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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

エスカレータの段数定理(その2)

前回、同じ速度でエスカレーターを2方向に歩くとき、その歩数がA、Bだったならば、エスカレーターの段数Nは、

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という調和平均で求められることを示した。ここで、歩数A, Bは方向と速さによっては、マイナスの値をとる場合もありうる。

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この定理はエスカレーターや歩く速さに依存しないので、便利である反面、逆にそれがないのでイメージがつかみにくいという御意見も頂戴した。

そこで、速さによって歩数がどのように変化するのかを解析する。ここで、次の速さに関するパラメータを定義する。

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Vはエスカレーターの速さでここでは一定と考える。vはその上を人の歩く速さであり、rが大きいほど、歩く速さが速いことを示す。特にV=vの場合は両者の速さが等しい場合になる。

このrを用いてA、Bは次のように記述される。

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これをグラフ化すると下図のようになる。

 

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以下、上りのエスカレーターの場合で、Aが上りの歩数、Bが下りの歩数として、rの値に応じたA、Bの値の概要を説明する。

人がほぼ止まっているか、もしくはそれに比べたエスカレーターが超高速の場合、上り下りともほぼ歩数A、Bは0となる。

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歩く速さvが少しずつ速くなってくるが、まだエスカレーターの速さVには届かない場合、下りの歩数Bはマイナスの数である。つまり下ることはできない。

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やがて歩く速さがエスカレーターと等しくなる。この時、下り方向はいくら歩いても反対側には到達できず、Bは無限大、あるいは無限小となる。この時、上りの歩数Aは、エスカレーターの段数Nのちょうど半分、つまり、上りについては人、エスカレーターが半分ずつ協力する、という形である。

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歩く速さvがエスカレーターの速さVを超えると、Bが正の数となり、下って降りることができるようになる。vが速くなればなるほどその歩数は小さくなる。

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vがさらに大きくなるに従って、A、BともNに近づいていく。この状態はエスカレーターが停止した場合(V=0)と同様である。

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さて、以上説明してきたこのグラフは、V=vのところで、下りの歩数Bの値が大きく跳躍するが、実際問題としてこの跳躍は差がなく、同一事象(永遠に上りエスカレーターを下り続ける)に対応しており、連続であると考えるのが分かりやすい。そこでA、Bの逆数に相当する次のパラメータα、βを導入する。


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これらをrと用いて表すと、

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となる、これを表すと下図となる。

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説明は前のグラフと同じなので省略する。