地球儀・天球儀展を訪れた。
入館料は無料だが、日付、時間を指定した予約が必要。確かに博物館というよりも普通の企業のビルの一階に設置されたちょっとしたショールームという感じで収容人数は20名程度である。
フェルメールの名作『地理学者』『天文学者』に登場するホンディウスの地球儀、天球儀が展示してあった。
◆フェルメール『地理学者』
◆ホンディウスの地球儀、天球儀
いずれも1600年頃に作られたものだが、特に天球儀は星座に基づく大胆で美しい絵が印象的である。当時、地球の周りには全方向ともに等しい距離で天球が置かれてそこに星と星座が配置されていると考えられていた。やがて宇宙の構造が明らかになるにつれて天球という考え方とそして天球儀自体が消滅していった。
今回の展示では、この天球儀をコンピュータ上で再現した。鑑賞者がヘッドマウントディスプレイを装着し、3Dデータの天球儀を内部から鑑賞することで、天球儀の中心に入り込み、足元から天井まで、天球儀に包まれるというバーチャルな3D体験ができる。
実際に入り込んでみると星座の名前の文字が反転していた。内側から見ているからである。外側からの視点では否定された天球ではあるが、内側から見ればまだまだ実用的であったという新たな発見であった。
パスカルはパンセ(随想録)の中でこう言っている。
「人間は宇宙に比べて小さい。でも人間は宇宙を考えることができる。従って人間は宇宙よりも大きいのだ。」