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サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

新薬師寺の十二神将

 奈良大和路にある新薬師寺を訪れた。新薬師寺奈良駅から徒歩で30分ほどかかる。市内を走る循環バスもあるようだが、駅からの途中には東大寺、鹿たちがたむろする奈良公園、そしてすぐ手前には志賀直哉の旧居などもあるので、退屈しない。のんびりと散歩気分で訪ねるのがいい。 

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 新薬師寺の「新」は新しいの新ではない。「霊験新たか(あらたか)」の新である。修学旅行で初めてここに来たのだが、その時にここの学僧にそう教えられた。それ以来、数年に一度のペースでここを訪れている。写真の南門をくぐるとすぐに本堂が見える。

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 そしてこれが新薬師寺の敷地のほとんですべてであり、どこにでもあるような小さな寺だ。東大寺などと比べたら大きさは1000分の1以下ではなかろうか。

 ここを訪れる目的はこの本堂の中にある十二神将と呼ばれる12の立像群に会うためである。十二神将は本尊の薬師如来と、そしてそれを信仰する人々を守ってくれる将軍たちであり、それぞれが7,000の兵をひきつれているといわれている。

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 薬師如来の座像を取り囲むように12の等身大の武装した立像が並ぶ。それぞれが個性的で今にも動き出しそうな躍動的にあふれ、ポーズはユーモラスでもある。怒りにゆがんだ顔、悟りの境地で達観したような顔、世をやさしく見守る顔、表情も豊かだ。作者は不明らしいが、太古の日本にこれを作りあげた人がいて、それを今の時代までの1,300年間守り続けた人たちがいる、なんだかそれだけでうれしい気がして幾度も彼らに会いに来てしまう。

 今回も早春の奈良の町を縫うように歩いてこの寺を訪れ、本堂で各々の将に5分間ずつ向かい合った。「お前はまだまだ器が小さいのう」そんな心の声を合計一時間ほど聞いて、彼らのパワーをもらって帰途についたのであった。

 

■新薬師寺 公式ホームページ■新薬師寺について