★Beat Angels

サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

2001-01-01から1年間の記事一覧

青春素数小説(ノブヒコの素数)

ノブヒコという友人と出会ったのは、入社した会社の独房のような寮の中だった。僕が714号室、彼が隣の715号室だった。彼はいきなり部屋に現れるなり、自分は数学科出身だと名乗った。僕も物理学科出身だと話した。入社した会社は電気系の会社だったので理学…

一日警察署長アミちゃん(後日談)

一日警察署長を無事に勤め上げ、鋭い推理力と直観で難事件の解決にも貢献したアミちゃんはその後も警察署の署員たちの語り草となっていた。 taamori1229.hatenablog.com アミちゃんは一日署長を務めたその日、自由な時間を利用して署内を歩いていろいろな人…

宇宙の居酒屋

こんな夢をみた。 宇宙旅行に行くことになる。経緯は分らない。5人ほどのチーム。一人は会社の同僚のT。他のメンバは分らない。まぶしいほどの星空が見れる、というのに期待する。航行中、船内で僕は丸くなってふるえている。宇宙船はみしみしと音を立てて…

黄昏時のホームで今日も無情に発車のメロディが流れる

とある城下町。駅のホームから見渡せる町並みには会社帰りの乗客を待つ明かりがちらほらと灯り始めるころだった。家路へと向かう乗客で混雑している下りのホームとは裏腹に、人影まばらな上りのホームでは始発電車が刻々と迫る発車の時間を待っていた。 少年…

古ぼけた教室の机のこと

その古ぼけた教室の床は老朽化が進んでいて、その表面はまるで波が立つように歪んでいた。 そのため机はいつでも一本の脚が浮き上がって安定せず、机の上で重心を移動するたびにガタっと音を立てる。授業中は教師ににらまれる。給食の時間はビンの牛乳がこぼ…

神田淡路町の松栄亭

夏目漱石も足しげく通ったという店。ニコライ堂のすぐそばにひっそりとある。 開店は1907年、明治40年、もうすぐ100周年。 そして漱石も愛したという洋風かき揚げ。 なんとも文明開化という深い味わい。

休日カレー

休日にカレーを作りました。材料は近所のスーパーで買ってきました。 後方に並ぶ小瓶の列に御注目。スパイスにもこだわりました。市販のカレールーにカレーパウダーを加えて味に深みを与えます。玉ねぎ2個をみじん切りにしてその半分はしっかりと油で飴状に…

朝のコージ君

横須賀線沿線に住むコージ君の朝は満員の通勤電車で始まる。始発駅の隣の駅から電車に乗り込むのでたいていは席に座ることができる。コージ君の勤める会社は横浜駅の次の新川崎駅にあった。座る席は降りる駅のエスカレータの近くの扉のすぐ横と決めていた。…

一日警察署長アミちゃん

アイドル歌手のアミちゃんは一日警察署長という大役を仰せつかって東京郊外にあるその町にさっそうとやってきた。 朝、駅前広場で就任式が執り行われた。朝早いのにもかかわらず大勢のファンが押し掛けて歓声を上げていた。そこで制服姿でタスキをかけたアミ…

『トウモロコシ畑の子供たち』

広大な大地に果てしなく広がるトウモロコシ畑。 アメリカの原風景ともいえるここを舞台にスティーブン・キングの傑作短編『トウモロコシ畑の子供たち』は書かれた。 とある旅行者夫婦がそのトウモロコシ畑の中にの街に迷い込む。そこには「18才以上は生き…

Bar考

学生時代、虎ノ門のとある特許関係の事務所で期間限定のバイトをしていたことがある。最後の日の晩、事務所で一緒に仕事をした40才くらいの先輩に誘われて高円寺の駅前にある渋いバーに連れて行ってもらった。 私は生まれて初めて口にする度数の強い洋酒と暗…

ウメとサクラにまつわる話

ウメは若くして両親を亡くし下町にある古びた一軒家に暮らしている。そしてその家の近所にある小さな小料理屋を両親から受けついで細々と営んでいる。年の割に落ち着いているね、ウメはみんなからそうよく言われる。その日も早起きして家と庭先の掃除をすま…

生涯フライト時間の相対論的考察

生涯フライトマイルを見てみたら、 667,112マイルとのこと。これだとピンと来ないが、搭乗時間は約1800時間、地球を約27週、月との往復で言うと1.4往復。月世界旅行を考えたらすでに一度は地球に戻ってきて、さらに月に2回目の着陸が近づいているところであ…