君は覚えているかい
雷門の大提灯の下で
二人はしゃいでいた頃を
覚えているわ・・・
仲見世でべっ甲の店をのぞいて
日本髪の櫛の店をひやかして
言問通りの雨が上がるまで
雷門で雨宿りした頃に
僕たちはなぜ戻れないのか?
古い時計が壊れたから・・・
古い時計は直せないのか?
ネジが擦り切れたから・・・
見てごらん、雷門の下にいる二人を
私たちもあんな二人だったのかしら・・・
ねえ、今から二人で古い時計を直しに行こうよ
<浅草・台東区>
『東京逍遥純情詩集('80~'85)』より