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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

駄菓子屋紀行(第9回)~模型飛行機~

 当時の模型飛行機は当然ラジコンとかではない。駄玩具の一種としてゴムの弾性を動力として飛ぶプロペラ機であって、子供のお小遣いの範囲で十分買えるものだった。

 

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 最近のものは枠もプラスチック製になっているが当時は竹ひごと呼ばれる竹を細く割いた棒を使っていた。主翼、尾翼の枠用の竹ひごはまっすぐのものが無造作に入っているだけであり、それを火を使ってきれいな形に曲げられるかがこの模型の成否を決めるといっても過言ではなかった。箱の中には設計図が入っていて子供心に興奮したのを覚えている。ひごの角度が途中で変わる部分にはニューム管と呼ばれるジョイント用の金属部品が用意されている。

 ローソクを立てて水に濡らしたひごを近づける。火に当てながらゆっくりとカーブさせて曲げていく。当然、火に近づけすぎたら燃えてしまったり、折れやすくなるので細心の注意が必要である。

 勿論、翼は左右の対称性も重要である。翼ができたら本体にそれを取り付ける。本体とは言っても太めのまっすぐな棒が一本だけである。そしてプロペラ車輪を取り付け、原動力のゴムを渡す。翼には紙を貼って好きな絵をかいたら完成である。

 さあ、いよいよ発進、プロペラを逆回転させてゴムをしっかり巻きあげる。ゴムにはこぶができ始める。こぶが二回りするくらいがちょうどいい。それ以上だとゴムが切れる危険性が出てくる。プロペラを左手で抑え、本体を右手でしっかり持て全身で投擲の構えを作る。まず左手をそっと離してプロペラの回転開始を確認してすぐさま、右手と全身を使って思い切り空中に放り投げるのだ。さて、発進態勢はすべて整った。胸はドキドキしている。

 

 いざ、発進!宙へ!