★Beat Angels

サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

詩集

野球観戦

奮闘的恋愛の末路。僕は翌日青梅にある球場に行き、ロッテー南海の二軍戦を観ていた。観客は24人。僕を入れて、だ。そして余計なお世話なことに二軍選手達の人生について思いめぐらしていた。追い打ちをかけるように降り出した雨。それも中途半端な霧雨。…

少女

南に向いた扉から果てしなき海原が広がり午後の日差しが照り返して部屋の中には光が乱舞している少女は扉のそばのベッドに歩み寄るとよく洗濯された白いシーツの上にそっと片膝をおとす少女は家霊の潜む暗闇の中から這い出してきたばかりなのだ誘惑の手はあ…

月蝕

『横浜望郷情念詩集('85~'95)』より

溶融

「聞こえる? ちょうど、この町ってお鍋の底みたいなところにあるでしょ?この石段を上り下りする人がいると、靴の音が響くの。今日、あなたが私の家に来るのも自分の部屋にいて、すぐわかったの。」 石段におおいかぶさるように茂る大樹が明滅する水銀灯に…

鯉泥棒

こんな夢をみた。 大邸宅に夜忍び込んで、池の錦鯉を盗み出そうということになる。そこは町内でも評判の金満一家の屋敷。僕は気乗りはしなかったが彼女に頼まれるといやとはいえない。 寝静まった満月の夜、僕は大きな池にしずかに釣り糸をたらす。糸だけで…

無題

人生最初の恋は最後の恋のように思う。人生最後の恋は最初の恋のように思う。

飛躍への

(Intentionally Blank) 『福島青春焦燥詩集('75~'80)』より

幻の旅路

雁の群れが空を二つに横切り猿の声が遠く響き渡る薄く霞んだ道の果てにはるか塔は浮かび上がった僕を誘ってやまぬ幻の旅路よ残念ながら僕はもうここにとどまることはできない『福島青春焦燥詩集('75~'80)』より

京都よ

京都よ 古代からの日本人の心のふるさとよ優しい響きで私を誘ってやまぬものよ私はお前に出会うのだ刹那なりともお前と同化するのだすべてを見せてほしいそして私の第2のふるさととして私を励ましてほしいのだ 古代建造物の歴史の香りにも舞妓たちの脂粉の…

魚影

-ほら見て!魚よ その娘は古ぼけた橋の欄干から身を乗り出して深い緑色をした川面を指さした。後ろを歩いていた僕は慌てて彼女の指し示す方角に目線を走らせたが何も見つけられなかった。 -もう遅いわよ 娘はいたずらっぽい笑みを浮かべると後ろ手を組んで…

イデア論

人間は理想と現実の食い違いに悩む。だから理想なんてもたなければ苦しみなんて感じない。では人間が理想を持つことはすなわち苦しみを意味するのであろうか。人間は理想なしに生きることはできない。理想の追求、それへの接近が人間の生存目標である。では…

冷たい夜

夜の帳が静かに降りると街は暗いドームに覆われる夏の日差しの裏側は冷たく凍えるような世界夕暮れの虫の音もピタリとやんだ 夜の暗闇の中街は静かに沈んでいくその一番底にある僕の家には絶えず冷気が吹き込んでくるどこまでも冷えていくがいい『福島青春焦…

友よ

歩き疲れて立ち止まるとき悲しみにうちひしがれて道を踏み外しそうなとき振り向けば君がいた『福島青春焦燥詩集('75~'80)』より

ユートピア

君がいて光がて風がいて輝くような僕の世界がここにある花畑が一面に広がり君が座って花摘みをして出来上がった花の冠を僕の頭に乗せる風に舞う君は僕の女王手をつないで走ろうどこまでも『福島青春焦燥詩集('75~'80)』より

光が変わった・・・流れる風は優しく君の髪をとかすすべては昨日と同じでも何かが違う優しい光は君に影をつくる笑顔は眩しいのに風は冷たい光が変わった・・・ 『福島青春焦燥詩集('75~'80)』より

無題

小鳥のさえずりが僕の部屋に満ちてくるとやさしい風のように朝日が僕を包んでくれる手にいっぱいの朝日を持って駆けていこう やさしい風が僕を誘ってきれいな音色を奏でるとき窓の隙間を通して朝の爽やかな町が見える 『福島青春焦燥詩集('75~'80)』より

君の手のスミレの花は

君の手に一つのスミレの花を風にふるえた季節のスミレの花を春の風にゆれるだろう君の手のスミレの花は 君の手の一つのスミレの花は風にふるえた季節のスミレの花は風に舞ってしまうだろう君の手のスミレの花は 君の手のスミレの花は - YouTube 『福島青春焦…