日本の面積保存則
仮に地球全体が透明の海でできていてそこに大陸や島がプカプカと浮かんでいるとする。高さ方向は考えない。大陸や島は厚みがゼロのペラペラな黒い紙のようなものであるとする。地球上のあらゆる地点から透明な地球を介してその日本が見える。日本のちょうど反対側にあるブラジルからは日本はきれいな形で見えるはずである。ただし、
裏側から見ることになるので形は反転する。ブラジルから日本は遠すぎてよく見えないのでもっと近づいて見てみたいと思う。地球の上をどんどん日本に向かって近づいていく。
ハワイまでくると距離はリオの半分以下である。そこからどう見えるかというと、
確かに幅は広がるが、斜めからみることになるのでひしゃげた形になってしまう。さらに八丈島までくると、
幅は格段に広がる。しかし斜めすぎてほとんど線のようにしか見えないだろう。せっかく近づいたのに全然大きくなった気がしない。
以上はなんとなく腑に落ちないが、実は次の定理が成り立つ。
ここでいう面積とはある場所にいる人からみた視界の中で占める角度のことである。3次元の場合の角度とは数学的には立体角と言われるもので、視界全体を半径1の球としたときにその物体が球の表面積を切り取る面積として計算される。
地球の任意の場所からみた日本の面積を下図を用いて説明する。
上図のように、地球上のとある地点(●)と地球の中心点(●)を結ぶ線を真上から見下ろす形として、中心を通りある角度θで垂直に裁断して断面の円を見る。そこで日本が含まれる円弧を見込む角度Ωを考える。地球の中心点からのこの角度をΩ(θ)とすると、ある地点からの角度はその半分となる。これは円周角の定理による。
日本の見かけの面積はこのΩ(θ)をθについて一周分積分したものである。地球の中心点からの見える面積Ω(●)、とある地点から見える面積Ω(●)を計算すると、
となる。
つまり、地球上のある地点、つまり任意の地点からみた面積は、地球の中心点からみた面積の常に半分である。地球の中心点から見た面積は固定値であるから結果的に地球上のあらゆる地点からみた日本の面積は一定となる。そして、それは地球の中心点から見えた面積の半分に等しい。
勿論、この話は日本に限定されるものではない。これを一般化したもの以下に示す。