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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

会津に怪獣出現!

近所の図書館で江戸時代の新聞・かわら版の図版集を発見し、時間のある時に立ち寄ってパラパラとめくっている。火事や地震などの真面目な記事も多いのだが、心中事件などの色恋沙汰、かたき討ちの美談、また時には真偽が疑わしい怪事件なども結構散見される。江戸時代の庶民の興味の在り方がうかがえて面白い。

そんな中で「怪獣出現」の記事を2つ見つけたので紹介する。

ひとつは、1782年に福島県会津地方で発見された怪獣の記事。

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怪獣を拡大すると、

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これは見るからに恐ろしい。記事を現代語訳してみる。

  

天明2年(1782年)7月22日、奥州会津磐梯山にて松前三平という猟師が怪獣を退治

昨年の夏ごろから奥州会津で15歳以下の子供が行方不明になる事件が相次いでいた。磐梯山のふもとに塔の沢という温泉地があり湯治場としてたくさんの人が滞留していたが狙われたのはその子供たちである。領主が調査を行った結果、磐梯山から怪獣が現れて子供を連れ去って食べてしまう、ということがわかった。代官岩坂庄兵衛はこれを退治するために弓、鉄砲の足軽隊を組織して山を取り囲んだが、怪獣は矢も鉄砲の玉も跳ね返してしまうらしく失敗に終わった。数年前からこの地に住み着いた浪人で松前三平という足軽がいた。彼は7月22日に大砲にてこの怪獣を見事退治して殿様から感謝状と馬を賜った。

さてこの怪獣は身長約1.5m、頭から顎まで60cm、口は耳まで裂けていて鼻とくちばしが異様に長く地面に着くくらいであった。全体はヒキガエルに似ているが、全身針の毛でおおわれていて尾は2m近い。髪の毛は黒くて身長ほどの長さ。手足は短いが、手には水かきがあって不気味である。死んでも目は開けたままだった。

 


「怪獣(くわいじう)」という言葉の響きがとても現代的である。この付近では「安達ケ原の鬼婆」という伝説も有名である。髪の毛の長さなどなにか通じるものを感じる。


もう一つはこれ。1838年に江ノ島で発見された怪獣、ではなく海獣の記事。

 

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江の島の洞窟で弁天様を拝んでいたと報告されている。また、人の言葉を理解しているようで愛嬌がある、と書かれている。

海獣を拡大したのがこれ。

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あの・・・これどうみても、アザラシなんですけど。

この記事の当時の世界は大航海時代も終って、古今東西の珍しいものはあらかた周知のものとなっていた。世界の動物たちもしかりである。しかし日本はそのころ鎖国の時代。その影響はこういうところにも出てくるのである。

ところで、多摩川のタマちゃんはどこに行ったのだろうか。

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