引き続き、レンガブロックをn段積上げる方法の数について考察する。
レンガを2n個使ってn段の柱を作る場合の組合せの数を、
と表す。
n段積上げた状態でそれを上からみた形で分類すると、3つのパターンが考えられる。これはあくまでn段の上部だけを考えたものである。それぞれのパターンごとにどの位の組合せが存在するかを考えることで漸化式を作成する。
一番素直なのがこれ、2つが横並びになる場合である。これは90度回転させる場合もあるので2通りである。
これは高さとしてはちょうど1段分なので、残りは(n-1)段分を積み上げる組合せになる。よって組合せの数としては、
となる。次が縦置きに4つの場合。これは1通りだけである。
高さは2段分とるので、残りは(nー2)段分であり、その組み合わせの数は、
となる。
さて、次が横置きと縦置きの混合である。これは90度ずつ4通りの回転が存在する。
このパターンでは残りのブロックの形状はちょっと複雑で、(nー1)段の上部から横のレンガ1個分、つまり半分だけ切り取られたようないびつな形になる。これの組合せの数はBの系列では表現できないので、それとは別にS系列として定義すると、
となる。以上より、次の漸化式が成り立つ。
S系列については上部に飛び出した半分については2通りが考えられる。ひとつはレンガが横に置かれた場合であり、その場合の残りの部分は(nー2)個のB系列となる。もう一つはレンガが2つ縦に置かれた場合であり、その場合の残りの部分は(n-2)個のS系列となる。こうしてもう一つの漸化式である、
が成り立つ。
以上より、B系列、S系列については次の連立漸化式が成立する。
これを解くことでBだけの漸化式を求める。まず、第1式でn→nー1としたものを連立させて辺々を引く。こうすると第2式を用いてSを消去することができる。こうして、Bについての漸化式、
が得られる。この形式の漸化式を満たす一般項は、次の特性方程式とその解、
を用いて、次のように表される(Cは定数)、
これを初期条件を用いて解くことで、
が得られる。ちょっと複雑なので、第2項以下を定量的に分析してみる。
第2項はnが増えるに従って0に限りなく近づいていく。すべてのn≧1について、
となる非常に小さい値である。第3項は±0.333…という2通りの値しかとらないので、第2、3項は合算しても、
程度であるから、真の値(つまり整数)と第1項の差は、
となり、真の値は第1項を四捨五入で丸めることで求める数を得ることができる。つまり、
となる。
余談であるが、柱をもっとシンプルにしたらどうなるだろうか。
横置きのレンガの大きさで積んでいくやりかたである。この場合の組み合わせの漸化式は、
であり、数列を書き下すと、
おなじみのフィボナッチ数列そのものである。