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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

点を切断する、ということ(総集編)

 

 

 現実的な世界における仮定は次の通りであった。

現実1:折り紙はある程度の厚さを有する。
現実2:切込み線は一定の破断幅(ハサミが紙を破壊する幅)を持っている。
現実3:折り紙を折り曲げるたときの中心点は純粋な点とはならない。
現実4: 中心点を目指してハサミで切込みを入れていくが中心点に必ず当てることはできない。中心点を中心としたある変動幅(≠0)が定義され、その幅の中で均一に変動してしまう。

 

  現実の世界で紙を折りたたんでハサミで切断するということを詳細に解析してみた。

 

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 実際には紙はある厚さを持っている。この折りたたみの課程で中心点、並びにその周辺がどのようになるか解析した。紙の厚さが50マイクロメートルの場合を例にとって中心点付近を詳細に作図してみた結果を下図に示す。

 

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 この図に示すように中心点は紙の厚さの影響で二つの点に分裂する。その間隔は紙の厚さの1.4倍程度と小さい。一度の切断で紙を4分割するためにはこの分裂した二つの点を一度に切り落とす必要がある。しかし、普通のハサミの破断幅は紙厚に比べてそれほど大きくはなくそれは不可能なことである。

 従って現実の世界においては4分割は不可能である、ということが結論付けられた。

 この考察の中でもう一つの可能性がひらめいた。それは中心点が分裂するのならばその分裂した隙間を狙ってハサミをいれたらどうなるか、である。つまり、それは現実的世界における2分割の可能性である。

 厚さ0.05mmの折り紙の場合で考えるとこの隙間は0.07mmと非常に小さくこの隙間にハサミの切り込み線が入ることは難しい。仮にできたとしても二つの三角形をつないでいる部分の幅もそれと同じ程度細くなる。仮に切れたとしても紙を広げる過程で切れてしまう可能性も高い。

 逆にこの隙間を広げる方策を考えて次の実験に臨むこととした。とある種類の紙を選定して折り紙と同じようにして2回折りたたんだ。

 

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 見た目は折り紙と変わらない。同じようにA,Bの境界線にハサミで切り込みを入れてみる。すると、目を疑った。

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 ご覧の通り、AもBも三角形がつながったまま、つまり見事に2分割に成功したのである

 

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 頭で考えてみると、2分割というのはにわかに信じがたい。ハサミが4次元空間に迷い込んだような錯覚すら覚える。さて種明かしであるが、これは紙の厚さによるものである。今回使用した紙は、これまでの折り紙用の紙とは違って、

 

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このスケッチブックの紙である。当然厚さは普通の折り紙よりはるかに厚い。折り紙の約10倍の0.5mm程度である。この厚さの影響によって折りたたんだ時の中心点の分裂の間隙が10倍となる。そしてその間隙の中をハサミが切り進む確率も10倍となり、結果的に2分割という現象に至るのである。さらに加えて2つのコツがある。

 ①ハサミは中心点に向かって45°の角度で切り進むこと。この時が一番、隙間の幅が広がる。
 ②ハサミは中心点の真上ではなくほんの少し(紙の厚さ分)やや左寄り(A側寄り)を狙う。上の作図で証明されている。

 今回は総集編ということでこれまでの検討結果を下表に整理しておく。

 

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