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駄菓子屋紀行(第10回)~方眼紙レーシングゲーム~

 まだ電子式のゲームのない時代、子供たちはお金のかからないゲームを考案する天才であった。学校で遊ぶゲームで何よりも大切なのは授業の合間の5分間の休み時間で決着がつく手軽さである。今回は僕たちが考案したゲームを実演付きで紹介する。名付けて方眼紙レーシングゲーム。その興奮をここに再現する。 

 まず方眼紙を用意する。5mm間隔位がちょうどいい。

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 サインペンでコースを自由に作る。

 

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 4つのコーナーを設けて、第2,3コーナー間は直線コースである。参加者は二人から原理的には何人でも可能だが人数分の色のペンが必要となる。参加者はスタートから方眼の目をたどってゴールを目指すことになる。早くゴールした人が勝ちである。ここでルールを簡単に説明する。

 

 ルール1:
 同じ時に同じ場所にいることはできない。

 これがなければ一緒に戦っている証がなにもなくなる。僕たちはこのゲームが単なる個人戦に落ち込むことを直感的に理解していた。そこでこのルールを作り出して参加している意義を明確化したのである。

 

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ルール2:
 ひとつ前の動きの延長の場所とその周りの8か所の合計9か所のいずれかに進める。

 これが速度コントロール、方向転換の原理となるわけだが簡単なように見えて実は味わい深い。それは実演でお見せしたい。

 

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 いざ、ゲームスタートである。参加者は赤、青の2台。赤が先行であるが、同じ回数でゴールしたときは引き分け、とする。さて、そろそろスタートである。

 

▮スタート~第1コーナー

 

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 ほぼ同じルートをたどる赤と青だったが、青は一度外側に出て華麗なコーナリングを見せた。赤はコーナーのねらい目と減速のタイミングが合わず、かなり遠回りしてしまい、青を追いかける形となる。

 

▮第2コーナー

 

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 ここでも青は見事なコーナーリングを見せてリードを増やしている。赤はまたしてもカーブが膨らんでロスを増やしている。ブレーキのタイミングを完全に誤っているのである。さて、ここから直線コースに入る。

 

▮直線~第3コーナー

 

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 勝負の直線コース、赤も青も颯爽と加速していく。この高揚感がたまらない。ここで青は油断したのかまさかのオーバーラン。フェンスとの衝突を恐れたのかカーブを大きく回りすぎてロスし、ここで絶妙なコーナリングを見せた赤に抜かれる。赤は失敗を反省してそれを勝機に変えたといえる。最終コーナーからゴールへと向かう。

 

▮最終コーナー~ゴール

 

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 さて、勝負は最後まで分からない。今度はまた赤がブレーキのタイミングを完全に失敗、フェンスに激突の直前までいった。青は持ち前の絶妙なコーナリングが復活。勝敗はゴール直前までもつれ込んだが結果は引き分け。

 

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 なかなか発熱したレース展開であった。

 

 ゲームの紹介は以上であるが、大人になってあらためてこのゲームを眺めてみると当時は考えもしなかった別な方向から見てしまう。それは「このゲームで最短のルートを探索することはできるのか」という問題のことである。実際にゲームを純粋に楽しむよりもその前にもっと楽する方法はないか?という問題の転嫁に他ならない。

 計算量理論においてこの問題は巡回セールスマン問題と同じように「NP困難」に属するだろうと予想する。これ以上解析することは大切な何かを失うような気がするのでこれは予想のままで留めておくことにする。