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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

ハリウッド的新入社員発表会入門

多くの会社では新入社員が入社してから1年目あるいは2年目くらいに発表会が行われることだろう。それは入社して最初に与えられた仕事について取り組んできた経験や成果について会社幹部をはじめとする大勢の社員の前で発表する大切なセレモニーである。新入社員なので発表の場にも慣れておらず内容のストーリーの組み立てで苦労したり発表そのものの仕方などで緊張したりするに違いない。

新入社員の発表というのは世界に誇るような発表内容となることはまれである。だからテーマ自体はさほど大きくなくてもそれを自分なりにどう理解して苦労を重ねながら結果を出していったかを発表する場となる。だからおのずと関心は成果そのものよりもそれに至るプロセス、取り組んできた姿勢などが中心となることが多い。

発表時間は普通15分くらいである。発表のストーリーを決めるにあたっては観客をひきつける発表とはどういうものか、悩むことがあるだろう。ここではそのための一つのガイドラインを紹介する。

沢山の聴衆をある空間に閉じ込めてある時間を占有する芸術を総合芸術と呼ぶが、その代表格が映画である。そして今その世界の映画界を牛耳っているのはご存じハリウッド映画である。ハリウッド映画は通常2時間程度であるが大ヒットする映画にはある決められた時間配分のルールがあるように思われる。

アクション系のハリウッド映画における観客の高揚感の時間的な推移を次のチャートに示す。

 

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最初の30分で主人公はだれでどういう仕事をしているかが説明され、そして今どういう状況におかれていてこれから何をすることが使命かが明確に打ち出されないといけない。これが観客を映画にくぎ付けにする大事なポイントでありそれを失敗してはいけない。しかし、それにあまり時間を要してはいけない。ここまでの時間が長すぎると観客はそこまでで疲れてしまい観つづける気力が失せてしまう。

そこからその使命を達成するためのアクションがスタートする。ここからの1時間が見せ場である。主人公はいくつかの小さな試練を乗り越えて目的に近づいていく。観客も一緒にジェットコースターに乗せられていくようなスピード感が大切である。

小一時間ほどの間それが続いた後でふと流れが止まる。そして最大の試練が訪れ、ここが最大の見せ場である。主人公はその危機を乗り越えて使命を達成する。この解決の爽快感の量は試練の谷の深さに比例しそれが映画全体の印象として残ることになる。従って試練はそれまでの努力を無に帰すような大きな試練であった方が効果的である。

使命達成後は観客の興奮が冷めないうちにエンディングに向かう。ここは後日談だったり、次回作につながる伏線であったりするが決して長すぎてはいけない。10分以上あるのは全体の印象を悪化させて逆効果である。


さて新入社員の発表会の話題に戻る。観客を釘付けにするためにハリウッド映画の戦術をそのまま利用する。発表時間は普通15分くらいなので映画の2時間を同じ比率で配分したチャートを以下に示す。

 

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詳しくは説明しないがハリウッド映画の興奮で観客を引き付けてみたい、というならば活用をお願いする。どんな内容でもこれで成功するというわけではない。映画の成功・失敗はかなりの部分、原作の良さで決まるということもあるので注意が必要である。