★Beat Angels

サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

アビー・ロードのこと

 ホームズで有名なロンドンのベイカー街にはシャーロック・ホームズ博物館があるが、その隣にはビートルズのショップである。

★London Beatles Store

Beatles Merchandise Store - The official website of the London Beatles Store

 ホームズの博物館は有名な221B番地、こちらは231番地。地下鉄のベイカー・ストリート駅を降りて、徒歩約3分。実はこの店の存在は知らなかった。ホームズ博物館に向かって歩いていたときに、見覚えのあるイエローサブマリンの黄色い字体を偶然見つけて立ち寄ってみた。

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 BeatlesにからんだTシャツ、ジャンパー、帽子、人形、コースター、時計、ギターピックなどが小さな店内に所せましと置かれている。親切なことに日本人の店員さんもいて日本語で説明してくれる。

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 当時のコンサートチケット、パンフレット、ファンクラブの会報、アイドル雑誌の記事などのレプリカを購入。60年代の気分を味わった。

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 偶然ではあったがBeatles気分が盛り上がってきたところで、有名なAbbey Roadを目指すことにした。ベイカー街駅から地下鉄Bakerloo線で4つ目のMaida Vale駅で下車。そこから地図を頼りに東向きに歩きだした。どこにでもある閑静な住宅地という感じで、歴史的なアルバムが生まれた場所というムードはどこにもない。駅から10分ほど歩くと、Abbey Roadに交差する。通りの左右を眺めてみると右手の少し先に人が集まっているのが見えた。群衆というほどではないが10名程度が歩道のこちらとあちらに何をするでもなく立っている。あれが例の横断歩道だろう、とわかった。

 Abbey Road Studioは横断歩道の目の前にある。

 

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 スタジオの敷地に入って写真を撮っていると出ていけ、と叱られた。

  

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これをジャケット写真と比べてみる。

 

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 あのジャケット写真が撮られたのは、1969年8月8日の午前11:30頃であった。まずは夏と冬で木の葉の量が圧倒的に違う。もともとポールはスタジオでの収録中からサンダル履きだった。幾度かサンダル履きで写真を撮ったあとで最後はこの写真のように裸足になった。それがポール死亡説の流布につながっていく。左手に駐車してある車のナンバーは"IF28"。これが「もし生きていれば28才」と解釈されたりもした。

 集まった人たちはジャケット写真と同じように横断歩道を歩くところを写真に収めようとするのだが思いのほか交通量が多く、チャンスはなかなか訪れない。ちなみに今の写真でセンターラインや歩道沿いのラインがジグザグの形をしているが、これは車の運転者に横断歩道が近いという注意を促すものらしい。

 アビー・ロードというアルバムはBeatlesの最後のアルバムである。かつてのバンドとしての一体感はない代わりに、メンバそれぞれの才能はピークを迎え、楽曲のすばらしさに加えてメンバ全員の演奏自体も円熟味を帯びている。この素晴らしいアルバムを決して和気あいあいとは言えない空気の中で淡々と仕上げていったところにBeatlesの本当のすごさを感じる。

 このスタジオでの録音の後、彼らが一緒に演奏することは二度となかったのである。 

 

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      <アビー・ロード・スタジオ前の落書き>