話はピンボールから完全にそれてしまうが、次の形式で2進法表記された、
という、0~1の範囲の数に対して、
桁数に対応して直角二等辺3角形をどこまでも細分化していくと、最終的に一つの点に収束していく。こうして、0~1の間の実数Fを三角形の内部の点Eに変換することができる。
いろいろなFの値に対応する点Eが三角形のどこに登場するかについていくつかの例で具体的に計算してみると下図のようになる。
図中で近くにある点は同一の場所であることを示している。このように別な点Fに対応する点Eが複数存在する箇所がある。ここまで調べた範囲では三角形の周回部では最大2つ、三角形内部では最大4つのように思えるがすべて調べたわけではないのでなんとも言えない。数学的に言うならば点Fから点Eへの写像は全射ではあるが単射ではない、ということである。
このぐねぐねした経路がなんとも分かりにくい。これをもう少し見通し良くできないだろうか、と考えて三角形を切り込んでいくという方法を思いついた。そのアイディアを以下に説明する。
まず、三角形を直角部を一番上して斜辺が水平になるように置く。斜辺の左の点を0、右端の点を1とする。
頂点の数字は、斜辺の両端の数字の中点とする。この図の場合は2分の1となる。
頂点を含む線で三角形を2等分に裁断する。しかし頂点だけはくっつけたままとする。切断ラインを開いていき、上下を反転させ、下図のようにする。
点1/2は下の線に着地した。この下の線を便宜的に水平線と呼ぶことにする。こうすると横幅がはみ出してしまうので(√2倍)、横幅が変わらないように縮小する(1/√2倍)。
これで1回の手順は完了する。こうして一つの三角形が2個になる。引き続いて、2個それぞれの三角形に対して、同じ手順を繰り返していく。
縮小によって三角形の大きさ、面積はどんどん小さくなって0に極限まで近づくだろう。実際に1回の操作で面積の合計は半分になる。最終的には、
このように全体として最初の三角形内のすべての点Eは水平線に極限まで近づいていく。一度、水平線に移動した点、1/2, 1/4, 3/4, 3/8などはの点はその後もずっと水平線にとどまる。それは三角形の裁断の方法から明らかだ。それらの位置を見るとちょうど数直線上の点Fの位置と合致している。
この手順を逆にたどれば数直線上の点Fから三角形の中の点Eを定めることができそうに思えてくる。しかしそう簡単ではない。ただの数直線を眺めていても種となる三角形の列がどうやっても生みだされない。この過程は不可逆なのである。
この系列に属さない1/3、2/5などは裁断のたびに三角形の左右の位置がふらふらして落ち着かず、水平線に到達するように思えない。これらは1/2,、1/4などと同じ有理数であるはずである。この差は何に起因するのか。
それは2進数表記した時の形である。水平線に移動できる点は、
有限の桁数で表示されることである。
この場合は、この点Fを端点として持つ有限の大きさの三角形列が必ず決定される。それにより、上記の手順を逆にたどることで最初の三角形内における点Eを求めることができる。
1/3, 1/5などは1を含む循環小数となるのでこの条件を満たさず、いつまでたっても水平線に到達できない。もちろん、それは1/√2、π-3などの循環小数ともならない無理数の場合も同様である。このことはこの点Fを端点としてもつ三角形列が存在しない、ということと同値である。