アーカム探訪の最後のテーマである、アーカムとセイラムの比較を始める。
そもそもアーカムはラブクラフトが創造した架空の街である。彼自身は詳細な地図を書いている。これをもとに作品を書いていったと思われる。
アーカムのモデルとしたセイラムの実際の町を比較検討するのがもうひとつのテーマである。
アーカムとセイラムについて類似点、相違点を以下に示す。以下、アーカムをA、セイラムをSで略す。
1. 北に河が流れていて河の南側に市街地が広がっている。
A:ミスカトニック河
S:サウス・リバー
*但し、サウス・リバーには小島はない。
2. 河近くに電車の路線と駅がある。
A:Boston-Maine Rail road、Arkham駅
S:Commuter Rail Train、Salem駅
*但し、Aでは河と並行、Sでは河と垂直に交わる。
3. 市街地のほぼ中央にWitch House(魔女の家)がある。
A:Garrison街と、Pickman街の交差点付近
S:Essex街とSmmer街の交差点付近
4. 街の南側に禁断の地がある。
A:キングスポート
S:マーブルヘッド
5. 街の西側に魔女裁判で絞首刑となった丘がある。
A:Hangman’s Hill
S:Gallows Hill
6. 街の名前は類似で場所が近い。
A:リバー街
S:ブリッジ街
A:ハイ・アベニュー
S:ハイ・ストリート
A:チェスナット街
S:ウォールナット街
そして一番の大きな相違点は、Aにミスカトニック大学があるのに対してSにはそれがない。そしてミスカトニック大学は、プロビデンスのブラウン大学である。
以上より、アーカムはセイラムを基本的な舞台としながら、一部は彼の故郷であるプロビデンスを引用した融合的な仮想都市であると言えるだろう。