★Beat Angels

サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

月面ヨーヨーの設計

ヨーヨーを設計してみる。

 

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目標はまるで月面で物体を落とした時のようにゆっくりと落ちていくヨーヨーである。

設計条件は下記である。

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ヨーヨーを糸で持ち上げる力、つまり糸の張力をNとする。このNによりヨーヨーが回転させると同時に糸がほどけていきヨーヨーが落下していく。ヨーヨーが失う位置エネルギーの一部はヨーヨーの回転エネルギーとして変換され、それによって運動エネルギーは通常の落下よりも小さくなりそれにより落下の加速度が小さくなる。

この原理を利用してあたかも月面にいるときのような落下速度を体感するのがこの月面ヨーヨーの目的である。

質量Mの物体の落下に伴う運動方程式、並びに慣性モーメントIの物体の回転の運動方程式は下記となる。

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下に向かう方向を+としている。この2式の関係をつなぐのが支柱の働きである。落下速度と回転速度について、

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という関係があり、これより、落下の加速度と回転の関係は、

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となる。これを用いて、Nを消去すると、ヨーヨーの落下加速度aは、


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となる。ここまでの過程で運動が下方向という条件を入れていないので、この結果はヨーヨーが落下するときだけでなく最下点で跳ね返って上がってくる時も共通である。この式が示すように落下速度を決めるのはRrの比のみである。逆に言うと、質量M、ヨーヨーの厚みH, Lは任意であって落下速度に影響しない。つまり自由に設計していいことになる。ここで、

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というパラメータを定義すると、落下加速度aは、

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と表わされる。これをグラフで示したのが下図である。

 

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R
に対してrが小さくなるに従って、ヨーヨーはゆっくりと落ちていく。これと同時にヨーヨーの回転数は大きくなっていく。R=rという支柱のない寸胴型のヨーヨーの場合ではa=2/3gとなる。また、r→0(β→∞)の極限においてはヨーヨーは初速度を維持したまま等速で落下していき(a=0)、位置エネルギーは全て回転エネルギーに変換される。

さて、問題の月面ヨーヨーについては、

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が成り立つことが条件であるからβ=5の場合であり、

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とすればいい。以上に基づく月面ヨーヨーの設計結果を下図に示す。

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ボーリング、ボールの軌跡を追って

ボーリングでボールをレーンに沿って真っすぐ投げると両端のピンだけが残るいわゆるスプリットになりやすい。

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そこで、ボールを投げる際に回転を加えてカーブさせて1番ピンと3番ピンの間くらいに到達するようにするとストライクが取りやすいらしい。


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どの程度、ボールに回転を加えて投げたらこのようにできるのかを解析する。


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レーンの方向をx軸、レーンに垂直な方向をy軸とする。図のようにx軸を中心とした回転をつけて速度vでまっすぐに投げた場合を考える。

回転によってレーンとの間に摩擦が生じる。その摩擦による力はy軸方向となる。これによってボールは次第に左に曲がっていく。


y軸方向の運動方程式は、

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ここで、fyy軸方向に生じる摩擦力であり、次の形にかける。

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一般に動摩擦力はこのように接触面の速度に依存せずに応力のみで決まり一定である。これらを解くと、ボールのy軸方向の位置は、

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となる。x軸方向の位置xは、初速度v0で等速度運動であると仮定すると、

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であり、これら2式から、ボールの軌跡として、

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を得る。つまり、ボールは放物線の軌跡を描いてピンに向かう。

続いて、ピンに到達するタイミングでの角度θを計算する。レーンの長さをL、レーン方向の速度をv0で一定とすると、ボールがピンに到達する時間t1は、

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なので、この時点のy軸方向の速度である、

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を用いると、ボールの突入角度θは、

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となる。前述したようにy軸方向へ曲がる原因はレーンとの摩擦力であるがそれがボールの回転速度ωに依存しなのでこの結果にも速度ωは登場しない。摩擦力が発生するようなレベルにさえなっていればきちんとボールは曲がるということである。またそれ以上どんなに早く回転させても効果はない、ということである。

本式を用いて突入角度θを計算で求めてみる。v0はプロボーラーのボールの速度の相場である時速30kmを用いる。レーンの長さLは20m、摩擦係数μはレーンに塗られたオイルの効果を期待して、μ=0.05として計算すると概算で、θ=8°という結果が得られる。


ボールに与えられた回転数ωは摩擦力の影響を受けて次第に減少していく。やがて回転は停止する。回転がレーンの途中で停止してしまうとy軸方向の摩擦力自体もなくなりそれ以上ボールは曲がらない。この回転数減少の様子を解析する。

ボールの回転に関する運動方程式は、ボールの慣性モーメントをIとして、

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となる。球体の慣性モーメントは、半径a(=約0.1m)として、

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であるので、ピン到達の時点での回転数ωは初期の回転数をω0として、

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となる。

第2項がボールの回転数の減衰量である。これを実際の値を用いて計算すると、約4.3回転/秒となる。したがって、突入角度8°を実現するためにはボールを投げる際に5回転/秒以上の回転を加える必要があることが分かる。

さて、実際のレーンではピンに近い一定のエリアはオイルが塗られていない。そのため、ボールがオイルが塗られていないエリアに入ると摩擦係数は大きくなり角度が突然変化する。映像などでピンに当たる直前でカクっと曲がるように見えるのはこのためである。この影響は無視できないのだが、上記では計算容易化のためにこの影響をあえて無視しているので注意されたい。

小銭を整理しながら

 先日、家の整理をしていたら、たくさんの貯金箱と膨大な小銭が見つかった。

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枚数を数えてみると、合計で約3,600枚。金額にして1万5千円を超えていた。

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これを見ていて気になったのは、10円、5円、1円の実金額がすべて2,500円ほどで近い数字になっていることである。単なる偶然であろうか。

財布の中にある小銭の総額は0円から999円まで均一に分布して変化すると考えられる。このときの平均枚数を計算してみた。

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枚数の最大値は15枚、これは金額999円に対応する。硬貨別の枚数の平均値を計算すると下記のようになる。

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この財布の中の小銭から一定の確率で貯金箱に入れられていくとすると、だいたい枚数はこの表のような割合になるはずである。すなわち、10系列(1円、10円、100円)、5系列(5円、50円、500円)は系列内でほぼ同数、そして10系列は5系列の約4倍の枚数になるはず、ということである。

これと比較してみると、1円と5円の比率は約5倍でこの割合に一致していると考えられる。1円と5円の総額が近くなるのはこれが理由であろう。ところが10円は1円と同数レベルになるはずが極端に割合が少ない。


貯金箱に小銭が蓄えられていくプロセスを考えてみる。


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財布の中の小銭はたとえば500円、100円などの高額な硬貨は貯金されずに還流、すなわち再利用される可能性が高いであろう。硬貨の種類ごとに貯金:還流の割合が異なることが予想される。

そこで1円硬貨の還流率を90%(貯金率:10%)であると仮定してみる。その場合の他の硬貨の還流率(貯金率)を計算してみた。結果は次の通りである。

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50円以上の硬貨はほとんどが再利用される。一方で5円、1円はかなりの割合で貯金される。10円はその境界線上にある。それでも10円の貯金率は5円、1円に比べてほぼ一桁ほど低い。

さて、逆にこれだけの小銭がたまるのに必要な買い物の回数を算出してみた。

その結果、約13,900回であることが分かった。仮に1年に買い物をする回数を250回とした場合、約60年近い歳月が必要となる。実際にそれに近かったのではあるまいか。遺された膨大な小銭の山から在りし日の暮らしぶりが偲ばれた。

順序保存係数

バス、電車、駅では階段とエスカレータを使い、ビルに入ったらエレベータを利用してオフィスへと向かう。ありふれた通勤風景である。いろいろなものに乗り合わせるわけだが、バスとか電車は先に乗った人は車内の奥へと向かうので降りるときは後になる。その点、階段やエスカレータは先に乗った人が先に降りることができる。しかし2列のエスカレータでは一方は歩いてのぼることが多いのでちょっとその規則は乱れるだろう。エレベータは空いていれば順序関係はランダムに近いのだがある程度混雑してくると後から乗った人が先に降りる傾向が出てくる。

以上のような入り口と出口があって入る順序、出る順序が定義可能な物理空間においてそれらの番号がどの程度保存されるかについての評価方法とその考察についてである。

個体数をnとして、それらの入る順序、出る順序をai, biとすると個体iの動きは、

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という組み合わせで表される。この対応関係をグラフで示すとこのようになる。

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この例のように右上がりの場合は、順序が保存される傾向があることを表す。逆に右下がりだと順序が反転する傾向になる。今回、議論したいのは、このaiとbiの相関関係の評価である。統計学における一般的な相関係数は、

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で与えられる。これをそのまま順序保存係数Fとして適用することが可能となる。

F>0では順序が保存される傾向、F<0では順序が逆転する傾向であることを示しており、特にF=+1.0が完全な順序保存、F=-1.0が完全な順序逆転、F=0は順序がめちゃくちゃとなる状態を示す。

今回のケースは一般的な相関に対して、あくまで順序のみに着目している。ai, bi1~nの数字に対応して重複欠落がないことを利用して、もう少し計算が可能である。

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などを用いて、個体数nの場合の順序保存係数Fnは、 

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となる。特にn=10の場合は、

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である。

さて、これを用いてエスカレータにおける順序保存の事情を解析する。エスカレータが一列の場合は、入りと出の順序は完全に保存され、F=+1.0である。

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では、2列構成で片側は歩いて上るエスカレータの場合はどうなるか。一例を下図に示す。 

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エスカレータの右側だけ、左側だけに着目すれば一列の場合と同様に順序は保存されているが、両者をミックスすることで順序関係は乱れる。この場合のFを計算するとF=+0.62となる。

それ以外のケースについてこの順序保存係数Fの概略を示したものが下図である。

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F=+1.0となるのは、一列のエスカレータ、それと適正に先入れ先出しが徹底管理された場合の商品在庫、そして窓口などでの待ち行列などである。

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待ち行列においては図で示したような割込み者が登場するとFの値は低くなる。


F>0となるのは、階段、2列のエスカレータ、スーパーの商品、飛行機などである。

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スーパーの商品の順序性を乱す要因の一つは、賞味期限を厳しくチェックしてできるだけ新しいものを選ぼうとする主婦層の知恵と努力によるものである。飛行機は高いクラスから搭乗して降りるのでこのような形となる。しかし、大多数を占めるエコノミー席の乗客の中は乗り降りの順番はランダムになるのでFの値はさほど高くない。


F=0
の例はトランプのカードシャッフル操作である。ランダムになればなるほど値0に近づくであろう。

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F<0
となるのは電車・エスカレータの場合で、やや逆転の傾向がある。いずれも混雑してくるとFの値は小さくなる。

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F=-1.0、つまり完全逆転となるのは自動車の後部座席、コンテナ船などの積荷などである。

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書店の平積みの本も下から順に積んだものとすれば逆転に近い。ただ一つ例外があるとしたら一番上の本は皆が手にするだろうから上から2冊目を買うことにしている友人T君の小市民的な行動による影響である。これによると10冊の本が平積みされている場合、Fの値はそうでない場合の-1.0から-0.45へと大きく変動してしまうのでぜひ厳に慎んでいただきたい。


ベンとルーシー、再び。

Lesson 15:再会

マディソン市郊外の湖のほとりの遊歩道でベンとルーシーが久しぶりに顔を合わせた。

Ben :あれ?ひょっとしてルーシー

Lucy:あら、ベンじゃない?

Ben :結婚してマディソンの町から出ていったとディックから聞いてたんだけど。

Lucy:そうなの。今週は休暇で帰ってきているのよ。あなたは結婚してるの?

Ben :まだ気楽な一人ものさ。

Lucy:あら、アンディを連れてるのね?

Ben :いいや、アンディはかなり前に死んでこれはその子供のクレアだよ。

Lucy:まあ、女の子なのね?でもあの頃のアンディにそっくり。あなたの家の家族構成は、お姉さんのアリス、お兄さんのトム、そして犬のアンディ、とわかりやすかった。

Ben :君にだって、妹のメイもいたし、お父さんはパイロットだもんね。今でもあの頃のことを思い出すよ。この湖で夏はみんなで泳いだり、冬はスケートをしたりしたね。

Lucy:そうね。一年中楽しかった。ところでグリーン先生はどうしてる?いつも緑色の服を着ていたけど。

 

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Ben :もう先生の仕事は引退してのんびり本を読んで暮らしてるみたい。後任の先生はエレン先生というんだよ。

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Lucy:確かに瞳は青いけど、顔立ちは今風の日本人女性みたい!

Ben :彼女もグリーン先生の教え子の一人で、今でも彼女を尊敬してるから服は緑色に決めているんだって。

Lucy:・・・あの頃、私たちは確かに主人公だったと思う。でも、あなたとの距離はずっと微妙なまま。あなたとの最初の会話だって「こちらがルーシーです。彼女は生徒です。彼女は先生ではありません」、て当たり前すぎない?

Ben :君だって「こちらがグリーンさんです。彼女は先生です。彼女は生徒ではありません」と続けていたよ。お互いにぎこちない会話だよね。

Lucy:あの頃、あなたはどこかはっきりしないところがあった。ちょっとデートして二人の気持ちが近づいたかと思うと、次のセクションでは感嘆文ばかり言ったり、形容詞の活用に凝ったかと思うと、堅苦しい関係代名詞を並べたり。でも、あなたは肝心なことを話してはくれなかった。

Ben :うん、あの頃僕はどうかしていたかもしれない。きっと何かの枠の中で流され続けていたんだと思う。誰かが書いた筋書きに踊らされていただけだった。だから君ともまっすぐに向き合えなかったんだと思う。

Lucy:そうね。私もあの頃、見えない力に何かに操られていたのを感じていた。自分らしさなどは表現する余地がなかった。私も結局あなたと同じだったのかもしれない。

Ben :今、君と初めて会話らしい会話をしたような気がする。やっと本当の気持ちを伝えられるような気がしてきた。でも、君はもう。。。

Lucy:私、実はさっき一つ嘘を言ったわ。休暇で戻ってきてるんじゃないの。実は夫とは離婚してこの街に帰ってきたの。

Ben :そうだったんだ。ねえ、僕たち、もう一度やり直せるかな?

Lucy:いいえ!私たちは現在進行形ではなくて、過去完了形よ!
             "not A but B"という構文で理解してね!



◆なぜかマッターホルンを背景にしたベンとルーシー('1975年頃)

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険しい山岳を越えてルーシーにかけよるベン。それをぜんぜん見てないルーシー。
この悲しい結末は表紙の時点ですでに予言されていたのかもしれない。

CAの戦略

飛行機の機内の座席表はこんな感じである。 

 

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 今回、テーマとして取り上げるのはこの中の普通席。写真だとこんな感じである。

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窓側に2席、中央に3席並んでいて通路は左右に二つに分かれている。ここでCAは通路ごとに2手に分かれて飲みものや食事を配っていくことになる。対象となる列と席を図示してみる。

      

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この範囲での席数の総数は140席。CA1とCA2は2手に分かれて飲みものを配っていく。CAは窓際の2席と中央の通路寄り1席の合計2席を受け持つ。これらは左右それぞれ60席で合計120席である。中央の席はCA1,2のいずれも給仕が可能である。CA1,2はほぼ同時にスタートするのだが、乗客一人当たりに必要となる時間は一定ではない。ウイスキーの水割りなどはジュースよりも時間がかかるであろう。選ぶのに時間がかかる人もいれば、世間話をしてくる乗客もいるだろう。こうした影響でCA1,CA2の進度は少しずつずれていく。このことは最後部座席に座る乗客から見ると隣の人がすでに飲みものを手にしているのに自分にはなかなか届かないという不公平感につながる。これをどう抑制していくかが問われる。ここで問題となるのは中央の20席の受け持ち方に関する議論である。

乗客一人当たりにかかる時間は正規分布と考えてよい。正規分布は平均時間と分散(標準偏差)で定められる。

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中央の席の割り当てとしてもっとも単純なやり方である「奇数列はCA1、偶数列はCA2」などのように固定的な方法をとった場合を考える。この場合、CA1,2は合計で70人ずつに給仕することになる。この場合の全体の時間Xは一人あたりの時間xの合計として表される。

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正規分布をとる変数の和についても正規分布となることが保証されている(正規分布再帰性)。70人の場合は、

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のように、平均、分散ともに70倍となる。不公平感の源泉はこの分散の拡大である。給仕時間が時間とともにばらつきが大きくなる様子を図示してみる。

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標準的な飲みものの給仕を考えると、平均時間(μ)は20秒程度、標準偏差(σ)は10秒程度と考えられるので、最終列における給仕の時間のばらつきは、

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の程度、つまり3分のオーダとなり、気が短い人は黙って待てないレベルである。

この固定方式の問題を補う中央席の別な割り当ての方法として「中央席の割り当ては事前には決めない。実際に給仕を進めながら先行している方のCAが担当する」という高度な調整方式が採用されているように思われる。これによると、

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非常に模式的な絵で分かりにくくて申し訳ないが、CA1,2は両者の進度が極力等しくなるように随時微調整を加えながら進めていく。こうすることで最終的に両者の差を1列分(4座席分相当)に抑制することが可能となり、最終列座席の乗客の不公平感を緩和することが可能となる。この調整方式の場合の時間のばらつきは、

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であり、固定方式の場合から約4分の1に縮減可能である。

これはCAの戦略と言っても過言ではないだろう。しかし、その適用は中央の座席数が奇数の場合に限定されてしまうのが残念である。例えば中央が4席の場合は必然的に固定方式となり、調整できず後部座席の不公平感は依然として課題のままである。

以上、座席数自体が少ないハイレベル席に搭乗する方々には無縁のいたって庶民的な分析であった。

B-Side Life

コンサートを終えたミッドナイト
メトロでダウンタウンクラブへ
ベートーベン弾いたさっきのバイオリンが
グリーングラスを切なくうたうよ

気楽が一番New York City
つきさえまわりゃSuccess over Night
バーボンの馬車で朝まで飛ばすよ
いかれたあの娘のピアノに合わせて

しみるね
真夜中の
しみるね
ブルーノート

B-side Life, B-side Life
裏側もまた人生さ
B-side Life, B-side Life
Never never more cry for me


ネオンの"B"の文字が
壊れて点滅してるBar
朝もやの街かど口笛吹くけど
滑り出すのはマイナーコードさ

コートの襟を立てたNew York City
運さえよけりゃ誰でもShining Star
バーボンのボトルに夢だけ沈んで
残ったHeadache奏でる

やばいね
明け方の
やばいね
夢の行方は

B-side Life, B-side Life
裏側もまた人生さ
B-side Life, B-side Life
Never never more cry for me

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