前回、昼と夜の境界線について考察した。
その結果、メルカトル図法上の境界線は、
で表されることを示した。ここで、θは公転面に対すると地球の地軸の傾きであり、1年間を通して、夏至時:66.6°、冬至時:112.3°、春秋の彼岸時:90°と変動する。X、Zはメルカトル地図上での座標でありそれぞれ経度方向、緯度方向に対応する。
ここで昼夜の境界線の傾き、つまり日の出の線の角度をψとすると、
となる。右辺をさらに計算すると、
ここでZ座標の緯度φによる表現である、
を用いてXを消去した。+と-の2つの解があるのは夜→昼、昼→夜の2つの場合に対応している。そして一般に日の出線と日の入り線は傾きが異なることがこれからわかる。
以上より、 次の3つの角度、
について、
という美しい関係式が成立する。
この関係式用いることで日本列島においてある季節にどの場所から朝、夜が始まるかを調べることができる。日本列島の地図と東西南北の最先端地の緯度、経度情報を以下に示す。
①日本の主な都市である、札幌、東京、鹿児島、那覇の日の出線の傾き(ψ)の年間変動と②朝、夜がもっともはやく訪れる場所を整理したものを下表に示す。
日の出線の傾き(ψ)については札幌、沖縄の間でも差は1.6°程度なので、日の出線は日本を通過するときほぼ直線であると考えてよい。つまり東京を代表と考えていいということである。東京における日の出線の傾きを用いて日本地図上で朝・夜の訪れる時間を作図してみた。
その結果、全国で見たとき、朝・夜は最東端の南鳥島に最もはやく訪れると思われがちであるが、最北端の択捉島の方が早くなる場合がある。それは①夏至の日の出、②冬至の日の入である。
4島だけを考えると朝・夜は最東の北海道でもっとも早く訪れると思われがちだが、千葉の房総半島が早い場合がある。それは①夏至の日の入、②冬至の日の出である。よって、新年の初日の出を誰よりも早く見たいという人は北海道ではなく、千葉房総半島に向かうべき、ということ。また、同じ作図の中で冬の時期、札幌と那覇の日の出の時刻はほぼ同時刻であることも判明している。