★Beat Angels

サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

1985-01-01から1年間の記事一覧

晩秋の水郷にて

水の優しさよ私の心から棘を抜いておくれ午後の風にゆれてさざ波のような後悔・・・ 水の清しさよ春には桜の花を浮かべ初夏には菖蒲を開かせ晩い秋の今は私の別離を映しておくれ 水のぬくもりよいつか私も家族を電車に乗って訪れる午後を心のやすまる日々を…

牡丹の里

花よ、お前が明日開くなら遠い初恋のうたを作ろう牡丹よ、お前が僕を呼ぶならば夜明けに訪ねて行ってもいいあくせくと生きることに倦きたなんて言わないから安心してくれ 花よ、お前は忘れていないか?かつてここで契りあった声を牡丹よ、お前のあでやかさの…

日曜日のセーター

明るい影をあちこちに作って日曜日の恋人たちは騒ぎの中で夢を見ている座り手のない街角の椅子にそっと座り直したのは思い出去年の秋の日曜日には私もそこで夢見ていたのに寒い季節を出向かえるように今日は厚いセーターを着ようまだ半袖の恋人たちに向かっ…

別れから明日へ

冬から春へあるいた径を夏から秋へあるいた径を君はもう忘れてしまったか色だけ変えるけやきの並木は追憶を塗りかえはしないのに秋のかげろうのように足早に通り過ぎた人はとても悲しそうにみえたけれどあれは君ではなかったかスカートの裾に枯葉が一枚愛か…

色でいうと群青色の泣きたいような夜に

鈴木翁二の缶バッチを手に入れた。 星のきれいな夜にはハーモニカをポケットにしのばせて誰もいない夜道を歩いてみたい。どこかにまだ起きている子供がいて、遠くの送電線の音にじっと耳をかたむけているような気がして。

鮮やかな場面たち

忘れられない場面がいくつもいくつもあっただから今だって日比谷を通ると胸が温もる 春雨に濡れた公園でやるせなく敗れた恋とか木枯らしのベンチで聞いた思いやりのある友達の言葉とかコンサートの帰りにやっとの思いで告げた愛の台詞とかひとつひとつの場面…

秋の春情

おだやかな秋に明日は上野に行こうと君を連れ出した公園をめぐる季節の限りない記憶のかけらが落ち葉のように散り始める 多分あしたも空は晴れぼくらは無口に愛を語り動物たちに会い乾いた道を歩くだろう子供のように手をつないで 遠い春に出会い秋に別れた…

愛しき街で

鋭角に空を切り裂くビル群をささやかな緑がささえる乾いていく人の心を遠慮がちに風がささえる誰もがわらべうたを忘れ生活の戦士たちは疲れを抱きしめて街を往く それなのに誰もこの街を捨てはしない寂しさを愛にすりかえて哀しさを思い出にすりかえて昨日か…

愛のせせらぎ

そのせせらぎの音には心をくすぐるような甘いささやきがありましたずーっと前の春先のように乾いた心のひだを美しい水が流れていく音は愛がなければ生きていく甲斐がないとささやいているようでしたいつの頃だったかどんな苦しみや不幸にも耐えられそうな時…

にわか雨

にわか雨に出会ったらなぜかしら昔の唄が歌いたくなるつかの間の雨の匂いに誰もが昔を思い出すように心の中はやさしさでふくれあがりのぞきこむ高層ビルにもつれちがう恋人たちにもふと微笑んでしまう時間誰も好き好んで青春から遠ざかる訳ではないとつぶや…