★Beat Angels

前途は遠かった。でもそれはどうでもいい。道こそが人生だからだ。 - Jack Kerouac

柿の実定理

今年の柿は不作だった。

第一の原因は、夏場に雨天が続いて十分な日照時間が確保できなかったことである。さらに追い打ちをかけたのが台風19号である。熟した実が暴風雨を受けて一夜でたくさん振り落とされてしまった。

それでもけなげに耐え抜いてくれたのが彼らである。

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ちょうど20個であった。これを積上げてみると一辺の長さ4の三角錐がきれいに出来上がった。

いきなり数学の話になって恐縮だが、d次元の三角錐を考える。一辺の長さをnとしたときに、三角錐を構成する柿の実の数を、

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と表す。一番わかりやすい2次元の場合(三角形)を考えると、

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柿はこのように積み上げられ、長さnの柿の実の数は、

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で与えられることは有名である。幼少のガウスがこれを発見したという話もある。次に3次元を考えると長さが1~nの三角形を積み上げていくことになる。この操作を一般のd次元に拡張すると、柿の実の数に関する漸化式は、

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となる。3次元の場合でこれを計算すると、

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となる。今回、収穫した20個の柿については、

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と記述される。

4次元以上の場合も同様の漸化式で計算することになるが、その計算は次元数が増えるに従って複雑化してしまう。もっとわかりやすい計算方法はないだろうか。ということで、2次元、3次元の式を並べてみる。

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これらはどこかに見覚えがある。それは分子の掛け算の順序を入れ替えるとわかりやすい。

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これから次の定理が予想される。

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これを数学的帰納法で証明する。

(1) d=1の場合、三角錐を想像するのは難しいが、

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と考えれば、

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であり、確かに成り立つ。

(2) d=k次元で成立すると仮定する。すなわち、

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d=k+1次元について漸化式を用いて計算する。

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つまりk+1次元でも成立する。

以上より、すべてのd次元について成立することが証明された。この過程で、下記の恒等式を使用した。

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この恒等式パスカルの三角形において、斜めに並んだ数の総和がすぐ斜め下に登場するという原理を示している。

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三角錐に関する定理が同じく三角形の原理から導き出されることは決して偶然ではない。

今回の1,2,3次元のnに対応した柿の数の列を書き出してみる。

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これらの数列は、パスカルの三角形の上にきちんと並んでいる。

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今回の柿の数である20もすでにここに登場していた。こうしてみると、パスカルの三角形が柿の個数を数えるために存在していたような気がしてくるから不思議である。

みちのくフィギュアみやげ(補遺)

前回、n種類のフィギュアをランダムにr個購入したときの順列の中でn種類がすべて含まれる順列の数は

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であることを説明した。これのn=2,3,4の場合の具体的な式は、

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であり、大変分かりにくい。これを数表として書いてみると、

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これを眺めて、何らかの法則を導き出すのが本稿の目的である。

まず、定義から次の①が予想される。

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分母はn種類をr回購入したときの順列の総数なのでこれはr個購入したときにn個がすべて揃う確率を表している。それが1に収束するということは、rがnを超えて大きくなればいつかはn個が揃うのは時間の問題である、ということを示している。これを数学的に証明すると、

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となる。また、n、rが1の場合については、直接計算すると次の公式群が成り立つ。

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ここまではあまり面白くないが、特徴的なのは次の公式である。

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前者は数表の右上半分が0であることに対応し、後者は斜めの数、1,2,6,24,・・・がn!になっていることに対応する。

これらは直感的に理解しやすい。前者はn種類そろえるのにnより小さいr回では揃うはずがないことを表している。後者はrとnが等しい場合であり、このときn種類が1個ずつきれいに選ばれる。となると求める数列はn個の単純な並べかえの順列に等しい、ということである。

数学的に導くには次のような解析的な方法がある。
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という2項級数の式に対して、①xで微分する、②x=1を代入する、③両辺にxを掛ける。という操作を繰り返す。

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そして、一般的に、

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が得られる。

後者の延長で「ではrがn+1の場合はどうなるか?」という疑問がわく。この場合は、

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という何とも言えない式となる。n+2以降はさらに複雑化して書き下せない。

S(n,r)については漸化式として次が成立する。

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この式の直観的な説明は次のようになる。r回目をひいてn種類揃っているということからその1回前はどうだったということを考えると、すでにn種類揃っていたか、あと一種類足りなかったかのどちらかである。n回目はn通りあるのでこの式が成り立つ。

数表の上で見てみると、どこでもいいので左右で隣り合う2つの数字を足し合わせる。それをn倍化したものが、右側の数字の下の数字に等しい。この漸化式は数表を作っていく上で非常に重要である。

以上が基本的な性質となるが、他にはどのようなものがあるか。

計算の支障となっているのはSの式の複雑さである。そこでSに変わって次のS’を導入する。

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これを用いると、数表は次のようになる。

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この表を眺めながら規則を探してみる。例えば横一列をすべて足すと0になることはすぐに気が付く。同様にして他の法則を探し続けた。その結果、次のような公式群を発見した。⑧以降はもともとの問題の枠をはみ出してrが0や負の数の場合も扱っている。

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これらは計算上は成り立つのだが、みちのくフィギュアみやげの問題にどのように絡んでくるかは不明である。

前回記事でn個そろえるのに必要な回数の期待値E(n)を計算してそれが、

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であることを示したが、今回の結論を使うと、

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と書き表せる。rがー1と負数なのがポイントである。これがはたして偶然なのか、なんらかの意味を持つのかについては今後の宿題とする。

以下、rが0や負数とした場合も含めた数表(S、S’)を参考付録として示す。

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みちのくフィギュアみやげ(続き)

せんべい汁のフィギュア。鍋の直径は2cmほどである。

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7種類のフィギュアをすべて手にいれるまでに必要な回数の期待値を計算する。ここでそれぞれが出てくる確率は1/7で等しいものとする。

r回目めにn個が初めてそろう確率ΔPが求められれば、期待回数Eは次の式で計算できる。

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しかし、ΔPの計算は難しそうなので、r回までにそろう確率Pを求めて、(r-1)回までの確率を差し引くことで計算することとした。

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r回まででr個すべてを含む順列の数をSとすればPは、
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で求められる。Sを具体的に求めると、

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などである。一般的の場合で確率Pを求めると、

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となる。これを使って期待値Eを計算した結果を以下に示す。

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どうにも規則が見つからない。今回の問題のn=7の場合は、
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となる。一般の場合で計算してみる。

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途中の過程は煩雑なので省略するが、結果的に、

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となる。さらに計算を進めると、

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というすっきりとした形に変換できた。途中過程で使った恒等式をメモとして記載しておく。

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後者は、パスカルの3角形の特徴であるが、

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1から始まる斜めのラインで合計した値がすぐ斜め下に登場するというものである。これは3角形内すべての場所で成り立つ。

さて、今回得られた式をn=7の場合で確かめてみると前の複雑な級数計算と同じ結果が簡単に得られた。最初からこの式が得られれば面倒な計算をすることがなかったのだが。

この式の形をじっと眺めてみる。すると、次のアプローチが成立することが分かった。

まず、1回目のトライをする。いずれか1つが手に入る。2回目以降で1回目と違うものが得られる確率は6/7である。一般に確率pの事象が発生するまでの期待回数はpの逆数(1/p)になるので、2個目が手にはいる回数は7/6である。続いて3個目が手に入るまでの回数は7/5、こうして7個目が手に入る回数までの総数を計算すると、

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と計算できるのである。

みちのくフィギュアみやげ

墓参りの旅の道すがら、みちのくの駅売店でこれをみつけた。

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第3弾だそうである。

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1個500円と高価だが、なかなか精巧にできていて気に入っている。

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フィギュアは7種類。左上から、中尊寺金色堂、花笠踊り、三春駒、かまくら三陸鉄道、松島の日の出、そしてせんべい汁

早速購入してみると、せんべい汁だった。

7種類すべてそろえるには何回くらい買わないといけないだろうか。7回だけで全部そろう確率を計算すると4%くらいとほぼ絶望的である。仮に6個までそろえたしても残る1個がでる確率は1/7なのでそこからさらに7回買わないといけない。

計算してみると意外に難問であった。答えは約18回、つまり9,000円必要な計算である。


4次元超立方体の角(その2)


一般に一辺の長さがnのd次元の立方体は、

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で記述される。これを一辺の長さn+1に拡張すると、結果的に

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に拡張される。この拡張により立方体の体積は、

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だけ増加する。この多項式の順番に従って各要素を追加していくことを考える。この過程で追加される座標は、

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で表される。このd個の座標をn+1の登場有無に従って2つのグループに分けて、次のように追加操作を記号で表現する。

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分母の追加位置Pは、要素を追加する位置を示し、
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である。特にd=p、m=0の場合については、

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と記述する。d個の中からp個が選ばれる総数は、
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なので、すべての追加される要素の体積の総和を計算してみると、

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となっている。

以下、1~4次元での拡張の手順を本操作記号を用いて説明する。


■1次元

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この場合は「角」が追加されるだけである。

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■2次元

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1次元の列が二つ、そして角が追加される。

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■3次元

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3つの平面、3つの列、そして最後に角が追加されて完成する。

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■4次元

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問題の4次元である。x、y、zの3軸にw軸が追加される。当然、厳密に表現することは難しいのでn=3の場合のイメージとして示す。まずはスタート地点。ちょっと長くなるが。

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まずは立方体を追加するが、x軸方向に追加する場合はこれ。平面がw軸方向に重なる。y、z軸の場合も同様である。

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w軸方向についてはちょっと異なり、w=4の場所に立方体が出現する。

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これらは違う形に見えるが、4次元の住人からみると等しく立方体である。4つの立方体を追加するとこうなる。

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続いて平面を追加する。まずは(x、y)方向に追加した場合。列がw軸方向に並ぶ。(y、z)方向、(z、x)方向も同様。

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w軸がからむ3つの方向についてはw=4の場所で平面が追加される。下記は(w、x)方向の例。

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6つの平面が追加したものが下記。

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続いて列を追加する。4つまとめて追加したものが下図。こうして残るは一か所のみとなる。

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最後に残った角を追加。

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これにて拡張は完了。以上に示した通り、

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これがすべての次元で最後に登場する「角」の正体である。

4次元超立方体の角(その1)

n個の列に1つを加えてn+1個の列にする。

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これは式で表せば、

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ということだ。ではnxnの2次元の平面をn+1に拡張する場合はどうなるか。

まず、2つの方向に列を加える。

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すると、角に1つ分だけ欠けた部分が登場するのでそこに1つを追加する。

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こうしてn+1の平面が完成する。

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これは式で表すと、

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である。この式を忠実に再現したことになる。

次は3次元立方体の場合である。まずは3つの方向に平面を追加する。

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追加した平面と平面の間に列を3ついれる。

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ここでも角に1つだけ欠けた部分が登場するのでそこに1つを追加する。

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こうしてn+1の大きさの立方体が完成する。

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これは式で表すと、

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であり、この場合もこの式を再現した形である。最後の「+1」が最後に追加する角の部分の1個に相当する。

さて、問題は4次元の場合である。式を先に書いてみると、

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これも3次元までと同じような手順で考えることができるような気がする。しかし、そもそも4次元の超立方体の形はよくわからない。

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しかしこの4次元超立方体に追加していくのは、立方体、平面、列、そして角の4種類であり、これらの形は明確にイメージできる。また、追加する個数もそれぞれの個数が4,6,4,1であることも式から明らかである。

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この事実を元に4次元超立方体の形のイメージがつかんでみたい。

気になっているのは最後に登場する「角」である。5次元の場合の式は、


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であり、ここでも最後の「角」が存在する。一般に、

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であるから、全ての次元の超立方体には最後の「角」が存在することになる。この最後の「角」の正体を明らかにしたい。