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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

K駅への最適アプローチ

いつも利用するK駅とその周辺の商店街は次の図のようになっている。

 

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 大通りを曲がってK駅前の商店街の通りに入る。駅前通りをまっすぐ歩いていくと目指すK駅に徒歩10分で到達する。乗りたい電車は10分間隔でやってくる。駅前通りは直線で平たんなのでK駅の駅舎を遠く見通せて、フェンス越しに電車が駅に入ってくるのを確認することができる。しかし商店街にはぎっしりとビルや店舗が立ち並んでいるので視界は悪く電車が入ってくるのを事前に見ることはできない。従ってこの駅前通りを歩く10分の間に電車が見えたときには時すでに遅くその10分後の電車に乗らなければならないことになる。

 私は電車の時刻表も見たことはなく時計も持たないのでこの駅前通りに差し掛かるタイミングは電車の10分の間隔とは全くランダムの関係にある。通りを歩いているときもはるか前方に見える電車がとても気になる。しかし電車は見えたときにはもう遅いことは知っているので自然に早足となる。だが帰宅時の疲れもあって無駄に走ることも避けたい気持ちもある。

 このK駅へのアプローチで最適な速度のコントロール方法は何だろうか。

 電車の発車時刻はランダムなので同じ手法を用いても待ち時間は日々変化する。従ってある手法の適性を評価するために期待値(平均値)を用いることとする。

 次にコントロールの良しあしを決定する指標を導入する。待ち時間の期待値)は歩行者Aが角を曲がったときから駅に向かい電車に乗るまでの時間と定義される。これは当然小さければ小さいほど良い。そしてもう一つの要素が疲労度)である。すなわち、

 

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 まず待ち時間の期待値(T)について考える。ひたすら歩く場合を考えると、駅まで歩く時間が10分、そこから10分間隔の電車が来るまでの平均時間である5分を加えて、

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 となる。では走った場合はどうであろうか。走る速度を歩く場合の1/α倍(α=0~1)であるとすると、通りを走る時間は10αとなる。駅で電車を待つ時間の期待値はやはり5分なので、

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 となる。歩いた場合は本式のα=1の場合に対応する。

 続いて疲労度(L)の定義について考えてみる。Lは区間すべてを歩いた場合を0とする。そしてLは走る速度とその時間に比例するであろう。速度が変化するような場合を考えると(走る速度-歩く速度)を時間で積分することが妥当と思われる。 

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 ここでt0は通りを歩くのに要する時間であり、実際の速度に対応して決定される。

歩く速度を基準にして走る速度をその1/α(t)倍であると考える。ここでαは、0~1の任意の値をとる(歩く速度よりもさらに遅くすることは考えない)。こうすると、

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となる。よって、

 

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とかける。α(t)が固定値(=α)の場合には、t0=10αとなるので、

 

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となる。TLは単純な足し算はできないがためしにやってみると、

 

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 となりαに依存しないことになる。これは一定速度で駅まで移動する場合、速く走れば走るほど疲労度が高くなるがその分だけ早い電車に乗ることができてそれが完全にバランスが取れていることを示している。これは計算上の偶然ではあるものの見通しがいいのでこのKを評価指標として採用することとする。

 ここで再度歩行者Aの視点に立ってみる。一定の速度で走るということはAが走行中に見えているはずの電車の到着という情報を活用していないことを意味する。この貴重な情報を活用して速度をコントロールすることでどこまでKを15よりも小さくできるか、それが本稿の解析の目的である。次回以降詳細に議論する。