★Beat Angels

サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

夏期講習:拡張接線定理

生徒Aそれでは、今回が最終講義です。これまで円の場合で説明しましたが、今回は放物線の場合の例を説明し、その後一般的に証明してみます。


生徒A:まずは普通の接線がこれです。

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生徒A:点Aが放物線の外側にある場合はこうなります。

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生徒A:点Aが放物線の内側にある場合はこうです。

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生徒A:このようにすべての場合で接線は同じ式で表すことができます。
先生:なるほど。
生徒A:同じことが成り立つ曲線とその接線の方程式の例を以下に示します。この接線を表す多項式gはx,y,a,bの一次式になります。

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生徒A:実は接線の式の形に秘密があります。これらにはある共通点があるのですがわかりますか?
先生:なんだろう。
生徒A:実は、

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の交換で式が変わらない、ということです。

先生:確かに。
生徒A:こうして次の定理が成り立ちます。

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生徒A:まずは、①で得られる接線の式が②③の式と同じになることを証明してみます。ちょっと事務的で退屈なので読み飛ばしてもらってもいいです。

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生徒A
:証明は以上です。次に、この交換で変化しない接線の式の形を一般的に求めてみます。

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生徒A:以上です。円、放物線、双曲線、直線の式のすべてはこの条件をクリアしていますよね。恐らく2次形式で示される曲線はすべてこれを満足すると思います。それについてはまたいつかチャレンジしたいと思います。


夏期講習:接点を通る直線2

生徒A:それでは前回の詳細な説明をします。はじめに問題を整理します。

 
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生徒A:点Aの場所は円との位置関係によって次の3通りに分類できます。

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生徒A:今回証明したいのは、この3つの場合の方程式が、

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となることです。それではそれぞれの場合で考えてみましょう。

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生徒A:このように求める接線上の点をxとすると、次のように証明されます。

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生徒A:2つの接点をx1、x2とします。すると、

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生徒A:求める点xから引いた2つの接線を考えると前の場合の結果が使えます。さらにこれが点Aを通るという条件を適用します。 

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生徒A
:説明は以上です。ここで説明した作図の方法によれば円周上だけでなく平面内のすべての点から円の接線を引くことができて、その方程式は全て、
 

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であるという整理が可能になります。接線というと誤解があるので拡張接線とでも呼びたいと思います。

先生:はい、よくわかりました。
生徒A:これで何か気がつくことはないですか?
先生:それは何でしょうか。
生徒A:このようなことが成り立つのは図形が円だからでしょうか?
先生:円がシンプルできれいな図形だからだと思うけど・・・
生徒A:いいえ、違います。実はこれ、楕円はもちろんのこと、放物線とか双曲線でも同様のことが成り立つんです。
先生:すぐには信じられないが。
生徒A:はい。次回はそれを説明します。
先生:はい・・・


夏期講習:接点を通る直線1

先生:今度の問題は、円の接線の方程式を求める問題だ。次のように原点を中心とした半径1の円の円周上の点Aに接線を引く。

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先生:このときの接線の方程式はどうなるか。知っている人はいるかな?
生徒B:はい!
先生:お、B君、答えてみなさい。
生徒B:はい、こうなります。

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先生:うん、その通りだ。これは公式として覚えておくといい。

生徒A:先生、質問があります。
先生:何かな?
生徒A:点Aが円周上ではないときはどうなりますか?

先生:円周上にないときはそれは接点とはなりえないよ。
生徒A:点Aを通る円の接線を2本引いて、その2つの接点を通る直線を引くことはできます。こんな感じです。

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先生:じゃあ、その方程式を求めてみたらどうなるかな。
生徒A:もう求めてあります。こうなります。

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先生:え?同じになるの?
生徒A:はい、そうです。もうひとつ、点Aが円の内部にあるときはどうなるでしょうか?
先生:点Aが内部にあっては円との接線すら引けないじゃないか。
生徒A:その場合はこうするんです。点Aを通る直線をいい加減でいいので引いてみます。すると、その直線は円と2点で交わります。その2点で円の接線を引いて、その交点を求めるんです。点Aを通る直線をたくさん引いてみてその点の集まりがどうなるかを調べます。こんな感じです。

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先生:それが直線になるとも限らないな。
生徒A:いえいえ、これがどうして直線になるんです。
先生:じゃあ、その方程式はどうなるのかな?
生徒A:これもすでに、求めてあります。こうなります。

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先生:え?これも同じになるの?どうして?どうして?
生徒A:次回、詳しくご説明しましょう。

下館物語

下館は暑かった。その日の日本は全国的な猛暑に見舞われ、この町をゆく人影はまばらだった。

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栃木県小山市で電車を乗り換えて20分ほどでこの下館駅に到着する。しかし、ここは茨城県筑西市。快晴ならばこの方向に筑波山が見える。

目的地はしもだて美術館

 

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江口寿史のイラスト展が開催されていたのである。首都圏ではなくなぜかここ下館で。

 

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来客層は私を含む中年男性と若い女性に完全に2極化されていた。



江口寿史と言えばまず彼女、いや、彼。


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原画も多数展示されていた。

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そして数限りなく魅力的な日本人女性たちが並ぶ。

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彼が追及するのはあくまで日本人女性独特の美である。現実と理想の微妙な境界線にあるような気がする。こんな子はいないし、会ったこともないという気持ちと、確かにどこかで会ったことがあるような気持ちが平気で共存する。

そして街角の似顔絵。 

 

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似顔絵を実際に描くシーンをビデオで流していた。

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驚いたことに下書きなしで水性のペンでいきなり書き始め、5分もしないうちに完成する。

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そして忘れてはいけないのがこちら。かつて子供時代に塗り絵でお世話になった。大人になって再会するのはとても感慨深い。

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そして等身大の彼女たちに見送られて会場を後にした。 

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受付の女性に下館の名物を尋ねてみた。それは下館ラーメンとのこと。

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美術館から駅へと向かう途中で見つけたこの「新華」という餃子会館に入ってみる。

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店内は昔ながらの懐かしい佇まい。おかみさんが一人で切り盛りしている。ラーメンと餃子を注文。

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なんの飾りもない、素朴なしょうゆ味のスープが絶品。

夏期講習:交点を通る直線

先生:次の問題はこれだ。2本の2次関数、つまり放物線の2つの交点を通る直線の方程式を求める、という問題だ。

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先生:まず、2つの交点の座標を求めて、その2点を通る直線を求めればいい。ではA君、やってみてくれ。
生徒A:はい。まず、2つの放物線の方程式を並べます。

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先生:うん、そうだね。
生徒A:式①を式②に代入して、xの2乗の項を消去します。そうすると、

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生徒A:こうなります。
先生:うん、その調子だ。

生徒A:・・・あれ、終わりましたけど。
先生:え?まだ交点の座標が求められてないだろう?途中で投げ出しちゃだめだ。
生徒A:でも、あの・・・

先生:仕方がないな、他に分かる人いるか?じゃあ、B君にお願いする。
生徒B:はい、式③を式①に代入してyを消去します。
先生:うん、その通りだ。
生徒B:これを計算していきます。

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生徒B:これでxが求められました。これに対応するyを計算すると、2つの交点は次のようになります。

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先生:うん、そうだね。
生徒B:あとはこの2つの点を通る直線の方程式を公式を使って求めます。この直線の傾きは1ですので、求める直線の方程式は、

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生徒B:となります。
先生:はい、正解。途中でルートが登場したが結果はきれいな形になったね。さて、A君、分かったかな?
生徒A:はい、あの・・・
先生:それでは君にもう一度チャンスをあげよう。次の問題をやってみて。

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先生:今度は円の場合だ。やりかたは同じだからきっとできるだろう。
生徒A:はい。同じく方程式を並べます。

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生徒A:式①、②の辺々を引きます。

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生徒A:以上です。

先生:あれ、また、途中までじゃないか。進歩がないな。交点を求めないと直線の方程式は得られないだろう? じゃあC君、続きをお願い。
生徒C:はい、式③を式①に代入して、yを消去します。

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生徒C:こうして、交点のx座標が求められたので、これに対応するyを求めると、2つの交点は、次のようになります。

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生徒C:この2点を通る直線の方程式は、傾きがー1なので、

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生徒C:これから、

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生徒C:という直線の方程式が求められます。

先生:うん、これも正解だ。よくできたね。A君、これでもう理解できたかな?
生徒A:はい・・・


港町に沈む夕陽

沖を行く貨物船から汽笛のホルンが港町に響き渡る。ランドマークタワーの69階にある展望フロアから暮れなずむ港町の風景を眺めていた。

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現代的な高層ビル群と歴史的な建造物が一つの夕映えの中で溶け合いながら港町の物語が壮大な絵巻物のようにつづられていく。

夕陽が富士山麓に落ちていくとタワーには富士山の影ができる。この夕陽と影の境界線はタワーの最下階から始まりやがて頂上へと達する。この瞬間を境にみなとみらい一帯は夜のとばりの中へと落ちていく。

このタワーに投影されるこの夕陽と影の境界線はどのくらいの速さでタワーを昇っていくのであろうか。

 

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境界線の高さをx、夕陽の傾きの角度をθ、タワーから富士山までの距離をLとすれば、上記の作図より、

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が得られる。ここで、θは非常に小さいことから、

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と近似できる。角度θについては、夕陽が等速円運動をすることからその角速度は一定値であり、これを実際に計算すると、

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となる。

境界線がタワーを昇っていく速度vは、

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で求められるので、富士山との距離L=80kmを用いて実際に計算すると、

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いう等速度運動となることがわかる。タワーの高さは約300mなので昇り始めから終わりまでの時間は1分弱である。このタワーの中には日本最高速のエレベーターが設置されている。その速度は750m/分らしいので、エレベーターはこの境界線を追い抜く速度で上昇していく。

つまり、地上で日没を見た人がすぐにこのエレベータに乗り込んで展望フロアに行くと、もう一度日没を見ることができる計算である。


さて、気が付くと港町はすでに夕闇の底に沈んでいた。野毛の町に目を移せば、小さな無数の明かりが点描のように灯りはじめた。今日という一日を精一杯生きた人たちを温かく迎え入れる準備が整ったことを知らせているのである。

さて、私もそろそろ出かけることにしよう。

日本版ピカデリー

ロンドンの中心、ピカデリー・サーカス。観光の名所でもある。その中心から延びるリージェント・ストリート。

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この通り一帯は、英国王室の不動産を管理する会社の所有地なので、町全体が王室の関係資産であることになる。ここには世界有数のファッションブランド、高級自動車、香水、靴メーカなどの他、王室御用達の老舗も並んでいる。行きかう人もみなおしゃれで華やいでいる。

さて、これに対抗する日本のピカデリーはこちら。

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横浜にある日本有数の居酒屋街・野毛の一角にある。道幅はピカデリーの片側の歩道くらいしかない。大きさとしては10分の1程度とかなりこじんまりしているが、店は5m間隔で立ち並び、その数ならば決してピカデリーに負けていない。
「ホッピー仙人」「はる美」「ウミネコ」「野毛ハイボール」「やき鳥・コッコ堂」など個性豊かである。行きかう人はみな酔ったおじさんたち、夜の熱気たるや本場ピカデリーと堂々と肩を並べている。