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君がすべきことはただ一つ、ニューヨークへ行くことだ -ジャック・ケルアック

xのx乗(最終回)

 このシリーズの締めくくりとして、

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 を複素関数として定義したときに、この関数値が実数となる、あるいは虚数となるxの条件について考察する。

 

■xが実数の場合

 まず、x>0の実数の場合、f(x)が正の実数となるのは自明と考えてよいであろう。x=0の場合のf(0)についても=1、つまり実数となることもわかっている。

 では、xが負の数の場合はどうなるであろうか。

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について考える。複素解析を用いて計算すると、

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 i)αが整数(=n)の場合、

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 となり実数であることが分かる。nが増えるにしたがって正負で振動しながら急速に0に収束していく。

ii) αが整数+1/2(=n+1/2)の場合、

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 となり虚数となる。

iii) i)、ii)以外の場合、f(α)は一般の複素数となる。

 f(x)が実数、もしくは虚数とするxのことを実点虚点と定義する。ここまでの議論により、実数xについて実点、虚点の存在位置を図示したものが下図である。単位円周辺の代表的な点も書き加えている。

 

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 x<0においては、1/2の間隔で実点、虚点がきれいに並ぶ。

 

■xが一般の複素数の場合

 続いてxが一般の複素数の場合に拡張する。そのために、

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という極表示を行う。これに基づきf(x)を計算してみると、

 

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 が得られる。これを同じくf(x)の極表示である、


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 と対応付けすると、(r, θ)→(R, φ)の関数f(x)による変換においては、

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 という関係式が成立する。関数値が実点、虚点の判別のためにはφの式が重要となる。それはnを整数として、

 

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 という対応関係が成り立つからである。

 これを一般的に解くことは難しいので、rのいくつかの具体例でグラフ表示してみる。
r=1/e(~0.37), 1, e(~2.72)の場合を以下に順に示す。

 

i) r=1/e(~0.37)の場合、

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 ここで実点、虚点となるφの条件を記載してグラフとの交点を求めるとそれが実点、虚点に対応する。r=1/eの場合は、実点が2個、虚点が1個だけである。ちなみにθ=0の点はrの値によらず常に実点である。これはf(x)=x^xがx>0の実数に対して常に実数であるという事実に対応している。

 

ii) r=1(つまり単位円)の場合、

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 r=1のとき、実点は5個、虚点は4個である。

 

iii) r=e(~2.72)の場合、

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 r=eのとき、実点が16個、虚点は13個である。

 以上3つの場合について実点、虚点の存在位置を複素平面上で示してみえると下図となる。

 

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 これらはまだrが~2.7と小さい場合だけを選んでいるので、rlogrに対して2πrの方が大きく、点は第4象限に集中する傾向がある。rが大きくなるにつれて、次第にrlogrが支配的となっていき図中に成長エリアと示した部分で実点、虚点が生成されていき、実点、虚点は全体的に均一に分布するようになる。このrの増大に対応した成長エリアの振る舞いを下図に示す。

 

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 このようにして実点、虚点ともに数が増大していく。そしてこの生成過程を重ねることで実点、虚点の数はほぼ同等となっていく。

 

iv) rが非常に大きい場合、

 例えば、

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 などの場合、φの第2項は無視できるので、

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 となり普通のsinカーブに近づいていく。具体例としてr=100,000の場合を図示すると、

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 成長エリアA, Bはそれぞれθ=π/2、3π/2の位置に近づいていく。また実点、虚点の数はrlogrに比例して増加していく。r=100,000の場合の実点、虚点の数はそれぞれ1,500,000個程度である。rの増大に対応して半径rの円周の長さは2πrに比例して増加していくので点密度を荒く見積もると、

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 つまり、logrのオーダで緩やかに増大していく。

 

■まとめ

以上より、複素数に拡張した関数、

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の実点、虚点について以下のことが分かった。

 

(1) x≧0のすべての実数は実点である。
(2)x<0の実数についてはx=-n/2(n:正の整数)の場合だけ実点、虚点となり、
 それらは実数軸上交互に現れる。

(3) 任意のrの複素平面の円周上に実点、虚点は有限個、かつほぼ同数存在する。
(4) rが大きくなるにしたがって実点、虚点の数はO(rlogr)で増加する。
(5) 実点、虚点の数の円周上の線密度はO(logr)で増加していく。