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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

表面探査プロジェクト

ある男が見知らぬ惑星に不時着した。彼はその惑星の大きさを報告するように指示された。しかし、惑星の形はさっぱりわからない。上空から写真を撮ることもできない。彼にできることと言ったら地表を歩き回って惑星の表面を測定することだけである。彼は仕方がないので地表をくまなく歩きまわり表面の様子をつぶさに測定した。

同じようなことは地球上でも起こる。ある男が森の中で池を見つけた。彼は池の面積を知りたいと思うが水の中には入れない。できるのは周囲をぐるりと廻ってその水際の形を測定することだけである。こちらのケースは図形が平面図形の場合である。

このように物体の周囲や表面を測定して物体の面積や体積を求めにはどうしたらいいだろうか。

       
     

求めたいのはこれらの面積S、体積Vである。ここで面ベクトルdSは周囲、表面に垂直なベクトルである。その大きさは物体の長さ、面積に等しい。表面探査でこれがくまなく測定できたとする。物体の表面積Snについては、この面ベクトルdSの大きさを直接積分して、
 

で求められる。ここでnは次元数である。

これを使って物体の面積S、体積Vを計算する。まず、適当に一つの座標を選ぶ。選び方は任意である。


        
      

物体の面積、体積は下記の式で計算される。
   

ほぼ同一の形をしている。ここでdSxはベクトルdSのx座標方向の成分である。

これはn次元として一般化すれば、
 

となる。つまり、表面を探査する際には一つの座標とその表面のベクトルのその座標方向の成分の測定だけで充分である。

任意の一方向だけで十分なのは物体の面積や体積は回転しても変わらない、という事実と結びついている。特に3次元物体Vについてのこの計算方法は浮力の原理と同じである。面ベクトルdSが液体から受ける圧力に相当し、その圧力は物体の面に垂直な方向で大きさは座標位置xに比例する。そして物体が受ける浮力は物体の姿勢によらず一定である。このことが座標選択が任意であることに対応している。

通常の直交座標を考えると、   
となる。これはどんな方向でも面積・体積が一定であることによる。よって、一般にn次元物体の体積は、その表面のベクトルを用いて、
 
となることが分かる。

4次元物体の形は想像がつかないが、その表面は3次元物体である。この式が示すのは4次元物体でもその表面である3次元物体をつぶさに測定することで4次元物体の体積が求められる、ということである。勿論、こういうほど簡単ではないが。

続いてこの表面探査の結果を活用する例を2つ示す。1つは断面積Lである。物体の断面積は当然、見る方向によって異なる。その視線の方向ベクトルをAとする。

     
    
物体の断面積は当然、見る方向によって異なる。方向ベクトルをAとする。この時の断面積Lは、それぞれ、

    
という同じ形になる。こうしてn次元物体の断面積Lnは、
 

となることが予想される。

もう一つは視野角θである。座標原点から見た場合と定義する。これが人の視点からみた印象的な大きさとなる。  

        

     
これについては、
 

となる。n次元について一般化すると、
 

となるであろう。以上示したように表面の探査は物体を理解するために非常に有効である。結果を表面探査定理として整理しておく。