★Beat Angels

前途は遠かった。でもそれはどうでもいい。道こそが人生だからだ。 - Jack Kerouac

スカイツリーに向かって

先日、北千住駅から東武伊勢崎線に乗って、東京スカイツリーに向かった。

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出発したときには電車の進行方向にまっすぐツリーが見えていたのだがやがて電車は大きく左に迂回してツリーは電車の右の窓の方向に移動した。一向に近づているような気がしない。一体、いつになったらツリーに到達するのか不安を覚える。


勿論、距離を測る手段は持っていない。手にあるのはスマホに搭載されたコンパスだけだ。どちらの方角に向かっているかだけはリアルタイムに収集可能なのだが。

このツリーへの接近をグラフで示すと下図のようになる。

目的地のスカイツリーの場所を原点にとる。電車に乗りながら進行方向のコンパスの角度をθを測定するとθはこのグラフのように時間的に変化する。

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さて、ある経路をたどってツリーに到達するときにこの時間の関数θはどのような条件を満たすだろうか。

電車の移動する速度と位置の関係は、

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で与えらえる。これを積分形式にすると、

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となる。ここで、T秒後にツリーに到達する場合は、

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となり、これが到達を示す条件となる。このようにx軸、y軸方向の2つの式が成立しないといけない。コンパスの角度θだけを計測しながら2つの条件を追いかけるのは手間がかかりすぎる。一つの条件だけを追いかけるいい方法はないものか。

そもそもコンパスの角度は北極点を基準にしている。しかし、ツリーに向かう経路における出発点と目的地との関係に対して、北極点は第三者であり、その方向は接近とは無関係である。従って角度θ自体はどこの向きを基準にしてもかまわないはずである。

この冗長さを排除して条件をシンプル化するために、電車の進行方向(つまり)と、電車から目的地までの直線方向との間の角度φを用いることを考える。

以下の図のように、電車が常にx軸上を移動するように座標軸を回転させることとする。ここで回転の角度ψは時間とともに変化することに注意を要する。

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新しい座標系での速度v’と位置r’は、

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という回転行列を用いて、

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となる。次に、の関係式である、

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が新座標系でどうなるかを考える。これに回転を加えることで、

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ここで注意すべきは回転行列Rが時間の関数であることである。実際に左辺を展開すると、

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となる。左辺に登場した第2項は回転角度ψの時間変化に対応した項である。これを計算すると、

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となる。ここで直線方向の成分が0となるのは、この回転の成分が目的地との距離に影響を与えないことに対応している。以上より、最終的に新座標でのの関係式は、

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となる。

第一式を積分形式で表せば、
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となりこれより、T秒後に到達する条件は、

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という一つの式に帰着する。この一つの条件のみを計測することで到達をチェックすることができる。

では第二式は何を規定する条件か。これはツリーから見た電車の回転方向の動きを表している。接近を考える場合、回転運動は意味を持たない。要はどれだけ電車がどれだけ回転しようが近づいてくれさえすればそれでいいのである。