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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

神聖星冠12面体

 正多面体は5種類存在する。

 

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 プラトンはこの中で特に正12面体を「神聖星冠12面体」と名付けて宇宙を表すものとして特別視していた。当然、完全な形とは球のことであろうから球に最も近い形が神聖視されるだろうことは想像がつく。しかし、球体に最も近い正20面体ではなくなぜ正12面体の方を選んだのであろうか。面を構成する形も正五角形(正12面体)よりも正三角形(正20面体)が基本であろうし。

 このことを検証してみる。まず、球に近い、と漠然と表現したことを数学的に定義してみる。ここではある球(例えば単位球)に正多面体を内接させたときの正多面体の体積、そしてその球の体積との比率を占有率と定義した。計算結果を下表に示す。

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 その結果、意外なことにこの定義に従えば、12面体の方が球に近いことが判明した。表面積でも比較してみたが結果は上表のとおり同じであった。人間の直観はあてにならない。というよりも、数学者でもないプラトンという哲学者の直観に頭が下がる思いである。

 さて、サッカーボールでも正12面体が使われている。恐らく以上の推論が数学的なな根拠になるのであろうが、ボールの場合はまた別の観点を加えないといけない。それは転がりやすさである。こちらは物理学の力を借りた解析が必要である。あてにならない直観でいわせてもらうと、転がしやすさは回転表面の滑らかさ、つまり面数の多さに大きく依存するので正20面体に軍配があがるとみるがはたしてどうか。