下館は暑かった。その日の日本は全国的な猛暑に見舞われ、この町をゆく人影はまばらだった。
栃木県小山市で電車を乗り換えて20分ほどでこの下館駅に到着する。しかし、ここは茨城県筑西市。快晴ならばこの方向に筑波山が見える。
目的地はしもだて美術館。
江口寿史のイラスト展が開催されていたのである。首都圏ではなくなぜかここ下館で。
来客層は私を含む中年男性と若い女性に完全に2極化されていた。
江口寿史と言えばまず彼女、いや、彼。
原画も多数展示されていた。
そして数限りなく魅力的な日本人女性たちが並ぶ。
彼が追及するのはあくまで日本人女性独特の美である。現実と理想の微妙な境界線にあるような気がする。こんな子はいないし、会ったこともないという気持ちと、確かにどこかで会ったことがあるような気持ちが平気で共存する。
そして街角の似顔絵。
似顔絵を実際に描くシーンをビデオで流していた。
驚いたことに下書きなしで水性のペンでいきなり書き始め、5分もしないうちに完成する。
そして忘れてはいけないのがこちら。かつて子供時代に塗り絵でお世話になった。大人になって再会するのはとても感慨深い。
そして等身大の彼女たちに見送られて会場を後にした。
受付の女性に下館の名物を尋ねてみた。それは下館ラーメンとのこと。
美術館から駅へと向かう途中で見つけたこの「新華」という餃子会館に入ってみる。
店内は昔ながらの懐かしい佇まい。おかみさんが一人で切り盛りしている。ラーメンと餃子を注文。
なんの飾りもない、素朴なしょうゆ味のスープが絶品。