側溝に吸殻を捨ててはいけない。
側溝には普通、等間隔で平行な金属製の仕切りが入っている。
吸殻を側溝に向けて投げると仕切りに当たって跳ね返りうまく入らない時もある。しかし、側溝の仕切りに触れることもなく吸い込まれていくのを見るとバスケのきれいなシュートが決まったときのような清々しい気分になるのも正直なところである。
この確率を計算してみる。
吸殻の長さをa、仕切りの間隔をLとする。吸殻は側溝に対して垂直な方向から回転することなく任意の体勢のまま到達するものとする。
その体勢を決めるパラメータは、吸殻の重心と仕切りの距離x、水平角度θ、垂直角度φの3つである。
xは仕切りの近い方との距離と定義してx:0~L/2とする。また、θ、φは簡単のために0~π/2の範囲で考える。
xに関する確率の要素は、
θ、φに関する確率要素は、それぞれ、
となり、全体としての確率要素dPは、
となる。これを吸殻が仕切りと交差する条件で積分することで仕切りと衝突する確率Pが求められる。ここで仕切りと衝突する条件は、
となるので衝突する確率Pを計算すると、
が得られる。具体的に数値計算してみる。a=3cm、L=4cmの場合の衝突確率は、
となり、これより3回に2回程度は清々しい気分になれることが分かる。
ちなみに、これの2次元のケースは「ビュフォンの針」と言われる話題である。その結果によれば、2次元で仕切りに衝突する確率Pbは、
で与えられる。確率に「円周率:π」が登場することで有名である。試行を多数繰り返すことでπの近似値が求められる。
今回の議論はこれの3次元への拡張である。得られた結果Pを2次元の場合の衝突確率Pbと比較してみると、
となり、2/π(約2/3)だけ衝突確率が減ることがわかる。これは3次元の世界では吸殻が斜めに到達することで見かけ上、水平方向の長さ成分が減ることによる効果である。
いずれにしても吸殻を側溝に捨てることはよくないのでやめましょう。