★Beat Angels

サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

おてんばジュリエット

赤いスウェットに着替えて
バルコニーから抜け出すの
遠い街の灯が私を呼んでるわ

いつも退屈なパーティ
おしゃれな会話にもうんざり
新しい風をいつも感じていたい

わたし、おてんばジュリエット
重いドレスを脱ぎ捨てて

自由のつばさをひろげて
気ままに生きてゆきたい
なんでもこの目で確かめて

目の前に敷かれたレールに
運ばれていくのはいやよ
自分で決めるの

わたしは夜も飛び越える
おてんばジュリエット


今頃ママはあわててる
パパは行方を捜してる
大丈夫よ、心配しないで

素直ないい子でいるより
素敵なレディになりたい
ほんのちょっぴり冒険したいの

わたし、おてんばジュリエット
ガラスの靴も脱ぎ捨てて

星降る夜の浜辺を
裸足で駆け出したいのよ
何かが私を待っている予感

誰かが書いたシナリオに
流されていくのはいやよ
自分で決めるの

わたしは夜も飛び越える
おてんばジュリエット


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レンガを積み上げる問題(その2)

引き続き、レンガブロックをn段積上げる方法の数について考察する。

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レンガを2n個使ってn段の柱を作る場合の組合せの数を、

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と表す。

n段積上げた状態でそれを上からみた形で分類すると、3つのパターンが考えられる。これはあくまでn段の上部だけを考えたものである。それぞれのパターンごとにどの位の組合せが存在するかを考えることで漸化式を作成する。

一番素直なのがこれ、2つが横並びになる場合である。これは90度回転させる場合もあるので2通りである。

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これは高さとしてはちょうど1段分なので、残りは(n-1)段分を積み上げる組合せになる。よって組合せの数としては、

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となる。次が縦置きに4つの場合。これは1通りだけである。 

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高さは2段分とるので、残りは(nー2)段分であり、その組み合わせの数は、

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となる。

さて、次が横置きと縦置きの混合である。これは90度ずつ4通りの回転が存在する。

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このパターンでは残りのブロックの形状はちょっと複雑で、(nー1)段の上部から横のレンガ1個分、つまり半分だけ切り取られたようないびつな形になる。これの組合せの数はBの系列では表現できないので、それとは別にS系列として定義すると、

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となる。以上より、次の漸化式が成り立つ。

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S系列については上部に飛び出した半分については2通りが考えられる。ひとつはレンガが横に置かれた場合であり、その場合の残りの部分は(nー2)個のB系列となる。もう一つはレンガが2つ縦に置かれた場合であり、その場合の残りの部分は(n-2)個のS系列となる。こうしてもう一つの漸化式である、
 
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が成り立つ。

以上より、B系列、S系列については次の連立漸化式が成立する。

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これを解くことでBだけの漸化式を求める。まず、第1式でn→nー1としたものを連立させて辺々を引く。こうすると第2式を用いてSを消去することができる。こうして、Bについての漸化式、

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が得られる。この形式の漸化式を満たす一般項は、次の特性方程式とその解、

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を用いて、次のように表される(Cは定数)、

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これを初期条件を用いて解くことで、

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が得られる。ちょっと複雑なので、第2項以下を定量的に分析してみる。

第2項はnが増えるに従って0に限りなく近づいていく。すべてのn≧1について、

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となる非常に小さい値である。第3項は±0.333…という2通りの値しかとらないので、第2、3項は合算しても、

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程度であるから、真の値(つまり整数)と第1項の差は、

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となり、真の値は第1項を四捨五入で丸めることで求める数を得ることができる。つまり、

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となる。

余談であるが、柱をもっとシンプルにしたらどうなるだろうか。

  

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横置きのレンガの大きさで積んでいくやりかたである。この場合の組み合わせの漸化式は、

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であり、数列を書き下すと、

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おなじみのフィボナッチ数列そのものである。

レンガを積み上げる問題

昨今の情勢、そして身の回りの諸般の事情から味気ないレンガを眺めながらタバコを吸うことが多くなってきた。

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こんな問題を思いついた。一つのレンガブロックの大きさを、

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とし、これを次のようにn段積み上げる。

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ここでレンガは横長においてもいいし、縦長においてもいい。ただし、空きスペースができてはいけない。つまり、上図を構成するレンガブロックの数は必ず2n個である。

ここで問題はこのようなレンガの積み上げ方は何通りあるか?である。

実際にnの小さいほうから数え上げてみると、

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である。

一般項を求めた結果、

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となった。不思議な形でちょっと自信はないがどうもこれで正しそうである。

おーい、志村、聞こえてるかー?

あれ?

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志村が死んじゃったよ!

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あ、なーんだ。生きてるじゃねえか。

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あーあ、踊ったりして。驚かすなよ。

あれ?志村がまた死んじゃった?

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あ、やっぱりまた生きてる。

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志村は不死身だね。でも、ちゃんと借金は返せよ!

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あれ?これは?

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もうだまされねえぞ。どうせ生きてるんだろ?
 
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みんなもしんみりして芸達者だねえ。でも、もうすぐ写真を突き破って飛び出してくるんだよな。

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・・・あれ?志村どうした?もう時間がないぞ!

・・・あーあ。番組終わっちゃったよ。どうするんだ、志村!

・・・おーい、志村、聞こえてるかー?

・・・俺はいつまででも待ってるからなー!

見えざる敵(ボッカチオ『デカメロン』)

現在、世界中が見えない敵と戦っている。感染防止の外出禁止、自粛のムードの中で読み忘れたまま本箱に放置されていた本を再び手に取る機会も増えてきているのではないだろうか。
 

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100の物語からなる大著『デカメロン』。14世紀ルネッサンスの時代、イタリア・フィレンツェのボッカチオの手による古典的な名作だ。一編ずつ読み進めていたのだが、今回の自宅謹慎処分を機に全編を読み上げることができた。

1,000人を超える登場人物のなんと個性的なことか。誠実な人、敬虔な人、勇猛果敢な人、対極にある卑屈な人。厚顔無恥な人、高慢ちきな人。そして忘れてはいけない人間の本性とでもいうべき愚かで破廉恥ではあるがどこか憎めない人たち。彼らが織りなす古今東西100の壮大な人間賛歌である。

この本が書かれた14世紀はペスト(黒死病)が大流行していた時代である。当時、フィレンツェも壊滅の危機に瀕していた。そこでこの物語の語り部である男女10人は迫りくる死の影を怖れてフィレンツェ郊外へと逃げだし、そこで10日間にわたってこれらの悲喜劇を語り合ったのである。


冒頭で見えない敵、と書いた。当時も同じだったかというと実はまったく違う。現代で見えない、という時にはその原因であるウィルスが存在することを承知した上での話だからだ。当時から考えると顕微鏡が発明されて細菌が存在することが分かるまでまだ300年、そして病気がウィルスを介して感染することが発見されるまで、つまりコッホ、パスツールの時代までさらに200年が必要だった。

14世紀の当時、ペストの猛威におびえる市民は現代のわれわれからは想像を絶する恐怖の中にあったと思う。それを悪魔、魔女の仕業と結びつけることは自然な成り行きであった。そんな絶望的なムードの中で、ボッカチオは人間そのものを見つめ続け、その生そして性の輝きを追い求め文学の形で結晶化させていったのである。

さて、現代を生きる私たちは、その原因がウィルスという人類の敵であることを知っている。人類が協力し合ってこの共通の敵と戦い勝利をおさめる必要がある。でもどこかにその原因を何か別なものの悪意に落とし込もうという心理的作用が働いてはいまいか。そしてそれが人類にとって本当の敵であることは実は14世紀とあまり変わっていない。

コードネーム:E

Twitterポール・マッカートニーのこんなインタビュー記事があった。一番好きなコードは何か?という質問である。

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ポールの答えはこんなで
ある。

Paul:一番好きなコード・・・それは難しい問題だ。でも僕はEがかなりいいと思う。最初に覚えるコードだし。昔、バディー・ホリーの曲をたくさん演奏したんだけど、彼はEとかAを使ってた。Eはとてもピュアで基本的できれいに鳴るんだ。低音弦がオープンだしね。だから他のコードにはない響きがある。でもね、僕はコードは全部好きだよ。でもどうしても一つと言われたらそれはEだね!

記事は「ポールの曲でコード:Eを使っているものを探してみよう」で締めくくられていた。

ということでBeatlesの曲212曲の中でコード:Eが使われているものを数えてみることにした(すべてがポール作曲というわけではないが)。楽譜を全部読み通すのも大変なので調(キー)から調べる方法を考えた。

まずは長調の曲である。210曲中191曲が対象となる。

キーがE、つまりホ長調の曲には、All My Lovingとか、Day Tripperなどがあり、当然のようにコード:Eは登場する。これを探してみると34曲ある。

大抵の長調の曲は主要3和音という3つのコードで構成される。C:ハ長調の場合ならば、FGが追加される。この主要3和音の中にEが登場するのは、キーがEに加えて、Aイ長調)そしてBロ長調)の場合である。キー:Aの曲は、Get backA Hard Day's Nightなど
36曲、キー:Bの曲はGood Day Sunshineなど5曲。

長調の曲についてキーごとの曲数を下図に示す。

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長調でコード:Eが登場するのは合計で75曲である。

続いて短調(Minor)であるがこちらは全体で19曲しかない。

短調については、長調と同じ音を使う平行調を考える。平行調とは、例えばキー:Cハ長調)に対するキー:Amイ短調)のことである。この場合、短調の場合でも対応する平行調のコードが登場する確率は高い。

例えば、キー:Eに対する平行調はキー:C#m嬰ハ短調)であり、曲としてはAnd I Love herなどである。確かにコード:Eが登場する。短調についても主要3和音があるのでそれに対応するのは、F#m嬰ヘ短調)、G#m(嬰ト短調)である。キー:F#mの曲はA Taste of Honeyなど2曲。キー:G#mの曲は存在しない。

短調でもう一つ考えないといけないのが、主要3和音の中に長調のキーが含まれる場合があることである。キー:Amイ短調)の場合の主要3和音として、DmEmが加わるが、このEmEに変わる場合が多い。キー:Amの曲は、You Never Give Me Your MoneyYour Mother Should Know、など8曲と多い。

短調の曲についても同様に下のグラフに示す。コード:Eが登場するのは全部で13曲。
 

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以上より、コード:Eが登場するのは210曲中、88曲、つまり42%。かなり好んで使われている、と言っていいだろう。

ちなみにキーを探すのに困った曲が2曲あり、上記には含めていない。それは、Revolution 9Within You Without youである。

セールスマン勧誘問題とその応用

ある区域でセールスマンが営業活動を開始した。勧誘の結果、成約に至るとその契約した者もセールスマンとして同じように営業を開始する。これを繰り返すことでその区域の加入者数はどんどん増えていく。いわゆるねずみ講の原理である。

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 このときの加入者数の推移を数学的に解析する。 

【セールスマン勧誘問題】

(1) ある区域における全体の人口をNとする。

(2) 人口Nに対する加入者の割合、つまり加入率をSとする。
 (Sが100%となった時点が全員加入時つまり営業完了時となる)

(3) 加入者は区域内でランダムに人に接触し、一日に出会う人をm人とする。ランダムなのでm人の中には当然既加入者も含まれる。

(4) 接触した非加入者が成約に至る確率は一定でそれをαとする。

(5) 新規で加入してくれた人にはそのお礼として1泊の温泉ツアーが振る舞われる。

(6) 温泉ツアーは一日最大H人までというホテルの収容制限がある。

 まず、Sについての微分方程式は、

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となる。この微分方程式を解くと、

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となる。ここでSoはスタート時点(t=0)の契約率である。スタート時点においてセールスマンは全体の人口Nに対して非常にはこれは小さいとして近似式を用いた。

セールス開始直後の期間はさらに、

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という近似式となる。加入者は指数関数的に増加する。これがねずみ講と呼ばれるゆえんである。

契約率Sが増加してくるに従って元の微分方程式の(1-S)の項の影響が出てきて増加が抑制される。つまり、非加入者が減少してくるためである。こうして時間が経過するに従って下図のようにSは1に限りなく近づいていく。

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接触者数mそして、成約率αを上げることによって1に近づくまでの時間を短縮することが可能である。

ここで新規加入者に対する温泉ツアーにおけるホテルの収容制限(H人まで)の問題を考える。ホテルの収容能力を考慮すると、接触者数m、成約率αをコントロールして一日あたりの新規加入者数を押さえ込まないといけない

一日の新規加入者の推移はつまりSを微分することでえられる。

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さらにこれを微分すると、

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となり、これが0となる時が新規加入者数が最大となる時に対応する。そのtを求めると、

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が得られる。この時の新規加入率を計算すると、

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となる。この時のSを計算するとちょうど0.5となる。つまりこのタイミングで加入者、未加入者の大小関係が入れ替わることになり、この時を境に契約者数の伸びが鈍化するといいうのは直観とも一致する。

以上をグラフにて表すと下記となる。

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新規加入率の変化に人口Nを掛けたものが、その日一日の新規加入者数になる。これがホテルの収容能力H以下になればいい。

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これより、接触者数mと成約率αについての条件は、

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となる。これを満足するように営業活動を行うことでホテルの収容制限を守ることができる。つまり、一日の接触者数を抑えること、そして接触した場合の制約に至る確率を下げることである。

セールスマンの問題としては以上である。ご推察のとおり、本分析は昨今、世界中を騒がせている最大の関心事の分析を意図してなされたものである。Hとはホテルの部屋数(Hotel)でもあり、病院の病床数(Hospital)でもある。いずれにしても早期に沈静化することを願うばかりである。