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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

神田川数列(最終回)

問題をあらためてここに整理する。

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mxnの格子に対して、1x2の畳を敷き詰める。畳は縦長、横長のいずれでも構わない。敷き詰めるすべての方法の数を求めることである。当然、m、nの両方が奇数の場合は、必ず1つあまりが出てしまうので、0となる。

全体を俯瞰していい方法が見当たらなかったので、地道ではあるがmの値を1から順に計算していって全体の流れから一般式を見い出す作戦とした。


まずm=1の場合、畳は横長に並べてるしかない。nが奇数の場合は、余りがでてしまうので0である。nが偶数の場合だけ1となる。これを漸化式として表現すると、

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となる。nが2つ飛びであることに注意を要する。

次にm=2の場合は、畳は縦に一つ置く、横に2つ並べて置く、の2通りを順次繰り返していくことになる。これは有名なフィボナッチ数列であり漸化式は、

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である。続いてm=3の場合である。これについては前回までに示したように、縦横の組み合わせパターンに分類してパターンごとの漸化式を作成しそれらを統合してくことで求められる。

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ここでもm=1の場合で見られたように、2つ飛びの漸化式となる。これがmが奇数の場合の特徴である。nが奇数の項ではとびとびに0となる。

続いてm=4の場合、これもさらに複雑な計算の結果、

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が得られた。mが偶数なので隣接の漸化式である。n-4の項まで登場した。

さらにm=5。苦しい計算の結果、

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となった。mが奇数なので2つ飛びである。

m=6の場合についても非常に煩雑な計算の末に、

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体力的にはここまでが限界である。

以上の結果を数表の形で示すと下表のようになる。

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m、nについては交換しても数字が変わらないことを利用してm=7,8もある程度は記入することができる。

4x4が36通りというのはなんとなくわかるが、6x6になると6千通りを超えるという事実がどうにも信じられない。8x8の場合は求められていないが100万通りをはるかに超える。この表を見ていても数字の規則を見つけられそうにない。そこで漸化式の形に着目して規則を見出すことにした。漸化式を=0の形で表現して登場する係数を並べたものが下表である。(m=7、8は類推)

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漸化式の中心の項を縦方向に並べてみる。

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これで見えてくるのは、

 (1) 漸化式の項数はmの増加に従って、指数関数的に増加する。
 (2) 漸化式の係数は中央の項からみて前後に対称である。
 (3) 特に最初と最後の項の係数は1かー1である。

本表をもう少し見通しをよくするために上記の隣接項表記から、つまり2つ飛び表記したらどうかを検討した。

一般に隣接する項による漸化式は所定の手続きで2項飛びの表記に変換が可能である。

その原理をm=2の場合(フィボナッチ数列)を例に示す。

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このように元の漸化式を項をずらしたものに所定の値を掛けたものを複数足し合わせることで、2つ飛びの漸化式に変換可能である。これを用いて上の表を書き直したものを下表に示す。

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こうして漸化式の進化の規則についてその概要を明らかにすることができた。しかし、本表に登場する数字の規則性についてはまだまだ藪の中である。m=7以上で漸化式を求めることは非常に困難であるためこの手法の解析はここまでとして、今後、全く異なるアプローチの登場を待つしかない