1978-01-01から1年間の記事一覧
雁の群れが空を二つに横切り猿の声が遠く響き渡る薄く霞んだ道の果てにはるか塔は浮かび上がった僕を誘ってやまぬ幻の旅路よ残念ながら僕はもうここにとどまることはできない『福島青春焦燥詩集('75~'80)』より
京都よ 古代からの日本人の心のふるさとよ優しい響きで私を誘ってやまぬものよ私はお前に出会うのだ刹那なりともお前と同化するのだすべてを見せてほしいそして私の第2のふるさととして私を励ましてほしいのだ 古代建造物の歴史の香りにも舞妓たちの脂粉の…
-ほら見て!魚よ その娘は古ぼけた橋の欄干から身を乗り出して深い緑色をした川面を指さした。後ろを歩いていた僕は慌てて彼女の指し示す方角に目線を走らせたが何も見つけられなかった。 -もう遅いわよ 娘はいたずらっぽい笑みを浮かべると後ろ手を組んで…