都内広尾にある都立中央図書館に古い新聞記事を探しに出かけた。とある地方紙は唯一ここでしか閲覧できないのである。
池を巡っていくのが近道である。
きれいに整備された遊歩道を進むと、
目指す図書館があらわれる。
マイクロフィルムでしか残っていないので年月を指定してフィルムを借りて、手でくるくると回しながら記事を探す。具体的な年月を覚えていないと大変な作業である。目も極端に疲労するし、フィルムの取り外し・装着も一苦労である。
苦労の甲斐あって欲しかった記事はなんとか見つかった。今から40年近く前の記事である。記事を探していると不思議な事件や記事に出会って読み始めてしまうことが多々あった。
そんな中、この映画の広告に目を奪われた。
そのあまりにも意味不明さ加減に1~2週間で上映は打ち切られたものの、一部にはカルト的なファンがまだ地下に潜伏しているとも言われる怪作である。
最近、この映画の予告編を見る機会があったのだが、セリフなし、テロップなし、映像を切りつないだだけで、まったくストーリーやテーマを紹介していない。よく見るとこの新聞広告も同じである。その理由は明らかだ。実際に映画を観てみてもストーリーは全く理解不能なのだ。予告編も広告記事も書けるはずがない。
封切直前でこの広告を出した当時、この作品のヒットを信じている関係者がどれほどいたのか、を考えるとなぜか悲しくなる。大半の関係者はすでに不安でいっぱいだったのではないか、と。関係者ですら、あるいは製作にかかわった人たちでさえ、この作品を理解できていなかったのではないか、と疑っているからである。一度、この作品について書いてみたいと思うのだが、その内包する闇は想像以上に深くそれに対する怖れから途中で投げ出すことを繰り返して今日に至っている。