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君がすべきことはただ一つ、ニューヨークへ行くことだ -ジャック・ケルアック

逆立ちコマの運動解析

 これは友人であるF君からもらったお土産で、箱根寄木細工のコマである。

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 普通に軸を上にして回転させると次第に球形の方が上に持ち上がっていき最後は軸を下にして逆立ちして回転するようになる。

 同じ挙動はゆで卵でも見られる。丸い方を下にして回すとやがて丸い方は上側になって回る。いずれも重い方が上になるので逆立ちしたような印象となるのである。

 これらの挙動の原因はコマ(ゆで卵)と床の間の接触点における微小な摩擦力である。以下にそれを解析する。まずは作図してパラメータを定義する。

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 コマはほぼ球形であると考えてよい。角運動量Lはほぼコマの中心から鉛直を向いていると考えてよい。摩擦力によるモーメントをNとする。コマと一緒に回転する座標系での運動方程式は、オイラー方程式の形で、

  N = δL / δt + ω x L                         (1)

 で与えられるが、このコマがほぼ完全な球であると想定すると、慣性モーメントを"I"として、

    L = Iω                                              (2)

 となり、ω x L の項は"0"となるので、(1)は、

  N = δL / δt                            (3)

となる。運動している間は、Lは鉛直方向を向き、Nは水平方向を向いている。これらは互いに垂直であり、Nのモーメントはジャイロスコープと同じ原理で一定の角速度で歳差運動を始める。

 (3)でコマの軸方向(k)の成分を考えると、

     k・N = k・δL / δt = δ (k・L ) / δt              (4)

 図より、

  k・N = ー N sinθ
  k・L =   L cosθ

 であるので、(4)に代入すると、

      δθ / δt = N / L                                          (5)

 を得る。これにより一定の速度でコマは立ち上がることがわかる。モーメント:Nはコマと床の摩擦係数に比例する。よって摩擦が大きいほどコマの立ち上がりが速いことがこれよりわかる。これは実際に机の上と絨毯の上の2か所で実験してその傾向があることを実証済みである。

 この現象の根底には、回転時に床との摩擦で失われていく回転エネルギーをまずは逆立ちすることで位置エネルギーとして稼いでおこうとするコマの戦略があるように思える。