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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

特撮座標系(スカイツリー編)

前回に引き続き、特撮座標系の話である。

taamori1229.hatenablog.com


今回は同じく重力の影響を受けて塔が倒壊するシーンを撮影する。


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スケール比100分の1の模型を使って撮影する。

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この場合の回転角θに関する運動方程式は、塔の重心が高さの2分の1の位置にあるとして、塔の慣性モーメントをIとすると、

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で与えられる。塔を長さRの棒の形状とみなすと慣性モーメントIは、

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であるので、求める運動方程式は、下記となる。

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これを解くのは容易でないので、座標系変換でこの運動方程式がどう変換されるかを考える。
 

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これによると変換後の運動方程式は、R'=NRに注意して、
 

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となり、やはり重力の項が正しくならない。みかけのN倍の重力により現実よりも短時間に倒れてしまう。そこで、次の座標変換系を使う。
 

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この座標系によると、

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となり、現実世界と同じ運動が成立する。つまり、スケール100分の1の模型を使った塔の倒壊シーンを撮影する場合においても10分の1のスローモーションで撮影するのが正しいやり方であることがわかる。