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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

駅名短歌を探す旅

これらは首都圏を走る京浜東北線の駅名を順番に並べたものである。

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これは短歌、つまり「五七五七七」の形となっている。勿論これは偶然である。適当に鉄道路線と駅を選んでも都合よく短歌の形になるわけではない。実際に路線図を見て探してみるとわかるがこうしたケースは非常に稀である。

日本国内にこれ以外にどのくらいの数の短歌があるのだろうか。

まず、駅の数であるがJR、公営、私営すべての鉄道を含めると日本全国に9,197駅存在する。 データはここから。

 

linkdata.org

 

短歌の形式を考えると駅のひらがなの文字数がポイントとなる。まず駅名のひらがな文字数の分布を計算してみた。結果が下の円グラフである。

 

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ここで11は11以上の駅を示す。最小、つまり1文字の駅はご存知の『津』、日本でたった一つである。文字数最大の駅は『ルイス・C.ティファニー庭園美術館前』、23文字で島根県松江市にある。余計なお世話かもしれないが、駅名のアナウンスとかに支障がないのだろうか。

予想した通り、3文字、4文字の駅が多く、この2つで全体の約半分を占めている。となると短歌の7文字を作るのには非常に好都合であることが予想される。短歌の5文字については二つの駅を組み合わせると1文字、2文字の駅が少ないことので不利になりそうだが一方で5文字の駅が結構多いのでこちらもある程度数が確保できそうである。

駅名がこの分布にしたがって全国にランダムに分布したとして駅名短歌が完成する確率を計算してみる。

任意の駅から切れ目が5文字となる確率(P5)、7文字となる確率(P7)は、
 

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となる。両方とも約5分の1と高確率である。これが短歌の並びとなる確率Pを計算すると、

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 となる。これから全国に短歌がいくつ存在するかの期待値を求める。駅数N=9,197であることから、

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となる。計算に「2」が入っているのはある駅から短歌の候補が上り、下りの2方向分あることに対応している。

しかし、実際には拠点となる大きな駅には複数の路線が走っている。その場合は短歌の候補は路線数に比例して増えるはずである。その効果を考える。まずは駅の路線数の分布を調べてみた。

 

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 2路線以上の駅は799駅あり、全体の約9%を占める。実際には3路線以上もあるがほとんどは2と計算しても差し支えないだろう。

これの効果よると駅の数は仮想的に実際の駅よりも9%程度増えて、N'=9,996となる。これに基づいて駅名短歌の数の期待値を再計算すると、

 

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となる。ここでは乗り換えは考えていない。


以上より駅名短歌は日本全国に6個程度存在することが分かった。

この6という数字、全国にばらまかれた短歌という宝物を探して日本中を旅するというのには多すぎず少なすぎずほどよい加減の数である。ちなみに駅名俳句は120個程度存在し、こちらはありがたみは少ない。