最近、こんなニュースが流れた。
車輪の部分を写真でみたがどうみてもカーブが曲がりきれる構造をしていない。技術的・原理的な課題も山積な上に、大掛かりな詐欺の疑いも浮上している。今後の展開が楽しみではあるが、この発想の原点は実はこの映画にあるのではないかと思う。
邦題は『弾丸特急ジェット・バス』。1976年のアメリカ映画である。当時、流行していたパニック映画へのオマージュともいえるコメディである。随所に名シーンがちりばめられている。ストーリーらしいストーリーはなく、ドタバタもの。そこに語るべきものはないのでここではバスそのものを中心に紹介する。
バスの登場シーン。BGMは『2001年宇宙の旅』と同じく『ツァラトゥストラかく語りき』。
ニューヨークでの出発シーン。実際に公道を走り去っていく。
目的地はデンバー。ノンストップ。時速150kmを超える速度でひたすら突っ走る。
風圧で割れる窓ガラス。沿道に住む住民にとってはいい迷惑である。
動力は原子力。
不測の事故対策も万全である。向かって奥右の女性がこのバスの設計者キティ。
自動洗浄装置。
ディナールーム。
ボーリング場。
室内プール。
ピアノ生演奏付きのバー。
最後はデンバーまで40kmというところで定番ともいえる崖っぷちシーン。微妙なバランスでシーソーのように揺れる。
主人公の活躍で生還。喜び勇んでデンバーに向かう。峠を下るシーンでバスは前後二つに分断。このままエンドロールが流れる。さっぱり意味が分からない。
今回のニュースをみて懐かしくなりこの映画をもう一度、観なおしてみた。当時高校生だった私はとある女の子とこの映画を見に行った。この映画は私が選んだのだが、この映画の後、彼女とは気まずくなり高校卒業を折に別れた。その後、彼女は映画の評論のような仕事をして雑誌のコラムに古い映画の紹介のような記事を書いていた。私は未練たらしく時々それを読んでいたのだが、ある回でこの映画も取り上げられて、散々にこけ下されているのを読んで悲しくなったことを思い出した。