Twitterでポール・マッカートニーのこんなインタビュー記事があった。一番好きなコードは何か?という質問である。
ポールの答えはこんなである。
Paul:一番好きなコード・・・それは難しい問題だ。でも僕はEがかなりいいと思う。最初に覚えるコードだし。昔、バディー・ホリーの曲をたくさん演奏したんだけど、彼はEとかAを使ってた。Eはとてもピュアで基本的できれいに鳴るんだ。低音弦がオープンだしね。だから他のコードにはない響きがある。でもね、僕はコードは全部好きだよ。でもどうしても一つと言われたらそれはEだね!
記事は「ポールの曲でコード:Eを使っているものを探してみよう」で締めくくられていた。
ということでBeatlesの曲212曲の中でコード:Eが使われているものを数えてみることにした(すべてがポール作曲というわけではないが)。楽譜を全部読み通すのも大変なので調(キー)から調べる方法を考えた。
まずは長調の曲である。210曲中191曲が対象となる。
キーがE、つまりホ長調の曲には、All My Lovingとか、Day Tripperなどがあり、当然のようにコード:Eは登場する。これを探してみると34曲ある。
大抵の長調の曲は主要3和音という3つのコードで構成される。C:ハ長調の場合ならば、F、Gが追加される。この主要3和音の中にEが登場するのは、キーがEに加えて、A(イ長調)そしてB(ロ長調)の場合である。キー:Aの曲は、Get back、A Hard Day's Nightなど36曲、キー:Bの曲はGood Day Sunshineなど5曲。
長調の曲についてキーごとの曲数を下図に示す。
長調でコード:Eが登場するのは合計で75曲である。
続いて短調(Minor)であるがこちらは全体で19曲しかない。
短調については、長調と同じ音を使う平行調を考える。平行調とは、例えばキー:C(ハ長調)に対するキー:Am(イ短調)のことである。この場合、短調の場合でも対応する平行調のコードが登場する確率は高い。
例えば、キー:Eに対する平行調はキー:C#m(嬰ハ短調)であり、曲としてはAnd I Love herなどである。確かにコード:Eが登場する。短調についても主要3和音があるのでそれに対応するのは、F#m(嬰ヘ短調)、G#m(嬰ト短調)である。キー:F#mの曲はA Taste of Honeyなど2曲。キー:G#mの曲は存在しない。
短調でもう一つ考えないといけないのが、主要3和音の中に長調のキーが含まれる場合があることである。キー:Am(イ短調)の場合の主要3和音として、Dm、Emが加わるが、このEmがEに変わる場合が多い。キー:Amの曲は、You Never Give Me Your Money、Your Mother Should Know、など8曲と多い。
短調の曲についても同様に下のグラフに示す。コード:Eが登場するのは全部で13曲。
以上より、コード:Eが登場するのは210曲中、88曲、つまり42%。かなり好んで使われている、と言っていいだろう。
ちなみにキーを探すのに困った曲が2曲あり、上記には含めていない。それは、Revolution 9とWithin You Without youである。