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君がすべきことはただ一つ、ニューヨークへ行くことだ -ジャック・ケルアック

京都鉄道博物館

 19世紀末のアメリカでは鉄道網の建設が急ピッチで進められ、それが間もなく完成しようとしていた。そんな時代の話である。そこに鉄道関係者にとっては不穏なニュースが流れる。それはベルの発明した電話による全米電話網の整備開始のニュースである。鉄道関係者は危惧する。もしも遠距離の電話でリアルタイムに話ができるようになるとそれで用件は済んでしまうだろう。あえて時間のかかる鉄道を利用する必要はなくなる。乗客は大きく減ってしまうのではないか、と。そして戦々恐々としながら事態を見守った。

 ところがそれは杞憂に終わった。ふたを開けてみると鉄道の乗客は逆に増えたのである。それはなぜか。

 それは、電話網が整備されたことで実際に赴いて会える約束を取り交わせるようになったからである。それまでは誰かに会うにしても事前に約束はできず、鉄道を使って実際に行ってみるしかなかった。当然、相手は不在のこともある、忙しくて会えないこともある。それが鉄道を利用しようと決意するときの足かせになっていた。電話網が整備されたことでそれがなくなった。出発する前にちゃんと会える確約がとれるようになったのである。

 こうして考えてみると、人というのは常に相手に「会いたい」生き物なのだ。その後、電話網はさらに急速な発展を遂げ、スマートホン、インターネットの時代を迎えている。今、相手がどこで何をして何を考えているかいつでも手に取るようにわかるようになった。それでも人の本当は実際に「会いたい」という欲求はむかしも今もそしてこれからもきっと変わらないだろう。

 そして鉄道はたくさんの人々のそんな「会いたい」を今日も運んでいる。

 

www.kyotorailwaymuseum.jp

 

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