聖人よ
あなたの道を教えてくれ
繁華な村落はまだ遠く
鶏や子牛の声さえも霞の中にきこえる
聖人よ
あなたの真理をきかせてくれ
杏の花のどんよりとした季節のころに
私は家を出で何の学問を学んできたか
むなしく青春は失われて
恋も名誉も空想もみんな泥柳の牆に涸れてしまった
聖人よ
日は田舍の野路にまだ高く
村村の娘が唱う機織りの歌の声も遠くきこえる
聖人よ、どうして道を語らないか?
あなたは黙しそうして桃や李の咲いてる夢幻の里で
今でも言葉の解き得ぬ認識の玄義を追うか
ああ この高徳の人を知らない
昼ごろになって村に行き
あなたは農家の厨房に坐るでしょう
さびしい路上の聖人よ
わたしは別れ、もはや遠くあなたの靴音を聞かないだろう
悲しみのしのびがたい時でさえも
ああ師よ!私はまだ死なないでしょう