★Beat Angels

君がすべきことはただ一つ、ニューヨークへ行くことだ -ジャック・ケルアック

カナディアン・スナイパー

 少し物騒だがこういうニュースが流れた。

www.bbc.com

 カナダスナイパーが3.5km先にいる標的に命中させたという。
 

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 狙撃距離3.5kmは渋谷駅と新宿駅の間の距離に相当する。かの有名なスナイパーゴルゴ13でも最大狙撃距離は2kmと言われているからそれをはるかに超えている。当然、弾道は放物線を描くことになるがその途中においてどの程度の高さまで上がるのだろうか。それを計算で求めてみることにした。
 記事によると山岳地帯から狙ったようだがここでは地表から地表に向かって発射する場合を考え、空気抵抗、風の影響などの変動要因は無視するものとする。初速度v0、角度θで発射されたライフルの弾道は、水平、垂直方向の座標をx、yとすると時間tをパラメータとして、
 

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と表される。これらの式から再度地表に戻る時刻とその時の水平距離をt0、x0として解くと、 

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となる。今回の事例では、 

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ということらしいのでこれを代入してv、θの連立方程式として解くと、 

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と求められる。続いて弾道が描く放物線の最大高度を求める。垂直方向の式である。最初に掲げたyの式を変形すると、

 

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 となり、最後の項が最大高度y0に対応する。

 

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 これを実際の数値で計算すると122mとなる。つまり30階建てのビルの高さに相当する。

 以上を整理すると、このスナイパーは発射速度1,285km/時のライフルを用いて角度7.9度で弾丸を発射、弾丸は5sec後に最大高度122mに達する放物線を描いたのち、発射から10sec後に3.54km先の標的に命中させた、ということになる。

 

朝のコージ君

 横須賀線沿線に住むコージ君の朝は満員の通勤電車で始まる。始発駅の隣の駅から電車に乗り込むのでたいていは席に座ることができる。コージ君の勤める会社は横浜駅の次の新川崎駅にあった。座る席は降りる駅のエスカレータの近くの扉のすぐ横と決めていた。新川崎までの約50分の通勤時間の中でコージ君は座りながらスマホで音楽を聴くことにしている。お好みは70年代の古い歌謡曲、しかも当時のアイドル歌手の曲であった。

 

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 その日もいつものように通勤電車の中、座りながらアグネス・チャンの「草原の輝き」を聴いていた。横須賀線横浜駅に停車すると大勢の通勤客が乗りこんできて車内は混雑する。コージ君の席の前にも若い女性がつり革につかまって立っていた。コージ君はその女性の顔をかすめ見た。長い髪の若い女性である。どこかアグネスにも似ているような気がした。

 その翌日もアグネスはコージ君の前に立った。その翌日も同じだった。その日はちょっとだけ彼女と視線が合った。アグネスはあまり表情は変えなかったがコージ君には少しだけ微笑みかけてくれたような気がした。

 その翌日、コージ君は電車に乗り込む前からアグネスのことを考えていた。そしてちょっと試してみようと思い立ち、いつもと違う反対側の席に座ってみることにした。横浜駅から乗り込んできたアグネスはやはりコージ君を目ざとく見つけたのか彼の席の前のつり革を手にとったのである。コージ君は少し有頂天になった。横浜から新川崎まで一区間、時間にしたら10分足らずしかないのに自分を見つけて近くにいようとするのである。これは相当に脈があるに違いないと考えた。

 そしてそんなことが幾日も続くうちに季節は春から夏にかわった。アグネスもすでに夏服に着替え、ブラウスの裾から白い腕をのぞかせていた。その日、コージ君はある決意を秘めて電車に乗り込んだ。横浜から乗り込んで彼の前に立ったアグネスに向かって勇気を出して声をかけてみたのである。

 -あの・・・・

 するとアグネスの表情は瞬間的にこわばり、明らかに怪訝そうな顔をした。そしてあえて混みあっている車内を隣の車両へと移動していったのである。コージ君は呆然とそれを見送るだけだった。翌日から彼女はのる電車を変えたのか、コージ君はアグネスを見かけることはなくなった。

 季節は秋に変わり、帰宅の電車が夕焼け色に包まれる頃になった。コージ君は通勤電車の中でそれを見ながら時々懐かしくアグネスのことを思い出すのであった。

 

 そう、アグネスにとってコージ君はあくまで目印に過ぎなかったのである。アグネスが目をつけていたのはコージ君本人ではなく、コージ君が新川崎駅で電車を降りた後に現れる空いた座席の方であったのだ。

 

常磐線特急と黄門弁当

 先日、茨城県勝田市を訪れる用事があり、久しぶりに常磐線の特急電車に乗った。席に座って上を見上げてみると、

 

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 首都圏のローカル線のグリーン車でみかける表示か、と思ったがこちらでは黄色のランプもある。自分の席の上を見てみると、

 

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 自分の席は緑色であった。別にSuikaをかざしたわけではない。座る前からこの緑色であった。ランプは3色である。色の解説は座席前に書かれていた。

 

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 右下のランプの説明を拡大してみる。

 

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 赤色ランプは「終点まで空席」、黄色ランプは「今現在は空席だが先の区間で予約した人が来て座る」という意味である。この表示はあくまで予約状況だけに対応している。赤色ランプの座席に座ると車掌が来て席で指定席チケットを購入、そこで緑色ランプに変わるという仕組みである。逆に事前に座席を予約した人は緑色ランプを目印に自分の座席を探せることになる。

 首都圏を走るグリーン車との違いは座席予約があるかどうか、ということである。この常磐線の座席表示ランプは恐らく最も進んでいるといえるだろう。

 車内販売で「水戸黄門弁当」なる弁当を購入。見目も美しく、かつ美味。堪能しつつ目指す勝田駅へと向かった。

 

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『サージェント・ペパーズ(50周年記念版)』

 発売から50周年を記念して発売。この伝説的なアルバムで各パートの音をクリアに再現したリミックス版。前面にできるべき音がきちんと前面に出て、ちょっとしたギターの指使いとかが鮮明に聞き取れて聞くたびに新しい発見がある。

 

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 このアルバムはもともとコンサート仕立てであった。きちんとオープニング、エンディング、アンコールが用意されている。アルバムタイトル曲のエンディングのリプライズ版で「申し訳ないけど、そろそろ終わりの時間だ」と歌うところがあるが、そこで観客から落胆のため息が漏れるところなどもちゃんと聞きとれた。オリジナルでも同じ趣向だったのだがあまり効果が出ていなかった演出もきちんとクローズアップされている。

 

 そして、これを機会にジオラマも作ってみた。

 

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 製作時間は約3時間であった。

 

 

メビウスの箱(その2)

 メビウスの箱の原理とは、

メビウスの箱の原理
メビウス(タバコ)の箱のように3つの慣性主軸に対する3つの慣性モーメントが異なる剛体の回転においては、最大、最小の慣性モーメントとなる主軸を中心とした回転は安定しているのに対して中央の慣性モーメントとなる主軸の回転は不安定となる。

 というものであり、オイラー方程式を用いた証明を下記の記事で紹介した。

 

 

 ここでは微分方程式を用いずにもう少し直観的に証明することを考える。そのために回転エネルギーの保存則、そして角運動量の保存則の2つを用いる。

 まず、剛体の回転の運動エネルギーEと角運動量Lの絶対値の2乗は、

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で与えられ、外力がない場合これらは一定の値となる。整理すると、 

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 この2つの式から、ω1~ω3を消去すると、 

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となる。ここでM1M3の大小関係である、

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 を用いると、適当な正の定数C1, C2, C3をとることで上式は、

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 と整理される。これらの式の形からも主軸2に対する挙動が他の2式とは異なることがわかる。 

 まず、主軸1(ω1)を中心とした回転である、

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について考察する。この方程式の代表的な解は、

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であり、振動解となる。ω2, ω3は小さな値からスタートするがω2が増大してもω3が減少する形となりω2、ω3は初期値で決まるある上限値を超えることがない。つまり主軸1を中心とした回転は安定している。この挙動は主軸3(ω3)の場合も同様である。

 次に事情の異なる主軸2(ω2)を中心とした回転である、

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について考察する。この代表的な解は双曲線関数を用いて、

 

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具体的に表現すると、

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となり、時間経過とともに単調かつ急激に増大する。ω1、ω3は小さな値からスタートするがω1が増大すると同時にω3も同時に増大していく。他の2式の要請によりその増大分は主軸2(ω2)の回転を減少させることになる。つまり主軸2を中心にして始まった回転は次第に主軸1,3の回転に比重を移していく、つまり主軸2を中心とした回転は安定しないことになる。

この挙動の直観的な説明を試みる。最初の条件の式は、 

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と変形できる。これをよく見てみると、左辺はω1~3のそれぞれの2乗に対してM1~3の一次、二次の加重平均である。この条件の下で両者が一定となるような条件で動作が決定されることがわかる。当然、1次2次の比率は等しくない。これによって慣性モーメントM1(最小)あるいはM3(最大)に対応したωの比重が高い場合は両極端で安定するのに対してM2(中間)は1次、2次の比率の差をまともにくらった不安定な場所となる。これによりω2は少しでも両極端(ω1、ω3)の安定状態に移行しようとする動作となるのである。

 以上がメビウスの箱の原理の定性的な説明となる。
 

ツタの絡まる家

 こんな夢を見た。

 

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気が付くと夜道を歩いている。真夜中なので誰もいない。ふいに通りの右側の家が明るくライトアップされた。防犯用のライトか、と思う。ライトは豪邸を映し出した。塀にはツタが生い茂っているがそれが家の壁まで伸びている。ツタの流れを目でたどる。よくみると「ツタ」の字。「よく工夫して頑張ったなあ」と感心する。とてもしゃれた趣向で他にも応用できるような気がする。('11.1.30) 

 

 去る2017年4月12日に亡くなったペギー葉山さんのご冥福をお祈りいたします。

 

カキモリ文具店

  さてなんだかわからない人も多いと思うが知る人ぞ知る文具屋さんである。創業は2010年なので老舗というわけではない。まずはホームページをご覧になってほしい。

 

たのしく書く人。カキモリ

 

 万年筆とノートが好き、そして書くことが大好き、そんな素直な気持ちと情熱がひしひしと伝わってくる。仕事で都内に出た帰り道に、この蔵前にある店に足を延ばしてみた。まだ昼下がりだというのに蔵前駅前とその周辺は閑散としていた。

 

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 これならば店も空いていて好都合、と思ったのが甘かった。

 

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 このキモリという文具屋さんの前だけは行列ができていた。店内は満員で入場制限をしているのである。文具屋さんで入場制限とは不思議に思われるかもしれないがここは自分で仕様を決めた自分だけのノートを作ってくれるのである。この行列に並んでいるのはノートを作りたい人たちである。

 まず店に入るまでに時間がかかった上に、仕様を決めてから出来上がるまでの2-3時間をどこかでつぶさないといけない。ちょっとそれは無理なので普通の客として出来合いのものだけを購入して退散した。お客のほとんどが若い女性であった。

 今回購入してきたのは、この風格のあるノートとボールペンを購入。このペンはローラー・ボールという名称で万年筆のインクが使える。ドイツのメーカとの共同開発品とのことだが滑らかな書き味が素晴らしい。

 

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 こうした文具店、本屋は自分と波長が合うことが重要である。話は変わるがこれは最近、桜木町界隈で偶然見つけた古本屋。

 

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 店内を少し歩いただけで運命的な波長の一致を感じた。書棚の左上から右下までなめるように拝見しているうちに休日の半日を費やした。ここで購入した本はこれである。

 

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 店主と話をしていて横浜市の全区町村の歴史に関する膨大な蔵書があることが分かった。次回はそれを見せてもらう約束をして店をあとにした。