★Beat Angels

前途は遠かった。でもそれはどうでもいい。道こそが人生だからだ。 - Jack Kerouac

表面探査プロジェクト

ある男が見知らぬ惑星に不時着した。彼はその惑星の大きさを報告するように指示された。しかし、惑星の形はさっぱりわからない。上空から写真を撮ることもできない。彼にできることと言ったら地表を歩き回って惑星の表面を測定することだけである。彼は仕方がないので地表をくまなく歩きまわり表面の様子をつぶさに測定した。

同じようなことは地球上でも起こる。ある男が森の中で池を見つけた。彼は池の面積を知りたいと思うが水の中には入れない。できるのは周囲をぐるりと廻ってその水際の形を測定することだけである。こちらのケースは図形が平面図形の場合である。

このように物体の周囲や表面を測定して物体の面積や体積を求めにはどうしたらいいだろうか。

       
     

求めたいのはこれらの面積S、体積Vである。ここで面ベクトルdSは周囲、表面に垂直なベクトルである。その大きさは物体の長さ、面積に等しい。表面探査でこれがくまなく測定できたとする。物体の表面積Snについては、この面ベクトルdSの大きさを直接積分して、
 

で求められる。ここでnは次元数である。

これを使って物体の面積S、体積Vを計算する。まず、適当に一つの座標を選ぶ。選び方は任意である。


        
      

物体の面積、体積は下記の式で計算される。
   

ほぼ同一の形をしている。ここでdSxはベクトルdSのx座標方向の成分である。

これはn次元として一般化すれば、
 

となる。つまり、表面を探査する際には一つの座標とその表面のベクトルのその座標方向の成分の測定だけで充分である。

任意の一方向だけで十分なのは物体の面積や体積は回転しても変わらない、という事実と結びついている。特に3次元物体Vについてのこの計算方法は浮力の原理と同じである。面ベクトルdSが液体から受ける圧力に相当し、その圧力は物体の面に垂直な方向で大きさは座標位置xに比例する。そして物体が受ける浮力は物体の姿勢によらず一定である。このことが座標選択が任意であることに対応している。

通常の直交座標を考えると、   
となる。これはどんな方向でも面積・体積が一定であることによる。よって、一般にn次元物体の体積は、その表面のベクトルを用いて、
 
となることが分かる。

4次元物体の形は想像がつかないが、その表面は3次元物体である。この式が示すのは4次元物体でもその表面である3次元物体をつぶさに測定することで4次元物体の体積が求められる、ということである。勿論、こういうほど簡単ではないが。

続いてこの表面探査の結果を活用する例を2つ示す。1つは断面積Lである。物体の断面積は当然、見る方向によって異なる。その視線の方向ベクトルをAとする。

     
    
物体の断面積は当然、見る方向によって異なる。方向ベクトルをAとする。この時の断面積Lは、それぞれ、

    
という同じ形になる。こうしてn次元物体の断面積Lnは、
 

となることが予想される。

もう一つは視野角θである。座標原点から見た場合と定義する。これが人の視点からみた印象的な大きさとなる。  

        

     
これについては、
 

となる。n次元について一般化すると、
 

となるであろう。以上示したように表面の探査は物体を理解するために非常に有効である。結果を表面探査定理として整理しておく。 

 

 

渚のヒート・ウェイブ

灼熱の日差し浴びながら
真夏のビーチ降り立てば
みんなの視線を独り占め
海もお日様も手を振るの

天気予報がなんていったって
私の耳にとどかない
気温はあがりつづけるの
私はヒート・ウェイブ


砂の上ステップを踏めば
どよめきの輪が広がるの
渚のきらめきの真ん中で
私の夏は終わらない

天気予報がなんていったって
私がいれば大丈夫
低気圧だって逃げて行く
私はヒート・ウェイブ

渚のヒート・ウェイブ!

渚のヒート・ウェイブ - YouTube

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聖夜幻想

むかしむかしクラウスという戦士がいました。

クラウスは精悍で肩幅は広く筋肉はたくましく、髪の毛は編み上げてあり鉄の兜からはみ出して顔の両側に垂れていました。髪の毛と同じように口ひげも金色に輝き、胸当てにまで届きそうでした。

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ある日彼はいつもの道を歩いて泉のある広場に出ました。いつもならば水がめに水をくむお母さんたちと周りを騒々しく子供たちが走り回っているはずなのにその日は誰もいませんでした。どこからか女の人の泣きじゃくる声が聞こえました。クラウスは小屋の戸口から入ってみると女の人がうずくまっていました。胸には真っ赤な血に染めた赤ん坊を抱いていました。

-誰の仕業か?
クラウスが尋ねると母親は、
-軍隊が・・・軍隊がやってきて神の子がエジプトに行くのを止めるため、といって村中の男の子に襲いかかったのです。なんとむごいことを・・・
-ローマ軍か?
-いいえ、ヘロデの親衛隊です。
クラウスは母親に幾枚かの銅貨を手渡し、赤ん坊を手厚く葬るようにいました。

クラウスはすでに墓場のようになったその村をぬけて隣の村まで走っていくとそこではまだ兵士たちが赤ん坊を探し回っていました。クラウスは槍と斧を振り回して兵士たちを蹴散らしてたくさんの子供たちの命を救いました。村はずれまでいくとそこでも槍を持った兵士の一団が男と女を取り囲んでいるのを見つけました。クラウスは怒りに震えてすぐにその場にかけつけ斧を振り回して兵士たちを追い払いました。

やがて落ち着いたクラウスは二人を見ました。男は50才くらい、灰色のあごひげをしていました。婦人の方はようやく少女時代を過ぎたくらいの初々しい女性でした。恐らく15歳を越えていまい、クラウスはそう思いました。肌の色はおどろくほど白く、その輪郭は華麗としかいいようのないものでした。口元はやさしさにあふれ、青い大きな瞳が長いまつげのために陰を含んでいました。彼女は青い肩掛けを羽織っていて胸元にはかわいらしい赤ん坊が抱かれていました。一目見るだけで母親譲りの美貌と認めることができました。クラウスは婦人に言いました。
-行く前にその子の顔を見させてくださらんか。
婦人は赤ん坊を今一度抱き上げました。その子の青い目がクラウスに注がれたときのことです。クラウスはまるで目の前に大きな壁が出現したかのように立ち止まりました。不思議な声が聞こえてきたのです。それは人間の声ではありません。彼の耳に触れる天からの声でした。

-クラウスよ、なんじが余を救ってくれたゆえに汝に告げる。
クラウスは子供をみましたが唇は動いていません。ただ青い目は慈愛と知恵に満ちていてその子が話していることを理解しました。
-なんじは余のために仕事をしてもらわねばならない。
クラウスは子供に向かって声に出していいました。
-分かっています。私は戦士。あなたと、そして人々の平安のために戦い続けることでしょう。私は死ですら恐れることはありません。
-違う。汝は汝の生命とひきかえに幼子の生命を守った。笑う子供たちが汝の良心と愛の美しさをたたえ続けることになる。そしてなんじは永遠にすべての幼子の心に生き続けることだろう。
言葉はそこで終わりました。一人で子供に話しかけるクラウスを老人はあっけにとられてみていましたが、婦人は子供と同様に静かな温かい目で見守っていました。クラウスは二人に別れを告げてエジプトに早く向かうように言い残しました。

それからローマの時代に代わり、クラウスは傭兵隊長となっていました。或る日、クラウスはとある若者の処刑を取り仕切ることを仰せつけられました。処刑の日の朝、総督のピラトは看板をクラウスに渡しました。それには「こやつはこういい張る、われはユダヤの王なり」と書かれていました。それを首元にぶら下げてやれ、という指示でした。

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彼は十字架を背負わされ、茨の冠をかぶらされて群衆の見守る中、丘を登っていきました。そして処刑は滞りなく執行されました。まじかで見ていたクラウスは最期の瞬間、若者が天を仰いでこういうのを聞きました。
-これで終わりです。父よ、今こそ我が御霊を御身のお手にお返しします。
そして茨の冠をつけた頭ががくりと前に倒れました。
クラウスは震えていました。これが人間が犯した間違いであることに気が付きました。この若者は美しく、人間ではない、神の子なのだ、と。すると彼の耳に立て続けに鐘の音が鳴り渡りました。その中に、言葉が混じっていました。
-クラウス、汝は遠き昔、凶漢に襲われんとした幼子に憐れみをかけた。余を覚えているか?
-エジプトへの逃避行に手を貸したあの幼子ですか?
-そうだ。汝の役目はまだ終わっていない、始まってもいない、クラウス。汝の力が必要になったとき、世は汝を呼び寄せ、汝はその声を耳にするだろう。それを待つのだ。

クラウスは深々と十字架に向かって頭を垂れました。そして、十字架の下に落ちていた板を手にするとおもむろに足で踏みつけて割り「われはユダヤの王なり」とだけになったものを十字架にくくりつけました。警備していた兵士たちはそれを取り押さえようとクラウスのまわりに群がりました。その瞬間、暗雲が陽光を閉ざし、丘の上はまるで夜のようになりました。そして豪雨とともに稲光と雷鳴がとどろきました。人々は一目散に丘から逃げて行きました。この日からクラウスは反逆者としてローマから追われる身となったのです。

ある村を通り過ぎたとき、大きな地揺れに襲われました。白壁の家並みがくずれ道をふさいでいます。突然、大きな女の悲鳴が聞こえました。みると女が倒れています。壊れた家屋から落下した木材が彼女の脚をとらえて敷石の上に抑え込んでいました。まだ地揺れは続いていて塵埃が舞っています。クラウスは木材をはねのけ、女を抱きかかえると小さな広場へと運び込みました。まだあどけなさを残す少女といったかわいらしい娘でした。
-確かに私は娼婦でした。そして恐ろしい病気にもかかっていました。それで今日、わたしはあの恐ろしい処刑の日、主のお顔を拝しして治療を求めに参ったのです。
-で、治療は受けられたのか?
-はい、このように治癒いたしました。重い十字架を背負った主が通りかかられたとき、私は主に声をお掛けし、慈悲を願い出ました。すると主は片手の指をただ天にお向けになりわたくしをじっと見据えられました。私はその瞬間から病気のことを忘れ、汚れない身にもどったのです。ほら、私の肌はまるで乙女のように清らかでしょう?
-わかったから、行きなさい。
-でも、足が折れていて歩けません。私の住まいまでどうかお手をお貸しください。
クラウスは言いました。
-だめだ。お前の相手をしていた男たちに世話をやいてもらればいい。
クラウスがまとわりついていた彼女の手をふりほどいた時のことです。また、耳の奥に依然聞いたことのある懐かしい声がしました。
-女をさげすむものではない。余は彼女に慈悲をたれた。汝もそして余も彼女を必要とするのだ。彼女を汝のものとせよ。
クラウスは声に従うことにしました。
-名はなんと申す?
-ユナです。
-ユナよ、われは汝を妻に迎えたい。
ユナは小さな叫び声をあげてこう言いました。
-なんということでしょう。彼は刑場へ向かう途中、重い十字架を背にされながら私に微笑みながらこう告げられたのです。「女よ、お前の願いはかなうだろう」と。私はてっきり病気のことだと思っていました。でも違いました。もっと素晴らしいものでした。クラウス様、私はあなたを遠くからお姿を拝見したときからずっとお慕い申し上げておりました。奴隷として買っていただけたら、と願っていたのです。それが、妻だとは・・・
ユナは泣き崩れました。
-主も汝を必要だとされた。汝は何ができるのだ?
ユナは涙にぬれた美しい顔を上げて微笑んでいいました。
-私は織物が得意なのです。どんな布地でもすてきな飾り物に仕上げることができます。

その後もローマ軍はクラウスを追い続けました。クラウスとユナはたった二人で追っ手から逃げて北へ北へと向かう長い旅が続きました。

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そして二人はバルト海の岸辺にまで達しました。そこにはいくつもの谷が輪のように取り囲んでいるところです。しかし人々はそこに近づこうとしません。そこは地中に住む小人が一族が支配していると噂されていました。それというのも小人たちは魂を奪われた代わりに魔法と不死を与えられていてずっと生き続けるといわれていたからです。

クラウスとユナが馬を進めているとその途中で小袋を背負って悲し気な歌を歌って歩く小人たちの行列に出くわしました。クラウスは馬を止めて声をかけました。
-お前たちはどうしてそんな悲しげに旅を続けているのか?
-私たちは隠棲する場所を探して旅をしているのです。
先頭を歩いていた小人の王が答えていいました。
-昔から暮らしていた村で急に悪魔呼ばわりされ、パンもミルクもくれなくなりました。私たちは善行を行ってなかよく暮らしていました。でも、最近その善行を必要としなくなったのです。その挙句には私たちの悪行だけを言いふらして、私たちの姿を見ると追い立てるようになりました。

この話を聞いてクラウスは自分たちと同じ境遇だと同情しました。クラウスはこう尋ねました。
-お前たちは隣人である彼らに善行を施そうという気持ちは変わりはないか?
小人の王はいいました。
-もちろんでございます。それ以上の喜びはありません。私たちは、木と石と金属の細工については誇るに足る技術を身につけています。木を材料に使わせたら私たち以上に素晴らしい形を作り出せるものはおりません。ですが、僧侶たちに知恵をつけられた人たちは誰も私たちの贈り物など受け取りはしないでしょう。

そのときクラウスはたくさんの鈴の音を聞きました。そして懐かしい声が彼にささやきかけてきました。
-クラウス、なんじはこの小さきものたちの手助けが要る。いっしょに歩いていくがいい。
クラウスは王に声をかけました。
-そうだ、私といっしょに安らぎの地で暮らさないか。そこで子供たちに喜ばれる品物を思う存分作ってみないか。
王はいいました。
-将軍さま、そのお言葉が本当でしたら私はあなたの命に従います。私ばかりではありません。これなる一族こぞってあなたのしもべになりましょう。

そのあと、小人たちは宝の蔵から黄金ででき橇(そり)を運び出しました。小さな橇でした。4対のトナカイが橇に結び付けられました。王が魔法の呪文を唱えると橇は全員がのれるほど大きくなりました。そしてバルト海の波間を抜けて天を指して駆け上っていきました。クラウスはいいました。
-トナカイが止まりたいところに着くまで思う存分走らせるのだ。
橇は地上のはるか上空を飛び、やがて氷原深く進んだところでトナカイたちは足を止めました。彼らはそこに太い丸太と厚い壁の家を建てました。中央の広間にはいつも火が燃えさかる暖炉と煙突を作りました。そして大きな広間を囲むようにいくつかの小部屋が作られ器用な小人たちはすぐに金属でおもちゃを作り始め、鉄を鍛える槌の音が鳴り響きました。また、ある小人は木を使っておもちゃを作り始め、またある小人は漆喰と陶器で人形を作り、ユナの指導のもとで織物で服をつくり人形を飾り立てました。やがておもちゃは山のようにたまっていました。

生誕祭の前日のことです。クラウスはおもちゃの山を橇に積み込み、口笛を吹いてトナカイを呼び寄せると天にとび立ちました。魔法の橇なので、生誕祭の朝を告げる朝の光が差し込む前に世界の子供たちを喜ばせる贈り物をどの家にも届けることができました。

クラウスは家に戻ると、彼の帰りを待っていた器用な小人たちと妻ユナとともに豪華な宴を催し、世界中の子供たちの健康と幸せを祈りました。

むかしむかしクラウスという戦士がいました。

彼の剣はどこかの城壁の中で錆び付いているでしょう。なぜならば、ベツレヘムへおもむく途中で聴いた預言に従った彼には武器などは必要ではなかったのです。そして現代、彼をまつる祭壇は世界中のどこにも存在しません。でもクラウスは今も生きています。彼は隊長でも戦士でもありません。そう、彼は幼い子供たちを温かく守護する聖者、サンタクロースなのです。そしていまでも毎年何十億人の子供たちが彼の訪れを心待ちにしているのです。

「AとBのC」な映画タイトル

映画館で「ミラベルと魔法だらけの家」を観た。

   <ミラベルと魔法だらけの家>
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最近、こうした「AとBのC」という形式の映画タイトル(サブタイトルを含む)が多いような気がする。

ここでいうA,B,Cとは次のような定義である。

 条件1:Aは人物を表す。個人でも集団でもいい。
 条件2:BはCの修飾語ならば「の」にはこだわらない。「○○な」でもいいし、助詞が省略されていてもいい。
 条件3:Cは事物を表す(人物であってはいけない)。
 条件4:文節の切れ目は「(A)と(BのC)」である。「(AとB)の(C)」ではない。

この定義によれば「ミラベル」はこの条件に合致する。ほかにもいろいろな映画のタイトルを紐解いてみると、

・「チャーリーとチョコレート工場」は条件2に合致する。
・「アナと雪の女王」は条件3に合致しない。

条件4が最も重要である。

・「愛と青春の旅立ち」や「キティとミミィの新しい傘」は条件4に合致しない。
・「チャーリーとパパの飛行機」も同様に見えるが映画を観てみるとこの飛行機はあくまでパパの所有物なので条件4に合致する。 

日本語の不明瞭さで映画の中身にまで踏み込まないと判断できないものもある。

ということで 20~21世紀にわたる約4万本の映画タイトルから上記の条件に合致するものを検索してみた。結果を下表に示す(全35タイトル)。

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公開年の年代別経緯を下のグラフに示す。

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これらは原題からそうなっているわけではない。例えば、No30の「モアナと・・・」の原題は「Moana」である。つまり、このタイトル形式は日本国内の配給会社の判断によるものである。

この形式の草分け的な存在は半世紀昔、1967年のアニメ映画「アラジンと魔法のランプ」であるが、本格化したのは21世紀に入ってからである。映画のジャンルとしてはファンタジー、アニメに限定される。そのためタイトルに魔法、秘密、謎などの単語が多用されている。

そのきっかけとなったのは「ハリーポッター」シリーズでありそれが大ヒットしたことと考えるのが妥当であろう。「ハリーポッター」についていえば原題もほぼそのままである。

この形式を採用する目的は、まず映画の世界を超えて主人公Aを取り巻く世界が背後に存在することを暗示し、映画はその一断面の出来事(BのC)に過ぎないことを印象付けることで映画の枠を超えた世界観の広がりを持たせることにあると思われる。また、続編が予定されていること、あるいはその期待を込めての意味もあるだろう。

最後になぜ「BのC」とするのだろうか。

それは仮に「ハリーポッターと石」を考えてみれば自明である。

安定滑走定理

◆はじめに

ある曲線からなるレール上をある物体が重力だけで滑走するシステムを考える。代表的な例はジェットコースターであるが滑り台などもその一種と考えられる。ここで物体はレールに固定されずに単純に乗っているだけとする。物体が曲線上を動く中でレールから飛び出すなどの事象が発生せず、レール上を安定して滑走できる条件を考える。ジェットコースターには安全上ロック機構が施されているとは思うがここではそう仮定する。


◆分析モデル

分析モデル化を下図に示す。

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レール、あるいは滑り台の曲線をy=f(x)とする。物体はx=0で高さy0の位置から曲線yの接線の方向に初速度v0で動き出すこととする。また、物体とレールの間には摩擦力は存在しないこととする。エネルギー保存則から、物体の高さyには制限があり、曲線yの形状によらず、

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が成り立つ。滑り台などでは普通初速度v0=0で動き始めるので、当たり前だがその場合は滑り台の高さよりも高い場所には上がることはできない。初速度をつけて滑り始める勇敢な人がいれば話は別である。


◆滑走の運動方程式

レール上を滑走する物体にかかる力は、①重力、②遠心力、③レールからの抗力の3つである。安定して滑走している間はこれらの3つの力が釣り合っている。ジェットコースターなどではループなどを考えると、レールの下を滑走する場合もあるのでA)上側走行、B)下側走行の2つのケースを分けて考える。

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ここでRはレール上の物体の曲率半径である。遠心力の方向は曲線yの2回微分の正負により決まる。③レールからの抗力はレール上を安定で滑走できる条件として重要である。抗力を受けている間は安定して滑走できることを示しており、これが0もしくはマイナスになるとレールから浮いている、あるいはレール軌道から外れてしまっている状況を示す。ここではこれを物体が感じる重力と呼ぶことにする。

2つのケースでの運動方程式は、

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となる。これらから、上側、下側の重力には、

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という関係があることがわかる。ここで、エネルギー保存則、曲率半径の定義などから、

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が成り立つのでこれらを用いると、重力の有無を判定する式として、

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を得る。これを用いると実際の重力はG>0の時だけ存在し、実際の重力Gは、

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などと計算することができる。

安定滑走条件は、この重力GがG>0を満たすことである。エネルギー保存則から式のカッコ内は常に正なので、y’’>0の場合は常に、

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となり、上側滑走は必ず安定走行、下側滑走は不安定で必ずレールから離脱する。

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y’’<0の場合はどちらか一方だけが安定でもう一方は不安定である。

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本式の形を見るとわかるように、yの2回微分が発生する。この2回微分可能性は乗り心地を決めるために非常に重要である。円形ループのジェットコースターについてはかつて次のような事故が発生した。

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  これは下図に示す重力Gが跳躍することにより発生する。

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確かに現代のループは完全な円は採用していない。ループに入るときの曲線に曲率半径が滑らかに変化する曲線が採用されている。

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また無重力空間(g=0)においては、

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と簡略化される。y’’>0ならば上側だけ、y’’<0ならば下側だけが安定である。回転する宇宙ステーションにおいては内側にいれば安定だが、 外にいる人は投げ出されることになる。


◆滑走の具体例

まず前回同様、高さh滑り台を考える。滑り台は上側走行のみである。まずは初速度v0=0の場合を考える。いくつか形状について重力Gを計算した結果を示す。


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直線、2次式の場合は安定に滑れるが、3次式、円型の場合は途中で離れてしまい危険である。多項式型の場合は2次式までは安定だが、3次式以上はすべて途中で離脱する。

次に初速度v0>0を与えた場合を考える。円型の滑り台を例として示す。
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となり、

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初速度がある場合、離脱するタイミングは早め、離脱位置は高い場所となる。
 
次に半径rの円形のジェットコースターで安全に旋回できる最小の進入速度を求める。

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この場合、問題となるのは円の上部の下側を走行するときであり、重力の式はGLとなる。これを求めると、 

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これが最小となるのは物体が頂上に円の頂上にあるとき(y=2r)であり、この時、 
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これがG>0となる条件より、

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が得られる。

さて、円形のジェットコースターで頂上を経由してからその後、途中でレールを外れることはあるだろうか。

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実はこういう挙動になることはない。頂上を経由できればその後は必ず安定して走行する。これは円形の場合に限らない。一般的な線対称な形の場合の重力Gを考える。

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図のように対称で同じ高さの2点A,Bにおける重力を考える。

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2点における重力を考えると、線対称性から、

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が成り立つので、それぞれの地点での重力には、

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という関係が成り立つ。これより、線対称な形のレールを走る場合、

①対応する同じ高さの点には同じ重力が働く。

②G=0となってレールを離脱する条件も一致し、離脱条件が成り立つ場合は 片側で先に離脱する。

③片側で安定走破できれば反対側でも安定して走破可能であり、反対側で初めて離脱するというケースは発生しない。  円の場合もその通りである。

ということが分かった。

次に高さhの放物線型のジェットコースターを安定して乗り越えられる初期速度v0を計算する。

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まず乗り越えるために必要な最低速度はエネルギー保存則から、

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となる。レールから外れないように初速度の上限が定められる。重力Gを求めると、

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となるので、これが正となる条件から、

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以上を整理して、

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が得られる。放物線の高さが高いほど、安定走行可能なv0の範囲は狭くなり、事故は起こりやすくなる。それは直観とも一致する。


次に、下記のようにすべての位置でG=0となる曲線があったとする。

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この場合、

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を満たすことになり、上側、下側をかろうじてレールに沿って走れることになる。これはどのような曲線なのかを考える。まず両辺をxで微分すると、

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となる。よって、

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が解となる。後者は元の式に代入すると1=0となり不適なので、前者のみが可能性がある。この一般解は、xの2次式であり、

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これを代入して初期条件を用いて解くと、θをパラメータとして用いて、

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が得られる。これは高さy0の位置から速度v0、角度θで投げた物体の放物線に他ならない。

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仮にレールを除去しても物体はこの軌跡をたどるのは明白である。こういう特性を持つ曲線は放物線に限られる。

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◆まとめ

最後に今回の安定滑走定理を整理しておく。

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◆応用問題

最後に一つ応用問題を示す。

 円形のレールを持つジェットコースターで進入速度が不足して上る途中でレールをはずれ、円のちょうど真下の部分に落下する事故が発生した。レールから離脱するタイミングにおける角度θを求めよ。

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解答:θ=30°