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とある現象についての研究

 

  人体の大きな謎のひとつだった「とある現象」を解き明かし、4月15日にオンライン・ジャーナル「PLOS ONE」上で発表したのは、カナダ・アルバータ大学でリハビリ医学を教えるグレッグ・カウチャック博士の研究グループだ。

「これはよく知られている現象です。それが好きで、癖になっている人もいます。しかし、どうしてそうなるのか、本当のところ今までよく分かっていなかったのです」(カウチャック博士)

 そもそも、その現象の理由については、数十年前からさまざまな説が唱えられてきたという。1947年、英セント・トーマス病院の医師たちがこの謎に挑んだ時、彼らは被験者の指にヒモを括りつけて、それをX線写真に収めた。すると、約7kgの力が加わり5mmほどの隙間ができた時に現象が起きることが判明。医師たちはその理由について、滑液(関節の動きを滑らかにしている粘性のある液体)の圧力が低下し、気泡のような空洞部分が形成されるためではないかと推測した。

 それから24年後の1971年、英リーズ大学の研究者たちは、その仮説を検証しようと同様の実験を試みた。しかし彼らは、滑液に気泡が形成されることが原因ではなく、関節腔内にあった空気が素早く弾けるためではないか、という別の答えに辿り着いてしまう。しかし結局、どちらの説も実証されたわけではなく、確実なことは分からずじまいとなっていたのだ。そして今回、カナダの研究グループが、長年の論争に決着をつけるべく現代のテクノロジーをもって謎に挑んだというわけだ。

 カウチャック博士たちは、世界カイロプラクティック連合(WFC)研究委員長で、カイロプラクターであるジェローム・フライヤー教授の協力を得てMRIで撮影。そのときに起きていることを、すべて映像として記録したのだ。

 

 

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 そこで判明したのは、関節が急激に引き離されると滑液の圧力が下がり、まるで炭酸飲料のようにガスの気泡が生じている事実だった。そして、下がった圧力を戻そうとする力によって、ある瞬間に滑液が一気に隙間へと流れ込み、現象とともに気泡が消えていたのだ。

 今回のMRI撮影では、それ以外に音を生じさせそうな要素は確認されなかったとのこと。また、博士が実証したメカニズムは、1947年にロンドンの医師らが立てた仮説がおおむね正しかったことを示唆しているという。

 

 さて、ここで取り上げられている現象とは、「関節がポキポキなる」現象。この研究が一体何の役に立つのかという疑問について博士の答えは、

「その時々によって、関節を鳴らせたり、鳴らせなかったりすることがありますよね。もしかしたら、関節の健康度を計るために使えるかもしれませんよ。新しい視点というわけです」

 とのこと。