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『ソラリス』(スタニスワフ・レム)

 ハヤカワ文庫のSFが今年の4月で通巻2,000番目を迎えた。記念すべき2,000番目はポーランドの巨匠レムの『ソラリス』である。

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 すでに『ソラリスの陽のもとに』というタイトルで1977年に237番として出版されていた。私も高校生時代にそれを読んだ。今回は新訳、特にポーランド語からの直接の翻訳である。前回の訳がロシア語版を経由したの間接的な訳であったのに加えて当時のソ連当局の検閲で削除された部分もきちんと追加されているとのこと。あらゆる意味で完全なものになっている。

 レムに言わせるとこの作品は宇宙における新たな理性とのコンタクトがテーマなのであって、あまりに有名な同名映画(タルコフスキー監督、'72年)での男女の悲しく切ない物語に主眼をおいた演出を快く思っていなかったらしい。今回読み直してみると男女の悲しい物語に対してソラリスの海は一定の距離を置いていることに気が付いた。その微妙な距離感が人類とは別の新しい知性の存在にリアリティーを増していると同時に男女の愛の結末に名状しがたい絶望感、無常感とともにどこかその果ての可能性のようなものを暗示しているような気がしてならない。

 今回、これを機に映画も見直してみた。そちらの感想はまた次回。