- 3円問題であるが、今回は正方形、長方形の場合について考えてみる。
▮正方形の場合
正方形の場合も円と同じように自分よりも小さい2つの正方形で覆い隠すことはできない。
この図は隅の点をピボットとして2辺を共有する形を示している。この場合、縮小、、つまりr<1、である限り、2辺ともに隙間ができて完全に覆い隠すことはできない。
もう一つの覆い方として、隅の点を中心に回転させるやり方を考えてみる。この場合、Pの周りで回転させて上記の点Aで接するようにする。ABの長さを計算すると、
このやり方だと一辺APは完全に隠すことできる。縮小率rが1に近づいていくにつれて点Bは点Cに近づいていくが、こちらも縮小(r<1)である限り、点Cまでは到達できない。
▮長方形の場合
長方形の縦横比率をα(α<1)とする。
長方形の場合も同様の考察をする限り、正方形と同様の定理が成り立つように見える。
しかし長方形の場合は、楕円の場合で考察したように「縦にしてみる」ことで事情が変わってくる。
縦にしてみて覆い隠せるための条件を導く。縦の条件、横の条件から、
これらを整理すると、
が得られる。これをグラフ表示すると、
縦横比率α(<1)の長方形について、縮小率r(<1)の二つの長方形で覆い隠せる組み合わせの領域を黄色で示している。
これから分かることは、
1.縦横比率α=1/√2の場合が最も覆い隠しやすい。
(=覆い隠せる縮小率の幅が最も広い(1/√2~約70%でもOK))
2. 縦横比率α=1/2を下回るとどんな縮小率でも覆い隠せない。
1はちょうどA4版などの用紙サイズの縦横比率に他ならない。A4版2枚でA3版1枚をちょうど覆い隠せることに対応している。A3/A4の大きさの比率は2ではなく、√2であることに注意。1:2はあくまで面積比である。
前回の円/楕円の考察においてもこれとほぼ同様の2つのファクターが得られた。これは図形の形状に依存して決まる特有のパラメータであることが予想される。1を最適比率、2を限界比率と呼んで今後も考察を進めていく。