以前の記事で、
という極限が「どんな値でもとることができる」と書いたが「それは本当か?0か1だけなのではないか?」という御質問を頂戴した。そこで実際に任意の値に収束する様子を最も簡単な例を用いて説明する。
まず次の恒等式を考える。
この式の左辺が、
という極限操作で、
という形になるかを調べてみる。次の関数f(x)を定義すると、
が成り立つ。但し、αの値によって詳細な0への収束の仕方は異なり、
となる。これにより、任意のα(>0)の値に収束させられることが分かる。実際には収束というよりも、xに寄らない定数のままとなるのであるが。
α=0.5の場合を例としてf(x)の収束の挙動をグラフで示す。f(x)はx=0の極々近傍で急速に"0"に収束する関数である。
α=0.2、10、100、10^9、などどんな値の場合も同様である。
参考まで、もう一つの別なアプローチであるが、
という関数g(x)を定義して、もう一つの恒等式、
を考えることでも同様に任意のαに収束させる例を示すことができる。
ちなみに、ここで登場した二つの関数f(x), g(x)は、次の式が示すように逆関数の関係である。