先日、近所のスーパーで駄菓子屋フェアが催されていたので立ち寄り、そこで昔懐かしいスーパーボールを見つけたので買ってきた。
それで半日遊びながらその不思議な運動の正体を探っていたのだが、結論としてそれが床面で反射する際にしっかりと床面に粘着して決して滑らない、という特性にあることが分かった。
ボールは床面で反射する際に短い床面から時間摩擦力Fを受ける。これにより、速度v、回転数ωが衝突の前後で急激に変化する。摩擦力はボールの速度を減速させるのだがそれがまったく同じ大きさの力で回転運動を加速させるのである。ボールが受ける摩擦力Fは水平方向であるので水平方向の速度だけが影響を受ける。垂直方向の速度については摩擦力の影響を受けないのでここでは考えない。
ボールの床面衝突前後においては、①運動量保存、②回転角運動量保存、③トータルの運動エネルギー保存、の3つが成り立つ。③については完全男性衝突を仮定している。
ボールの半径をa、慣性モーメントをIとした。最初の2式から摩擦力Fを消去すると、
が得られる。衝突前後を添字の1,2を使って表示するにすると、第3式から、
または、
が得られる。これらがボールの衝突運動を記述する基本方程式となる。
特に後者については、
と定義すると、
という簡単な式となる。この速度の意味を考えてみると、この速度はスーパーボールの表面にマーキングを行った時にそれがボールの一番下を通過するときの速度に他ならない。
以上より、スーパーボールの衝突運動とは、その前後でこのマーキングの速度が同じ大きさで反転することであると結論づけられる。
さて、以上の考察結果を用いて具体的なケースを考えてみる。
◆ケースA:振動
まず、下記のような振動が発生する条件を求める。
これについては、
であることを用いて、
という条件が得られる。この場合、衝突の前後で
となり確かに振動運動である。またこの時のマーキング速度は、
となり衝突のたびにきちんと反転する。
◆ケースB:スーパーボールらしからぬ運動
次の条件、
が成立するとき、スーパーボールらしからぬ運動となる。この場合は、
水平速度、回転ともに保存される。この場合のマーキング速度は、
であり、床面からみてボール表面は静止している、よって摩擦力Fが発生しないことがその理由である。