等分装置の原理を説明する。 4つのレバー(b~e)が一つの支点aで固定されている。 c、eのレバーの間には円板がありその中心はレバーdの上でスライドできるようになっている。円板の周りにはバネが取り付けられていて、レバーc、dの間…

シュレディンガーのおばちゃん

教授:君はシュレディンガーの猫の話を知っているかな?学生:はい、聞いたことはあります。教授:聞いただけでは困るな。ここは量子力学の研究室だ。それは常識の範囲だ。学生:少しは知っていますよ。猫を箱にいれていっしょに放射性原子が崩壊したら毒ガ…

角の三等分装置

これは15~16世紀を代表するイタリアの知の巨人のノートの片隅に遺されていた落書きのような絵である。 一見して何らかの装置とか機械のように見える。しかし説明が記されていなかったのでこれが一体何を意味するか、何を目的としたものなのか長年の謎とされ…

3次元ピンボール(その3)

話はピンボールから完全にそれてしまうが、次の形式で2進法表記された、 という、0~1の範囲の数に対して、 桁数に対応して直角二等辺3角形をどこまでも細分化していくと、最終的に一つの点に収束していく。こうして、0~1の間の実数Fを三角形の内部の…

3次元ピンボール(その2)

0から1までの実数を2進法で表記する。この小数点以下の桁数と数に対応して、2等辺直角3角形を細分化していく。 桁数を進めるに従って経路は複雑化し、3角形内を塗りつぶすように進んでいく。こうして長さ1の線分上の点は、3角形内のどこかの点に対応…

3次元ピンボール

taamori1229.hatenablog.com ピンボールの定理を3次元に拡張する。 原点Oから球を打ち出す。打ち出す方向はこの図に示した通り、x,y,z≧0の範囲だけを考える。原点O付近を拡大すると、 となり、球は⊿ABCのどこかの一点Dを通過して飛んでいく。⊿ABCのyz平面へ…

我が心のピンボール(その3)

格子状に無限に広がる穴に向かって、球を打ち出す。 ここまで、次の定理が成り立つことを証明した。 ◆ピンボール定理球、穴の大きさが両方とも0の場合、球の打ち出される傾きの値が、 (1) 有理数の場合、球はどこかで穴の中に落ちる。 (2) 無理数の場合、球…

我が心のピンボール(その2)

便宜的に角度45°のエリアだけを考える。球の方向を下図のように傾きaで表現すると、 傾きaの値が有理数の場合、必ずどこかの穴に到達する。無理数の場合はどの穴にも到達しない。ここで、図の線分ABを考えて球がこの線分を通過する点のY座標は、球の打ち出し…

我が心のピンボール

こんなピンボールを考える。 格子状の穴が90度の角度の範囲で無限に広がっている。 左下に球を打ち出す場所(赤)があり、ここから球をランダムな方向に打ち出す。 もしも球がどこかの穴に入れば勝ちである。 もしも球が穴に入らない限り無限の距離まで転…

春の最初の日

いつも利用する電車の路線では自動改札機にタッチしたときの音が大人と子供で違っている。大人はピッ!という高く短い音だが子供の場合はピヨピヨという可愛い音である。 これはおそらく子供料金で乗ろうとしている不届き者の大人を見つけやすくしているのだ…

行き先

ある冬の寒い夜のことだった。東京の都心から遠く離れた町で一人の男が道に立ってタクシーを探していた。すでに午前2時を回っていた時分だったのでこの郊外の町では人通りはとっくに途絶え、タクシーはおろか通り過ぎる車さえもまばらだった。タクシーを探…

呼び込み君

だれでもスーパーや商店街の店先でこのメロディを一度は耳にしたことがあるはずだ。 www.youtube.com 「呼び込み君」と呼ばれているらしい。譜面に書き下ろしてみた。 メロディ・リズムともにシンプルなのにどこか耳に残る不思議な曲である。基本的に「ドレ…

アポロ宇宙船の推進力(付録)

前回までで、均一な媒質の中で表面から一定の圧力を受ける任意の形状の物体に対しては、圧力の合計の力ならびに並びに物体を回転させる力はゼロとなることを説明した。しかし、実際問題として地上では重力gが存在するので圧力Pは均一ではない。ここではその…

目黒川の桜

目黒駅から行人坂を下りたところ。橋の上から品川方面を見る。 中目黒に向かって遊歩道を歩きだした。満開の桜が見られる最後の日曜日ということでかなりの人が訪れていた。 遊歩道は散策というには道幅も狭く、川の近隣には工場や大きなビルが立ち並んでい…

アポロ宇宙船の推進力(後編)

物体がまわりの媒質から均一な圧力Pを受ける場合、物体を移動させようとする力、そして物体を回転させようとする力の合計がどうなるかを一般的な形状で考えてみる。▮推進力F物体の表面には、表面に垂直な方向nに向かって大きさPの圧力が生じる。 これを物体…

アポロ宇宙船の推進力(前編)

こんな夢を見た。 どこかの研究所の実験室にいる。そこはNASAであるとなんとなくわかっている。大きな水槽の中にアポロ宇宙船が沈められている。 一人の白衣を着た科学者が何やら英語で声をかけると、5人組の男たちが現れて、宇宙船を引き上げたかと思うと…

コリオリゴルフ(Coriolis' Golf)

J・P・ホーガンのSFの名作「未来の二つの顔」はスペースコロニーを舞台とした壮大な実験の物語である。 www.tsogen.co.jp その実験とは人工知能を持ったコンピュータは人類と共存できるのか、はたまた破滅へと導くのかというテーマである。場所はヤスヌと呼…

カフェアパート(ホーチミン・シティ)

仕事でベトナムのホーチミン・シティを訪れた。市内の大通り沿いを歩いているとちょっと気になるビルをみつけた。 元々は普通のアパートであったが、その部屋を改造してカフェ、ブティック、料理店などが裁縫箱のようにお行儀よく並んでいる。カフェアパート…

さくらはまだか、ということでさくら展

人目を避けるようにして、さくら展に行ってきた。 ccsakura-offici クロウカードの本を開ける、という趣向である。 「絶対だいじょうぶだよ!」声が聞こえてきそうだ。 バトルコスチューム。デザイン・製作は同級生の知世ちゃん。 来場記念のクリアカードを…

コイントス必勝法

コインを放り投げてキャッチして表か裏かで何かを決める、いわゆるコイントス。 ここで表か裏をうまくコントロールできないものだろうか、と誰しも考えるだろう。一番簡単なのは、コインを水平方向に回転させて投げ上げて、 表が常に上になるように投げるこ…

級友、そして球友(後篇)

taamori1229.hatenablog.com 翌日、体育の授業は僕の運命を決めることになる野球の試合だった。男子が紅組と白組に分かれ5回までの試合をする。女子は審判員と応援団だった。監督も女子がつとめることになり、カオルは僕の属する白組の監督だった。僕はいつ…

級友、そして球友(前篇)

僕は東京の下町にある高校の1年生。自分で言うのもなんだが、学業優秀で教師からも一目置かれる存在だった。だから僕は教室ではいつでもヒーローでいることができた。 その日も英語の授業中、教師から問題が出たされた。わかる人は?といわれて手を挙げたの…

最後のミッション

あいつが死んだことをあいつの奥方からの電話で聞かされたとき、俺は驚いて言葉が出なかった。しかし、それと同時に最後のミッションが発動されたことを理解した。あいつの家で催された通夜の席には懐かしい友人たちの顔もちらほら見えたが俺はそれどころで…

とんでもおじさんの装置(その2)

前回の続きである。 とんでもおじさんの装置によれば、2本の棒の交点が光を発する。 落下する棒の角度をうまく調整することで、光の移動する速度を光速とすることが可能である。 この場合、観測者からみると向かってくる方向の光は棒全体が一斉に発光するよ…

とんでもおじさんの装置

学生時代の文化祭で僕たちはいきなり見知らぬおじさんに声をかけられた。紺色のブレザーを着て大きなカバンを抱えた初老のおじさんであった。黒縁のメガネと茶色のベレー帽という風貌は学者風にも見えないこともない。「ちょっといいですか?」と彼は言うと…