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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

天空の船・ラピュタ(後篇)

前回示した日付変更線を切り込みを入れた世界地図を示した。

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この地図上で右の端が地球上でもっとも時間が進んでいて、左端がちょうど24時間最も遅れている。全世界各地の時間はこの違いを保存したまま一日24時間のペースで時々刻々と変わっていく。

このことは宇宙の時間軸の上でこの地図が進んでいくと考えるとわかりやすい。時間軸の上で日にちごとの刻みとそれに対応した昼と夜を図示したものが下図である。
 

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地球上の任意の点はこの宇宙の時間軸の上を時間の方向に流れていく。図の灰色の部分(午後6時から午前6時まで)が夜の時間帯となる。

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こうして考えると地球とは宇宙開闢以来の時間軸の上を旅する船のようなものである。この船の上では場所が決まれば時刻が決まる。

この船は24時間という時間の幅が決められている。これを超えてしまうとこの船に乗っていることはできず、振り落とされてしまう。そうならないように決められたのが日付変更線である。どんなルートで旅をするにしてもこの船の上に残ることができればその場所に対応する時刻に到達することができることになる。

前回説明した4つのフライトのルートを採った時に地図上でどのように動くかを見てみる。

まず、日付変更線をさけてニューヨークに向かった慎重派のA君。

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北極点を迂回するときにかなり高速で24時間分時間を戻ってからニューヨークに到達する。 

続いて普通に日付変更線を超えたB君。

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日付変更線を東向きにまたぐ瞬間、時計は24時間戻されてからニューヨークに到達する。

次は日付変更線を西向きに通過したC君。

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まずはA君と同じように時計は24時間過去に戻され、日付変更線を西にまたぐ瞬間に24時間時計は進められる。そしてまたA君と同じルートで24時間また戻されてニューヨークに到達する。

最後は、日付変更線の端、つまり北極点上を通過したD君。

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北極点はこの地図の上のラインに相当する。地図上はラインとなるが実際は一つの点であり、このライン上の点はすべて北極点を表す。従って、この北極ラインにはどこからで入ることができて、まるでワープのようにどこからでも出ることができる。

厳密に北極点のちょうど上を通過した場合、この図のようにワープしてニューヨークに到達する。北極点から少しでもずれた場合についてはA君もしくはB君と同じようにして、ニューヨークに到達することになる。

以上より、A君からD君の4人は同じ地図の上でニューヨークに到達することができる。つまり、同じ時刻にニューヨークに到着するのである。

以上で解説は終わるが、普通、一日とは何だろうかと考えると「お日様がのぼって沈むのを見ることだ」と理解している人もいるだろう。それは地球上のある点に一生涯じっとしている人から見たら正しいのだが、日付変更線をしょっちゅうまたぐような人からみたら正しくない。

カレンダー上の日数と、太陽を基準とした日数、そして日付変更線をまたぐ回数については次の等式が成り立つ。


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ここでは、公転面と地球の地軸の傾きがない場合を想定している。つまり白夜のような事情は考えていない。

ちなみに私においては日付変更線をまたぐことはあったが、必ず引き返すパターンだけだったので、二つの日数に差はない。大抵の海外旅行とはそういう形であろう。つまり、この差とは世界一周旅行の回数の分だけ、と言い換えてもいいのである。