★Beat Angels

サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

格子点をくぐり抜けて(続き)

線形代数を用いてもっと一般的な解法を試みる。1~nについて、

 f:id:taamori1229:20190114061038p:plain

が成り立つとき、

 f:id:taamori1229:20190114061130p:plain

が、a1~anを用いてどう表されるかを考える。

Vを、

 f:id:taamori1229:20190114061219p:plain

というヴァンデルモンド行列とすると、

 f:id:taamori1229:20190114061243p:plain

と表すことができる。これをA1~Anについての連立方程式とみて、その解をクラメルの公式を用いて解けば、Akは、

 

 f:id:taamori1229:20190114061328p:plain

となる。ここでVkは、行列Vk列目をベクトルaで置き換えたものである。分母についてはヴァンデルモンド行列の行列式として、

 f:id:taamori1229:20190114061359p:plain
であることが知られている。分子については、余因子展開により、
 f:id:taamori1229:20190114061413p:plain

となるので(各項の符号は省略)、

 f:id:taamori1229:20190114061441p:plain
となる。これを用いてan+1を計算すると、

 f:id:taamori1229:20190114061458p:plain

  f:id:taamori1229:20190114061513p:plain

となる。±nの偶奇性による。

ここまでは一般論だが、今回の問題である、
 f:id:taamori1229:20190114061527p:plain

の場合を考える。Crの分子でxrが登場する項のみを計算すると、

f:id:taamori1229:20190114061541p:plain

である。xrをxn+1に置き換えて計算すると、

f:id:taamori1229:20190114061022p:plain

これより、Crを計算すると、

f:id:taamori1229:20190114061620p:plain

となり、前回の結論と同じ、

 f:id:taamori1229:20190114061638p:plain

が得られ、a1~anが整数であればan+1が整数であること、従ってすべてのnに対してanが整数であることが証明された。


格子点をくぐり抜けて

風呂場で湯舟につかって、壁のタイルをぼんやり眺めたときに考えたことである。

 f:id:taamori1229:20190112110522p:plain

隣り合う縦線で任意の格子点を選んでみる。

 f:id:taamori1229:20190112110534p:plain


この2点を通る直線をひく。 

 f:id:taamori1229:20190112110548p:plain

 
縦線に沿って眺めてみると直線はすべての縦線で格子点の上を通過する。

 f:id:taamori1229:20190112110601p:plain

最初にどんな2点を選んでもそれは成り立つ。直線だから当たり前であろう。曲線だとそうはいかないだろう、と考えた。

f:id:taamori1229:20190112110615p:plain

今度は並んだ3点を選ぶ。そして、その3点を通る放物線を考える。

 f:id:taamori1229:20190112110630p:plain

同じように縦線を眺めてみると、

 f:id:taamori1229:20190112110640p:plain

 直線と同じように、やっぱりすべての縦線上で格子点を通過する。単なる偶然かと思って幾通りの場合で試してみたがやはり結果は同じで、必ず格子点を通過する。さらに、4点の場合(3次曲線)でやってみたが方程式は複雑になるもののこれも同じくもれなく格子点を通過する。

こうして次の定理が予想される。

定理1:

n個の整数(a1an)が与えられたとき、

f:id:taamori1229:20190112110249p:plain

となる(n-1)次の多項式が一意に定まる。

 

定理2:

この多項式はすべてのn(1~n以外も含む)について整数である。

 
この定理が正しいとするとその範囲はかなり広い。例えば、100個の点を指定して得られるnの99次多項式について、n=10,000を代入したらそれは整数となる、ということである。 

 f:id:taamori1229:20190112111006p:plain

とすれば、

 f:id:taamori1229:20190112111018p:plain

と表せる。この行列Vはヴァンデルモンド行列と呼ばれているもので、今回のようなケースでは行列式が0でないことが分かっている。よって、行列Vには逆行列が存在し、

 f:id:taamori1229:20190112111027p:plain

と表せる。これによって定理1が証明された。

定理2については、1~nについて、

 f:id:taamori1229:20190112110249p:plain

が整数であるときに、

  f:id:taamori1229:20190112111044p:plain

が整数となることが示されれば、すべてのnについて整数となることが証明される(数学的帰納法による)。具体的には、

 f:id:taamori1229:20190112111212p:plain
となる関数fを求めて、それが任意のaに対して整数値をとることを証明すればいい。

以下、その計算を行う。ここでは(1-x)の2項展開式を活用する。

 f:id:taamori1229:20190112111956p:plain
において、x=1を代入すると、
 f:id:taamori1229:20190112120258p:plain
が得られる。以下、①~③の手順を繰り返す。

 ①両辺にxを掛ける。
 ②x微分する。

 ③x=1を代入する。

結果として、下記の恒等式群が得られる。

 f:id:taamori1229:20190112112008p:plain

となる。これをkの値で並べて行列表現する。

 f:id:taamori1229:20190112112037p:plain

となるCを用いて、最後の項を左辺に移項すると、

 f:id:taamori1229:20190112112047p:plain

と表わされる。ここでヴァンデルモンド行列Vが再び登場している。

 f:id:taamori1229:20190112112055p:plain

多項式の係数ベクトルAとの内積をとると、

 f:id:taamori1229:20190112112112p:plain

左辺は明らかにan+1に他ならない。右辺については、

 f:id:taamori1229:20190112112124p:plain

であるから、下記の式が得られる。

 f:id:taamori1229:20190112112135p:plain
anは条件よりすべて整数である。また、係数もすべて整数であるので、an+1は整数となることが示された。以上によって定理2が証明された。

知恵袋チャレンジ

昨年の夏休みはまとまった休暇がとれた上にこれといってすることもなかったので、かねてからやってみたいと思っていたチャレンジを断行した。それはYahoo知恵袋である。

chiebukuro.yahoo.co.jp


チャレンジとはこれにひたすら回答しまくる、というものである。

朝から晩まで時間が許す限り、並んだ質問に対して片っ端から回答をし続ける。主なジャンルは「教養と学問、サイエンス」。数学・物理・工学はそれなりの回答のボリュームが必要となるが回答者は限られている。一般教養とか英語などは即座に答えられるものが多い一方で回答者の競争率は高い。

数学の分野は中学から大学まで区分があり、中学では2次関数とか図形の問題が多い。高校、大学と進むに従ってテキストで回答するのがだんだん難しくなってくる。大学の複素解析などでは積分記号の扱いに苦心した。

いくつも回答するに従って多くの人がつまづきやすいところがなんとなく見えてくる。たとえば中学の数学ならば、ある2次方程式の二つの解がある値よりも大きくなる条件を求めるというのがもっとも頻発した問題である。この種の問題だけで30個ほど回答した。

一週間ほどこれに没頭した結果、回答者ランキングで2位まで上り詰めることができた。私の回答数は310個となっているがこれは過去1週間の回答数である。一日平均で45個ほどである。

 f:id:taamori1229:20181230061916p:plain

 


その時の1位の方の回答数は約500.まだ200個近い開きがあった。これはどうしても追い抜くことはできないことを実感してチャレンジは終了した。500個といえば、一日平均70個。真面目に回答するならば寝食を忘れないと達成できないレベルである。本日のランキングをみたら、1,000を超える人がいて驚いた。

 

f:id:taamori1229:20181230061930p:plain

 
回答数だけを競うならば、いい加減な回答とか、誰かの回答のコピペなどで数だけを稼ぐことは可能に思えるが、回答の内容をある程度吟味して不正を摘出するプログラムが織り込まれている。さらに上位に食い込むにはベストアンサー率という質問者からの評価も反映される。私の場合は、ベストアンサー率50%をキープすることができた。

ランキングは最近の1週間分で行われるのでチャレンジをやめた一週間後、私の名前は完全に消え失せた。かなりの苦行なのでもう2度とやりたくないと思うものの、一瞬でもいいから1位を獲得してみたいという野望はまだ完全には消えていない。

エスカレーターの乗り方について

日本エレベーター協会から、エスカレーターの利用方法についてのお願いが出されている。片側を歩いて上るのは止めて2列とも歩かないでほしい、というものである。

www.n-elekyo.or.jp


確かに駅ではこういうポスターを見かけることが多くなってきた。

 f:id:taamori1229:20181229125337j:plain


しかし、これまでの習慣から歩いて上る側(関東ならば右側)に歩かずに乗るというのは相当に勇気が必要である。実際にやってみると背後からの殺気を禁じ得ない。テレビのインタビューなどでは、歩かないことで渋滞が発生して全体が遅くなってしまうのではないか、という不安を語る利用客もいた。

さて、本稿ではエスカレータを歩く場合や止まる場合で時間や速度にどのように差があるを考察してみる。

エレベータの一列だけをとってその乗り方(歩行モード)を考えるとまずからの4つが浮かぶ。は普通に止まって乗る場合で、この時は普通1段隙間をあけて2段に一人の割合で並ぶ。は普通に歩いて乗る場合で、この時は一人は歩幅2段分を占有するのだが、前後の人で歩調が合ってないので足がぶつからない様にさらに1段が追加され、結果的に一人は3段分を使用してしまう。を改善して隙間の段がないようにした場合である。も同じようにを改善して隙間をなくすアイディアだが、これは全員で掛け声をかけない限り不可能である、というよりもむしろ危険なのであくまで参考としておく。

移動速度は止まる場合はエスカレータの速度そのものである。歩いて上る場合のエスカレータ基準での速度をエスカレータの速度と等しいとする。つまり、エスカレータの速度をとすると、歩いて上る人の移動速度は2vとなる。実際にその程度に設計されているように見受けられる。

  f:id:taamori1229:20181229130546p:plain
   

エスカレータの乗り方を評価しようとするとまず利用する自分に着目した速度に目が行きがちである。当然、誰もいない状態で一人だけ利用するならば好きなだけ急いで走ればいい。しかし、混雑時などはどれだけの人が同時に利用できるかという観点も必要である。

ここではこのような混雑時を想定して、単位時間あたりにどれだけ多くの人を輸送できるか、という点に着目した指標である輸送力を用いる。この輸送力は速度と収容力の両方に比例する。すなわち、

 f:id:taamori1229:20181229130338p:plain

 

上記にあげた4つの歩行モードについてこれらを①を基準に相対的に評価したのが次の表である。

 

 f:id:taamori1229:20181229130519p:plain

②の歩く場合は、確かに速度は2倍であるがぶつかるリスクの回避のために無駄が生じて収容力が低下してしまう。それでも輸送力は歩く場合よりは1.3倍ほど高い。

実際の2列構成のエスカレーターについてはこれらの歩行モードの組み合わせとなる。組み合わせた場合の輸送力を次の表に示す。

 f:id:taamori1229:20181229130414p:plain


今回の日本エレベーター協会からのお願いは、赤字で示した部分である。片側を歩くことをやめたとすると、全体としての輸送力の低下は表の値に示すように15%程度に過ぎない。さらに収容力については次の表に示すように、

 f:id:taamori1229:20181229130426p:plain


むしろ20%程度向上することができる。これはエレベーターに乗るまでに待たされる時間が短縮されるという意味である。以上より、日本エレベーター教会からのお願いについては、他への悪影響も少ない上に収容率の点で有効なのでぜひ協力してあげたいと思う。

しかし、最も効果があるのはの場合、つまり隙間なく詰めて止まって乗る、という方法である。2列ともこれに変えられれば、輸送力で1.7倍、収容力で2.4倍という絶大な効果がある。目の前の人がリュックを背負っていなければ早速明日から試してみていただきたい。
 

謎の喫茶店(その後)

かなり前にレポートした謎の喫茶店

taamori1229.hatenablog.com

最近、訪れてみたが、看板がなくなっていた。

f:id:taamori1229:20181229100436j:plain


いつからなのかは不明だが、無期限休業中であった。

f:id:taamori1229:20181229100507j:plain


一度も足を踏み入れないままとなってしまった。残念なことである。いつの日か、営業再開されることを期待する。そして入ろうか、入るまいかまた懊悩、逡巡させてもらいたい。



Vietnam Coffee

ベトナムの友人からいただいたベトナムコーヒー。

f:id:taamori1229:20181217050253j:plain

きれいな箱に入っていました。

f:id:taamori1229:20181217050306j:plain

今日はこれをいただいてみます。

f:id:taamori1229:20181217050317j:plain

すでに挽いてあるコーヒーを適量入れます。

f:id:taamori1229:20181217050342j:plain

これをコーヒーカップの上に乗せて、お湯を少しだけ注いで1-2分蒸らします。

f:id:taamori1229:20181217050353j:plain

一気にお湯を注いでふたをしてしばらく待ちます。

f:id:taamori1229:20181217050415j:plain


5分ほどで出来上がり。容器はふたを下にしておきます。

f:id:taamori1229:20181217050431j:plain

かなり苦いのでコンデンスミルクを混ぜる人もいますが、私はこのままの方が好きです。

白昼の死角

その通りの角に差し掛かったとたん、都会の喧騒が突然鳴りを潜めた。

f:id:taamori1229:20181217034303j:plain


白昼の死角。歩くと靴の音だけがこだまする。

f:id:taamori1229:20181217034403j:plain

f:id:taamori1229:20181217034421j:plain

f:id:taamori1229:20181217034434j:plain

f:id:taamori1229:20181217034452j:plain

f:id:taamori1229:20181217034509j:plain

f:id:taamori1229:20181217034529j:plain

さて、ここは渋谷区桜丘町。

f:id:taamori1229:20181217034539j:plain

渋谷駅の駅前のすぐそばの一等地である。

f:id:taamori1229:20181217034553j:plain

すぐ隣にはJR渋谷駅のホームもある。

f:id:taamori1229:20181217034605j:plain

ここが渋谷駅前の再開発でまもなく町全体が姿を消そうとしている。

f:id:taamori1229:20181217034716j:plain

f:id:taamori1229:20181217034757j:plain


店先には移転、そして閉店を知らせる貼り紙が並んでいる。

f:id:taamori1229:20181217040652p:plain


そして懐かしいこの店。

f:id:taamori1229:20181217040913j:plain

すべてがこの店から始まった。今それも終わりを告げようとしている。

f:id:taamori1229:20181217040925j:plain

そして、今でも記憶の片隅で拍手が鳴りやまない。


www.watch.impress.co.jp