タオラ島は東西150m、南北100mのごくごく小さな島である。
「タオラ」は現地の古いことばで「船」を意味する。かつてはきれいな船の形をしていたが、海底火山の爆発で船の先端の一部が水没してややいびつな形になったといわれている。
船着場で観光客が島に降り立つとすぐに花屋があり、島の季節の花が出迎える。
これが島の東西を結ぶ幹線道路。通りの名前の「ナカ」は中央という意味だが、友情という意味も併せ持つ。
雨に濡れない構造である。島の向こう側まで見渡せる。
そしてこれが南北の幹線道路。
地元の主な交通機関は車であり、タクシーが発達している。
島自体は全周を歩いても5分かからないほど小さいので、利用者は一部の観光客に限られる。
タオラ島の代表的な産業は製麺業である。こちらがその工場。
そしてこちらがそれを観光客にふるまう店である。工場から通りを挟んだ反対側という至近距離にあり、いつでもできたての麺を提供することができる。
山間に種をまくと、1週間くらいで胚芽から新芽がでてくる。それが栄養の源なのだが、胚芽の部分は粒の端にあるので製粉の工程でそれが落ちないように注意しているのだそうだ。
これは地元で愛されている動物の名前を冠した代表的な麺料理である。
タオラ島はもともと火山性の山があり、豊かな温泉資源があることでも知られている。
これが温泉施設。ほぼ島の中央にあり、高い煙突が目印である。島のどこからでも見えて迷うことはない。
入場料は大人470円と手ごろである。
場内にはゆっくりとくつろげるスペースが広がっている。
年代物のベンチ。寄贈者の名前の中に「船食」がある(右から2番目)。これは製麺会社に他ならない。
住民たちはきれい好きである。温泉ランド周辺には洗濯施設が完備されている。
ここには何も看板がないが、中に入ってみると、
洗濯機、乾燥機が並んでいる。注意事項がこまごまと貼り出されていてとても親切だ。
夕涼みを兼ねてカフェ「プリモベーラ」へ。
入り口は少し小さめだが店の内部は堂々としている。
ここは住民も利用する。観光客と住民の憩いと交流の場である。
アイスコーヒーを注文。こうして島の午後はゆっくりと静かに過ぎていく。
夕食のレストランとして一番の人気スポットはこの店である。
タオラ島の特産品の山の幸、海の幸が豊富な品ぞろえで並ぶ。色も鮮やかである。
バイキング形式で好きなものを選んで取っていく。しかし、ここでは重さによって課金されるシステムなので注意願いたい。とは言っても、100g=190円といたってリーズナブルである。
これで300g程度である。
持ち帰り用の”BENTO”も用意されている。今回、これをお土産として戴いた。
夕食のあとはそれぞれ自由な時間を過ごす。いくつかの人気スポットを紹介する。
タオラ島の工芸品を売るショップがここである。「オズマケイカク」という不思議な名前である。ここは、タオラ島に代々伝わる民芸品や珍しい骨とう品を並べている。
島ではかつて織物業が盛んだった。その当時の機械が陳列されている。今でも十分に使える。
これが島の代表的な民芸品である。
高さ4cmくらいの可愛い人形である。石こうで型をとり、一つ一つ心を込めてペイントする。テーマを伝えればそれにあったものを作ってくれるらしい。
ここは近代的な整体の店である。かつてから船乗りたちは重要な客だった。店先にはいまでも船乗りの来店を歓迎するという幟や看板が掲げられている。
普通のショッピングを楽しみたい人は、
この島にも近代化の波は押し寄せている。外国資本による大型チェーン店である。
住民たちは都会的なセンスにあふれ、最新ファッションにも敏感である。
もう少し飲み足りないという方には歓楽街もある。
ちょっと奥ゆかしすぎて、民家なのかわかりにくい店もある。これなどは普通の民家の玄関にしかみえないがれっきとしたバーである。ドアをたたくのにはなかなか勇気が必要である。
しゃれた洋食屋もある。
信仰心の厚さが前面に出ていて、入るのが少しはばかられる店もある。
疲れた人にはマッサージ施設もある。出張もしてくれるようだ。
そしてお忍びで密会されたい、という方には、
こういう純日本風の奥座敷も用意されている。
このようにタオラ島は一日中楽しめるレジャースポットである。しかし残念なことにこの島には宿泊施設はない。観光客はつかの間のやすらぎの時間を過ごした後、名残惜しそうに帰途に着く。
さてこの島へのアクセスであるが、横浜から25分のところにある。